表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
91/136

レイナと夢と神託

扉の町を抜けてすぐの頃、私はまたマイハウスにいた。


「久しぶりねレイナ。元気そうで何よりだわ」

「お久しぶりですハラルド神」


 夢の中のマイハウスにて、久々の神との対面だ。


「堅苦しいわね、神様とかでいいわよ」

「どっちにしろ堅苦しいのでは」


 様付けな時点で、もう既に堅苦しい気がする。まあ短いからそっちの方が呼びやすいけど。


「それで、神様は何の御用でしょうか」

「あぁそうね、用というか、話があったのよ」


 そういうと神様は「どれから話そうかしら」と悩み始めた。


「……そうね、まず、魔王討伐に関して礼を言わせて頂戴。ありがとう」

「いえいえ、倒したのは私じゃないですし」

「そうね……それについても話があるわ」

「お?」


 私が倒さなかったことについてお話? なんだろう。


「貴女が倒さなかったのは正解よ。でもね、アイシェが倒してしまったのも、ちょっと不味かったわね」

「え」


 そうだったの? 具体的にどう不味いのかな。


「本来は勇者が倒すべきだったのだけれど……勇者が思いのほか成長しなかったこと、そして何より、アイシェが強すぎたのが問題ね」

「それはどういう」


 私が問うと、神様はまた悩み始めた。


「……そうね、まず、勇者の成長が止まったのは、おそらく貴女から離れたからでしょうね」

「というと」

「貴女の100のスキルについては以前少しだけ話したわね?」

「あぁ、レベル分のチートスキル」

「そう。それの一つに英雄教練というものがあるわ」

「英雄教練」


 それを聞くとなんか、英雄を育てるスキルっぽいね。


「今レイナが感じた通りよ。貴女が教練したものは英雄に育つというスキルね」

「英雄に育つ」

「そ、もっと言えば成長率、成長速度の向上ね。恐らくそれだけではない効果も発揮されているけれど」

「そうなんですか?」

「そうよ。だってアイシェのあの強さ見てみなさい? 80レベルで到達できる強さじゃないでしょう」

「確かに」


 月を斬ったり、魔王を単騎討伐、普通にレベル80が限界の人間がすることじゃない。


「ってことはアイシェも超越者に?」

「可能性はあるわね」

「ほお」


 それは、凄いスキルだね?


「でもそれだけに手に負えないのよ、今回の事態は」

「といいますと」

「魔王を倒したのがアイシェという一件に戻るけれど、あの最強の魔王はね、ちょっと他の魔王と違って特別な個体なの」

「特別な個体」


 まあ、強さ的にはそこそこだったけど。特別というほどの強さではなかった。


「あれはね、魔神の子孫なのよ」

「魔神」


 魔の神様? ってところかな?


「そしてその魔神の子孫の魔王は、ある呪いを体に受けていたの」

「呪いですか……」

「えぇ。その呪い、勇者なら打ち消せるのだけれど、アイシェはわからないわ」

「……はい?」

「だから、アイシェが止めを刺したことで、呪われたかもしれないといっているの」

「は?!」


 なんでそういうことをもっと早く言わないかな、このポンコツ神は。


「誰がポンコツよ。ちょっとタイミング悪く伝えられなかっただけよ」

「アイシェはどうなるんですか」

「どうなるって……そもそも呪われてるかもわからないわ」

「呪われてたら、どうなるんですか」

「それは……魔人の……依り代になるわね」

「……魔人の依り代」


 それはつまり、生贄的なことだろうか。


「神様、回避する方法はないですか」

「貴女のキュアでも、おそらく完全に呪いを取り除くことはできないわよ」

「まあ、キュアですからね」

「解呪の魔法は強化されてないだろうから、こっちも無理ね」

「じゃあどうすれば?」

「守ってあげなさい」

「守る?」

「そ」


 守ってどうするのだろう。というか、どう守れば?


「呪われたと言っても、それ自体が彼女を蝕むものではないわ。あくまでも魔人の依り代になる体になっただけ。アイシェを守って、魔神降臨の儀式を止められれば、問題はないわ」

「はあ、そうですか」


 そうか……そうなんだ。


「ちょっと安心しました」

「そう? それはよかったわね」

「それで、なんでその話を今?」

「あぁ……それは」


 そこまで言って、神様はハッと何かに気づいた様子を見せた。


「もう今日は時間みたいね、今度、今度話すわ」

「え、なんて中途半端な」


 私はそれだけ言うと……なんと、目が覚めた。


「今回は凄く急な別れだったなぁ」


 まあ、いいけど……相変わらず神様は微妙に使えない。

 そんな失礼なことを思いながら、私は二度寝した。


ご読了ありがとうございました!

感想、評価、ブックマーク等頂けますと励みになります!!

次回更新は次回日曜日の21:00までを予定しております。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ