【文化】食事・料理
肉や魚は基本的に火を通し、生食はしない。味も淡泊であるため、野菜や果物を使った調味料や香辛料と一緒に食べる。
主食はパン。硬いが日持ちする焦げ茶色の「エパ」、柔らかくて白い高級品の「ホパロ」、半月型で平たいフラッテ用の「ノント」などがある。
基本的に一日三食。朝と夜にたくさん食べて、昼は小腹を満たす程度。
調味料は家庭ごとに違い、作り方は親から子へと受け継がれていく。『嫁の顔よりカーチェの味』という諺があるほど。
■カーチェ:材料を原型が見えないほど潰したり煮詰めたりし、完全に液状化させた調味料。
■ティルフェ:材料の形がある程度残したまま、半液状化させた調味料。
■フォルチェ:香辛料などと共に炒り、完全に水分を飛ばした乾燥型の調味料。
邪神の復活や天災さえなければ平穏な時代が永く続くため、小さな農村の一般家庭でもエパ+二品は毎日食べられる。それがクレイスト大陸の最低水準である。
【料理の例】
■フラッテ:半月型のノントに切れ目を入れて、食材を詰めたもの。詰めるものは何でもいいため、家庭でも屋台でもよく作られるファストフード。語源は『お好きなように』というクラル語。
■串焼き:屋台でよく売られている、肉や魚を串に刺して焼いたもの。フラッテと並ぶ一般的なファストフード。
■ビキ:クラル語で『混ぜる』という意味。野菜の盛り合わせに調味料をかけて混ぜたもの。
■シチュー:ヨスガの好物。甘さと旨味のある日本の白いシチューとは違い、具材を多くの香辛料や香草、クララ牛乳で煮込んだ夕日色のもの。クララ牛乳は熱すると独特の臭みが出るが、香辛料と香草で整えている。
■籠目焼き:メルジュ麦を捏ねて薄く伸ばした生地で、果物の蜜煮や肉などを包んで焼いたもの。帯状に切った生地で籠を編むように具材を包むためこの名前がついた。
■蒸し香茶:茶器に少量の熱湯と茶葉を閉じ込め、茶葉を蒸すことで香りと味が凝縮したお茶。茶器の側面についた水蒸気を溜めて飲むため、抽出には時間がかかる。時間が足りないと味も香りも足りず、反対に長すぎると味も渋く香りも強くなりすぎるため、美味しく淹れるにはコツが必要。貴族の家には専属の『抽出師』がいるほど。
■蜜煮:花蜜や樹蜜で食材を煮込んだ料理。花蜜は強い香りと甘みがあり、樹蜜は香りも甘さも控えめ。どちらも煮詰まりやすく、加熱しすぎると黒ずんで苦くなる。