【用語】魔導具
魔力を注ぐことによって作用する物の総称。『魔』力を『導』いて使う道『具』という意味。
野菜の自動皮剥き器や子供の玩具から、岩盤の粉砕機や騎士の武器まで種類は多く、生活になくてはならないもの。子供は魔導具で遊びながら魔力制御を学ぶ。
魔鉱石が埋め込まれており、これを媒介に魔力で作用させる。相反する魔力を反発させないように調節し、万人が使えるものにできるかは職人の腕次第。発想、利便性、調節に優れていなければ、良い魔導具にならない。
職人は『魔導具師』と呼ばれ、工房と弟子を持つ。作った魔導具は商会や行商人などに卸したり、自分の工房で売ったりする。
貴族に目をかけてもらえるようになれば、商会で取引をしてもらえたり、資金協力を得られたりできる。貴族から推薦されて神殿からも認められれば、冠姓を得て貴族となることも可能。
【魔導具の例】
■保冷箱:水の魔鉱石を使った、食材を保冷しておく箱。どの家庭にも一個はある。魔力を込めることで冷たい水蒸気を発生させ、内容物を冷やす。保存期間は野菜なら四日、生肉、生魚は二日ほど。大きさも様々あり、ルーベンの料理屋にあるのは特大(大人の大股一歩ほど)の箱。
■枯れない墨壺:見た目は空の墨壺だが、魔力を込めることで顔料を出すことができる魔導具。顔料の原料となる鉱石や宝石を砕いて練り込んだ焼物の壺に、水と土の魔鉱石を埋め込んでいる。顔料は劣化が早いため、必要な分を瓶から墨壺に注ぎ、余ったら戻す必要がある。面倒臭がりなヨナタンがいちいちそうしなくてもいいように考案した。どこにも卸していない注文生産品であるため、実はかなり高級品だった。銀貨五枚(ヨスガのお手伝い駄賃一年分)くらいする。
■刃が霞むくん:ヴィータとティーナが考案し、作成した魔導具。風と土の魔鉱石がついた紐で、包丁や剣などの柄に巻けば刃が何かに触れた時だけ霞になる。不慮の事故や子供の怪我を防ぐために、オーフェルベック兄妹が開発した。