【文化】食材
【肉類】
■カイアス牛:ヴォーグ・スーラ地方のカイアス高地で肥育されている短角牛。黒っぽい茶色の毛で、一日のほとんどを寝て過ごすため、脂肪がつきやすい。赤身と脂肪の均整がとれた牛しかカイアス牛として出荷されないため、酪農家はわざと追い立てて運動させる。
■ダルセ水牛:クウォルラ地方の南西、ダルセ湿地帯に生息している水牛。酪農家が肥育しているわけではなく、野生の水牛を狩って食肉にする。身は引き締まっていてやや固く、煮込みに向いている。角や蹄は加工して装飾品になる。
■グアラ豚:アルシエール地方で広く肥育されている黒ブチの豚。元は東のグアラ平原に生息していた野豚だったが、家畜となった。脂肪が少なく食あたりも起こしにくいため、聖騎士の陣中食として重宝されている。聖騎士団本部にも星雲騎士団が管理している豚舎がある。
■カンライ鶏:やや黄味がかった羽毛の鶏。東西南北、どの環境でも強かに生きる。一般家庭でも卵を産ませるために飼うこともある。鶏肉にして食べることもできる、万能な鶏。鳴き声が結構うるさい。
■リノ山羊:セルザヴァン地方の高山に生息している山羊。肉は固いが乳も出し、わずかな草と水でも育つため、痩せた土地の多いセルザヴァン地方では重要な食料である。塩漬けにして他地方にも輸出される。
【魚類】
■ガラガ魚:『浮気者』という由来を持つ、どの川にもいる川魚。焼いても燻製にしても美味しい。繁殖能力が高く、雄は複数の雌と交尾をすることからこの名前がついた。
■バローニア魚:エヴェン・ル・ラスパイア地方のマルル湖でしか採れない高級魚。塩漬けか燻製で流通するがそれでも高いため、貴族しか買わない。生のままブランシェールに届けるには、マルル湖の水と共に保冷箱に入れ、長い水路と陸路を行かねばならない。貴族の晩餐で出されることが多く、財力の誇示にもなる。
【野菜・果実】
■ミェレ:丸くてツルンとした手触りの赤い葉物野菜。多少青臭さはあるが、発色が良いため彩りとして用いられる。薄いが破けにくいため、肉を包んで食べることもある。
■オリア:クシャッとした皺のある夕日色の葉物野菜。甘みのある風味で、子供が好んで食べる。
■リュジ芋:赤みを帯びた丸い芋。茹でると皮ごと食べられる。水分をよく吸うため、フラッテの中に入っている芋は大体これ。
■コルテ:ヴォーグ・スーラ地方の北で採れる、薄紅色の丸い果物。胃腸薬にもなり日持ちするが、かなり酸っぱい。普通に加熱しても酸味が薄れないため、調味料よりも薬として食べる場合がほとんど。時間をかけて蜜で煮込み、水分がなくなるほど乾燥させると酸味が和らぐ。
■ベリマ:アルシエール地方でよく採れる、鮮やかな赤紫色の楕円形の果物。皮を剥いて、白くてシャキシャキした実を食べる。酸味が強いため、食後の口直しによく食べられる。絞って飲料にしたり、皮は煮てカーチェにしたりする。
■クシュマ:エヴェン・ル・ラスパイア地方でよく食べられる、水分の多い黄色い楕円形の果物。皮は厚いが、実は瑞々しくて甘い。
■ラヤィジュ:ヴァレィア島やセルザヴァン地方の北方など、雪深く寒い所に生息している丸い果物。冬の間しか採れず、枝に乗った雪玉のようにしか見えないため、見つけるのは困難。その割に果肉はパサパサで味は淡泊だから、セルザヴァン地方ではあまり食用にしない。食糧の乏しいヴァレィア島ではよく食べる。
■パリュー:紫色の小さくて丸い果物。とても甘くて柔らかく、ティルフェにして菓子に使うのが一般的。主にアルシエール地方の南で栽培されている。
【その他】
■メルジュ麦:エパの材料となる穀物。アルシエール地方ではどこの農村でも育てられており、広大な麦畑を村全体で管理している。秋に収穫して出荷するが、脱穀の際に出た殻が幼い子供に異常な免疫反応を引き起こさせ、熱や喘息、魔力暴走などの症状を出す。『メルジュ病』と呼ばれ、一度罹ればもう罹ることはない。
■オーリエ油:アルシエール地方で製油される植物油。主に調理に使われるが、貴族の間では整髪料に使うこともある。オーリエという黄色い花から作られる。
■蜜:花蜜蜂と樹蜜蜂によって集められる、花の蜜と樹木の蜜。花蜜は香りも甘みも強く、樹蜜はさっぱりしている。花蜜蜂は様々な花から蜜を集め、地中の巣に溜めこむ。樹蜜蜂は樹に穴を空けてわざと樹液を出させ、体内で蜜に変化させて巣に溜めこむ。花蜜は環境によって味や香りが左右されるが、樹蜜は変化が少ない。