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ティアナの王城事件簿〜ホロゥを従え謎を追え!!〜  作者: 今泉 香耶


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43.王妃との癒着(2)

 そして、マイツェン家は商家の中でも魔石の業者と仲が良く、もともと他の商人よりも安値での仕入れが出来ていたらしいと。そこにやってきた、様々なものの高騰。


「王妃からの援助の3割っていうのが、また意地が悪い金額なんだ。その金額そのままで取引を出来る魔石はない。いや、あるけれど、魔石の業者というものは、魔石を1つや2つといった小さな単位では売らない。箱として計算をする。特に、輸入であれば、大きな単位でしか動かせない」


「へえ! そうなのね」


 聞けば、1つ2つという単位で売られている魔石は質がよくないものがほとんどで、流れの商人が扱うものなのだと言う。市井にまじっている、魔法院に所属をしていない「名もない魔法使い」がその魔石に魔力をいれるらしい。


「それを買うには、援助の3割では少なすぎるんだ。そこに、上乗せをして購入をしなければいけない。けれど、今は高騰しているものが魔石だけじゃないんだよ。だから、それぞれが自分の得意分野を守るために投資をする。そうなると、魔石に特化しているマイツェン家以外は……」


「魔石を諦めるってこと……?


「そうだね。ということで、別に自分たちが独占をしているわけではありません、援助はみんな公平に受けています、って顔をして、マイツェン家は魔石を現在ほぼ独占をしている。いや、他の商人たちもある程度の数はあるんだけどね。ゼロではない。ゼロにしてしまえばマイツェン家の独占を取り締まれる可能性もあるんだけど、そうしたところで、自分たちは魔石を王城に提供できないからねぇ」


「うーん……ね、でも、それと借金の話、何が繋がってるの?」


 そう言って、ティアナは「頭がおかしくなりそう!」と言って、ソファに背もたれに身をうずめた。そんな彼女を見てマリウスは笑う。


「だって、そのお金は王妃様からの援助なんでしょ? だったら、別に借金と関係ないんじゃないの?」


「君はちゃんと頭がいいんだなぁ」


「ええ? 馬鹿にしてるのかしら?」


「褒めているんだよ。これだけ話を聞けば、そのおおもとの話を忘れても仕方がないと思ったからさ。でも、君は憶えていた」


 そう言って、マリウスは「これもあげるよ」と自分の分の焼き菓子がのった皿を、ティアナの前に押しやった。彼が甘いものが嫌いではないと知っているティアナは「本当に?」と尋ねる。


「うん。これ、気に入ったんだろう? 僕は後でまた食べられるから」


「じゃあ、喜んでいただくわ!」


 嬉しそうなティアナを見ながら、目を軽く細めて口端をあげるマリウス。だが、それは一瞬のことで、焼き菓子を食べるティアナに彼は話を続ける。


「あのね、国王陛下が持っている財と、王妃様が持っている財、直系の王族が持っている財については、どこにも内訳が開示されないんだ」


「……え?」


「その、王族が懐に入れている金は間違いなく減っている。それは、陛下が僕にもおっしゃっていたし、宰相として働いていた父も言っていたから間違いない。そもそも、年一回の収入については、はっきりとした金額が出されるからね。その後の細かな収支は開示されないっていうだけ」


「っていうことは、その、商人たちに援助をしているそのお金が、王妃様として懐に入っているお金とは限らないってこと……?」


 そういうこと、とマリウスが言えば「ええーーー! 意味ないじゃない!」と言ってティアナはぱたぱたと足を上下させた。それへ、彼は「お行儀」と言って笑う。笑うが、止めるわけではない。


 だが、それからぱたりと止めてティアナは難しい表情を見せる。うう、と眉をひそめて唸るその様子を見たマリウスは、笑いをこらえながら黙っていた。


「ええ? でも、それって、魔石を買わせるために王妃様は援助をしているってことで、ある意味では良いことをしている……? いや、違うわ、違う違う違う、騙されちゃ駄目よ、ティアナ!」


「違うよ」


 ぷはっと笑うマリウス。


「要するに、見えない形でマイツェン家と癒着をしているってこと。そして、万が一その援助が僕の父親の借金から出ているとしたら、残りの1割の金額はどこにいってると思う?」


「あっ」


「王妃様の懐だろう? そういう話だよ。多分ね」


「あなた、頭がいいのねぇ~」


「ねえ、それ、今度は君が馬鹿にしているみたいに聞こえるんだけど?」


 今度はマリウスが冗談で拗ねたように言う。もちろん、ティアナはそれをはっきりと否定をした。


「褒めてるのよ! あっ、そうか、だからあの人、マリウスのことを言ってたのね!?」


「僕のことを?」


「わたしのことを、ジェルボー公爵令息と婚約をうんぬん、って言ってたわ。嫌な目つきの人だって思ったけど、マリウスが借用書のことに疑いを持っているって知っているんですものね?」


 そう言えばそうだった、とティアナは思い出す。


「とにかく、わたし、あの人のことあまり好きじゃないわ。嫌いになるほど知らないけれど、いい印象はないわね。商人の息子のくせに、もうちょっと隠し事とかうまく出来ないのかしら? ね?」


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