アイシェと梅村と超越者
「貴方は……!」
剣聖戦が始まってすぐ。セブンという剣聖最速を無力化した。
でも、次に襲い掛かってきた二人、一人は魔族代表の剣聖、名前は確か……。
「俺はバイソン! 魔族代表の剣聖にして、世界最強の男だ!!」
「そして俺は、剣聖最硬の男、ストップだ」
二人の剣聖が名乗りを上げる。最強と最硬の剣聖、二人が相手となると分が悪い。
それでも、やるしかない。
私は相手の出方を見ながら、作戦を練ることにした。
「行くぞ!!」
「おう!」
「っ!」
バイソンとストップが襲い掛かってくる。
バイソンは大きな体と魔族特有の高いステータスを活かした重量系の武器だ。大きな体と同じかそれ以上の大きさの剣を両手に一本ずつ持ち、まるで枝でも振るように振り回す。
そしてもう一人、最硬のストップは男性にしては小さめ体のわりに、大きな盾と剣が一つになった武器を持ち、構えながら突進してくる。
「攻守のバランスが取れてるのが厄介ですね……」
正直に言えば、バイソンは攻撃に偏重していて、隙だらけだ。でもそんなバイソンが攻撃を受けずにやっていけるのも、ストップが目を光らせているからである。
厄介な二人だ、どうしたらいい。そう、頭を悩ませていると……。
「困っているようだな!」
「! 貴方は!!」
彼は、ローソン。どんなものも柔らかくする剣をもった料理界の剣聖だ。
「助太刀するぞ、魔王殺しの剣聖」
「ありがとうございます。ではストップさんをお願いしても?」
「あぁ、相性がいいからな、任せろ」
あの硬い盾も、ローソンさんなら何とでもなるだろう。
となれば後は……。
「貴方は私が相手をしますよ、バイソンさん」
「ふん、2対2だからって勝てるつもりか? 魔王殺し」
「貴方だけなら、ね」
私はそっと、ふらら・ラッハに手をかける。
「イデア・オーバーロード。モード・レイナ」
「レイナ?」
私はバイソンの言葉を無視して準備を進める。しかし。
「まて、今のレイナという言葉、それにその、剣は」
「? ふらら・ラッハですか?」
「ふらら……レイナというのは、まさかハイエルフの名前か?」
「そうですが」
「…………ッチ」
バイソンは舌打ちして、剣を収めた。
「? 何のつもりですか」
「やめだ。お前に勝っても、アイツに目をつけられたらおしまいだからな」
「アイツ?」
「レイナだよ。その剣といい、微妙なネーミングといい、あれだろ、レイナってのはハイエルフのルーンブレイダーだろ?」
「そうですけど」
「アイツには関わりたくないんでね。お前がアレの関係者だって知ってたら、最初から手出しなんてしなかったんだがな」
「??」
レイナさんの関係者だって知ってたらって、結構有名だと思うけど、私がレイナさんの弟子って話。
「知らなかったと?」
「言ってるだろ、知らなかったとな」
「世間では有名なんですけど……この話」
「俺はそんなことは知らん」
「そうですか」
見た目通りの脳筋ってことかな。
「で、ローソンさんはっと」
「トコロテゥエン!!」
「ぐああああああ!!」
「凄い」
あのやたらと硬い盾をあっさり貫いた。流石、到達者を名乗る剣聖だ。
「さて、これで三人の剣聖が脱落したわけだが」
「そうですね。やりますか?」
「いや? レイナ殿のお弟子さんだろう。貴女に何かあって、レイナ殿を敵に回すのは得策ではないと国から命を受けてここに立っている。悔しいが、事実でもある。だから私は貴女の味方ということになるな」
「なるほど」
これはありがたい。師匠の威を借りるようで悪いけど、実際それで助かったのだから。
「さて、どうしますか?」
「そうだな、ここから先は二人で行動してはどうだろう。他の剣聖が手を組むとは思わないが、安全策はとるべきだろう?」
「そうですね」
こうして、私は頼もしい仲間を得て、剣聖戦の後半戦に挑むのであった。
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