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ティアナの王城事件簿〜ホロゥを従え謎を追え!!〜  作者: 今泉 香耶


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25.王城の催し

「じゃあ、どうして?」


「僕が知りたいよ、そんなこと」


 それへ、コンスタンツェがにやにやしながら


「公爵家の金を使いたくない何かがあったんじゃないのぅ? 例えば、外に女がいて……とか。外に隠し子がいて、実は病気で、とか……」


「それもなかった」


「あら。その線も調べたのね」


「調べた。ホロゥを使って、あれこれとね」


 なるほど、だから彼はホロゥを頻繁に引っこ抜いて、あちらこちらに派遣をしていたのか。ティアナはようやく腑に落ちた。


「父は、白だった。完全に。外に女もいない。当然、隠し子もいない。何か個人で商売に手を出しているわけでもない。突然母に高価な贈り物をしたわけでもない。というか、まあその金の使い道はおいても、父は『借りた記憶がない』『サインを書いた記憶がない』って言うんだよ。どう思う? そういう病気なのかな? でも、王城であの人は敏腕宰相ってことで名が通っていたんだ」


「前公爵様のお力は大きいですから。陛下も一目置いていらっしゃった存在ですよ」


 ラルフが熱弁をふるう。最近ではこういう問題が王城で起きて、前宰相はこういう方法で解決をしただとか、こういう問題を国民から問い合わせられたが、前宰相がこういう返答をしただとか。それを聞いてマリウスは「そういうわけで、頭がおかしくなったわけじゃあなさそうなんだよね」と言ってため息をついた。


「更に、ラルフに力を貸してもらって調べていくと、同じような案件がほかに2件。これはちょっと彼らの名誉のために公言は避けるが、同じく貴族で同じように借金をした者がいた。それぞれの時期はおよそ半年ごとぐらい。が、わかったのはそれだけでね。実際に他の貴族たちがどこから借金をしたのかはわからないんだ」


「じゃあ、全部で3人が?」


「そうだね。そして、僕の父親が金を返した先は、今はもう存在しない。金貸しの名前が借用書には書いてあるんだが、今、その人物を追おうとしても、そんな存在は最初からいなかったかのように存在が消されている」


 思いのほか大きな話になって、ティアナはぽかんと口を大きく開けてしまった。それに気づいて、徐々に徐々に小さく口を閉じる。その様子を見たラルフは「んん……」と声を漏らしながら、笑いをこらえたようだ。だが、彼の隣のマリウスは真顔で説明を終えた。


「そういう事情があったんだ。これで、わかってもらえたかな」


「わかったわ。ううん、わからないことがわかったっていうのかしら?」


 その言葉にコンスタンツェは笑う。「そうね! そうだわ!」と言って、足をバタバタさせてから「ああ、ホロゥになってから、わたしったらはしたなくなってしまったわ。普段はこんなことをしないのよ。信じてくれる?」と、どうしようもないことをティアナに告げた。


「でも、別にそれは暴かなくても問題ない……っていうわけじゃないのかしら……?」


「問題あるよ。公爵、かつ国の宰相がそんな間が抜けたことを言っていられないし、もし、それが間が抜けたわけではなく、本当の謀りで発生していることだったら」


「確かにそうね。大問題だわ」


「そういうこと。父は、それゆえ公爵の座を僕に明け渡したんだ。自分が知らないうちに、それこそ眠っているうちに、何かをしでかすような病気にかかったのかもしれないと言ってね。そんな人物が公爵、宰相をし続けることは恐ろしいと言って」


 ああ、だからマリウスはこの若さで公爵の座を継いだのか、とようやくティアナは納得がいった。


「だけど、僕は父に戻ってきてもらって、宰相を続けて欲しい。弟も同意見だ。弟はもともと公爵家を継ごうと、宰相になろうとしていたけれど、ちょっと早すぎたのでね。それで、仕方なく僕が公爵の称号を得て、弟が宰相になるという形で今は仮に動いている」


「そうだったのね」


「だから、仕方がないので僕が調査をしているってわけさ。コンスタンツェも協力をしてくれるかい?」


 突然名を呼ばれて、コンスタンツェは驚いた声をあげた。


「えっ、わたし? わたしがどう協力すればいいのかしら」


「まだ、君をどう使えばいいのかはちょっと悩んでいるんだけど……他のホロゥのように消えないなら、それはそれで」


「あっ、でも、わたし多分あまり遠くにはいけないわ。ティアナと繋がっている糸が、太くて短いのよ」


 コンスタンツェが言うには、マリウスと自分が繋がっている時は、案外自由に動けるような気配があったが、今はそうではない。どうも、それは糸が変化したからではないかと思う……それが本当はどうかをティアナもマリウスも知ることはなかったが、コンスタンツェはそう言って「ごめんなさいね」と謝る。


「ううん、そうか。ってことは、ティアナが王城に行く時に一緒に行ってもらうのが一番だな……」


「でも、わたし王城は一昨日行ったんだけど、それ以降の行事には呼ばれていないのよ」


「本当かい? 君、定例で発生する舞踏会には呼ばれているんじゃないのか?」


「定例? 舞踏会?」


 何のことを言っているのか、とティアナがきょとんとすると、ラルフが説明をしてくれた。


「毎月行われるダンスパーティのことですよ。半年に一度はその中でも大きな催しとなって、貴族同士でダンスを披露し、その時の最優秀な者が陛下から褒章を賜ることが出来るのですよ」


「もしかしたら、その半年、のやつには呼ばれたのかもしれないけど、記憶にないわ」


「いや、半年のやつは、次は来月だから、君が王城付近に来てからは初めてだ。ああ、そうか、今までは男爵家が遠かったから君は呼ばれなかったが、このあたりに来たのなら話は別で、そして最初に呼ぶのは大きな催しで……ということなのかもな」


「へぇ~」


 と口をぽかんと開けると、コンスタンツェは「あの催しは本当に大きなものよ。わたしでも知っているわ」とティアナに言う。なるほど、自分は物知らずすぎなのか……と少しだけ恥ずかしくなるティアナ。


「そして、2年に一度は、デビュタントの場となるんだ。君、デビュタントはしているのかい?」


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