レイナとアイシェと修行
「それじゃあ町の外に出てやろうか」
「はい」
そう言って部屋を出ようとするアイシェの肩を掴んで私は止めた。
「ん? どうしたんですか?」
「歩くと時間掛かるから転移しようと思って」
「転移……?」
アイシェは疑問形だがとりあず私が何かするらしいと思ったのか立ち止まる。
「じゃ、今から転移魔法使うねーはいどーん」
「え、ちょっ?!」
私は言うだけ言って魔法を無詠唱で発動する。
すると私達は次の瞬間、広い草原に居た。
「ここは……もしかして?」
「あ、わかった?」
遠くにはお城とその城下町が見える。
そう、ここはアイシェとサロスを育成していた頃、よく気分転換と修行を兼ねて訪れていた草原だった。
「こんな……一瞬で」
「まあ魔法って便利だよね」
「こんな魔法普通使えませんよ……」
「そこはほら、ハイエルフですから」
まあ本当はハイエルフとか関係なく取得可能な魔法だけどね。
「それじゃあ始めようか」
「あ、はい!」
それから私とアイシェは日が沈むまで訓練を続けることにした。
久しぶりの訓練だけどアイシェは本当に強くなったなぁと思う。
この歳でこの強さだ。将来は世界一の剣豪かも知れないね。いや、もう既にそうかもしれないね?
「でもまだまだ甘いよ、速度もパワーも足りてない」
「くっ……これなら!」
そう言った瞬間、アイシェの速度が一気に上がった。
体感で、10倍くらい?
「わわっと、危ない危ない」
「うそっ……コレでも届かない」
いやーびっくりしたね。アイシェいつの間にこんな技を??
どうやら身体能力を強化するタイプのスキルか魔法を使ったようだ。
いや、これには本当に焦った。急に速度が上がるものだからうっかり反撃しそうになった。
「アイシェ凄いね、いつの間に?」
「レイナさんがエルフについての記述を読んでいる間に、身体能力向上の魔法について書かれた本を読んでみたんです」
「それで体得できちゃうとか天才か」
「レイナさんに言われたくないですよ……」
いやいや、私のこれはチート能力だけどアイシェのは間違いなく才能だ。
いやあ、恐ろしいものだね。こんな子を育てたのが私だと思うともっといい教師が居ればと思ってしまう。
「アイシェまた強くなったね。これからはちょっと本気だしちゃおっかな」
「やめてください……レイナさんの本気なんてちょっとでも死ねるので」
流石にルーン剣技は使わないけど、ソードビットくらいなら一つ二つ使っても問題無さそうな気がする。
「次はこれで行くよー」
「ソードビット……ですか?」
「そそ」
これを相手にできるようならアイシェも相当の実力者だ。
何せチート装備だからね。
「行きます!」
「がんばー」
そこからの戦いは凄かったよ。
アイシェったら私の動きをトレースさせたソードビット2本を相手に互角の戦いを見せた。
正直ステータスとか抜きの、純粋な剣技だけなら勝てないかもしれないとさえ、思わされた。
いやー……本当に恐ろしい妹分だね。
「これなら本気で相手してもよくないかなあ」
「死にますって……」
魔法と剣、ルーン、全部使ってもアイシェなら生き残りそうだけど。
「試しちゃダメ?」
「お試しで殺される馬鹿はいませんよ」
「それもそうだね……」
死なないと思うけどなぁ。
「あぁ、でも」
「ん?」
「いつか隕石切りはやってみたいです」
「おぉ」
どっかの剣聖がやって、潰れたアレだね。
そうかあ、アイシェもデカくて硬いものを斬りたいお年頃なんだねぇ。
「まあ、その内ね」
「そうですね、こんな城付近で試せることでもないですし」
「そ、そうだね」
そういう問題かなあ。妹分に隕石撃ち込むほどアレな私ではないだけなんだけど。
そう思いつつも、ちょっとだけ本気で戦ってみたいと思った自分を思い出して、撃ち込みそうだなと思った。
「さて、もうちょっと訓練する?」
「はい、次は四本でお願いします」
「おおぅ」
本当にやる気満々だね、うちの妹分は。
こうして私達は日が沈むまでがっつり訓練をした。
アイシェだから一日の訓練で、また規格外に強くなるんだろうなぁと思いつつ。
頼もしい妹分の成長が嬉しい一日だったとさ。
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