わたし ―悲しき不死―
わたしは、生まれたころから車いすだった。
二十歳になる前に死ぬことは、わたしの中で運命付けられていた。
そして、予定通り訪れた――死。
そうしたら、転生のチャンスがやってきた。
生まれたころから不幸続きだったわたしにとって、それは”奇跡”であり”必然”だった。
だから、わたしは小さいころからの願い――”生きること”をチートとして願った。
最初は楽しかった。
地球のころできなかったことを、ひたすら楽しんだ。
場所は違えど、わたしにとって夢だったことを実現できた。
100年を過ぎたころから退屈になっていった。
ひたすらやることがなかった。
他の人とかかわりを持とうにも、その相手は自分よりずっと早くいなくなるのだ。
むしろ、わたしはいなくならない。
ここに存在し続けるのだ。
1000年もたつと、自分の意味が分からなくなった。
そもそも数えていないので、800年かもしれないし、5000年かもしれない。
自分とはなんなのか。
なぜここにいるのか。
とにかく、早くいなくなりたかった。
だが、授かったのは“不死”――
いなくなれるわけがなかった。
――今もわたしは存在し続ける。
なにも抱かずに。