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レイナとドラゴンと意思疎通

「遠いなあ。この距離往復してるって、ドラゴンって暇なのかな」


山へ向かう際中、空中にも気を付ける為にマップでフレイムドラゴンの位置を把握できるよう心掛ける。そして思うのがマップに表記されている山の位置である。

めちゃ遠い。歩きなら2、3日かかりそうな距離だ。

とはいえ、今はユニコに乗っている、なので。


「早速山が見えてきたね」

「はい、先行しているパーティに追いつけると良いのですが」


 そこはもう先行したパーティとやらの移動速度の問題だ。

 まあでも山道を人の足で登っていくのはキツイからすぐ追いつけるとは思っているけどね。


「お、フレイムドラゴン」

「何処ですか?!」


 私がマップに移り込んだフレイムドラゴンのことを口にすると、アイシェがまだ見えないフレイムドラゴンを警戒する。


「ごめんごめん、探知魔法に引っかかっただけ。まだ先だよ」

「そ、そうですか」


 まあ、とは言ってもこのペースなら後数分で会敵するけど。


「準備はしといてね」

「はい、万全です」


 うん、いいね。アイシェの表情に不安や焦りは一切ない。

 四天王の一角を相手どろうって言うのにこの冷静さは頼りになるね。

 山の斜面をユニコがサクサクと上っていくと、遂にフレイムドラゴンの巣穴らしきものを見つけた。

 ここまでに冒険者達とは会ってない、何処かで追い越しただろうか?


「ここに居るんですね」

「うん。いくよ?」

「はい!」


 私達はユニコを降りると巣穴へと入っていった。

 巣穴といっても山の横穴と言った感じで、別に特別な物があったりするわけではないんだけど、巣穴だと分かったのはマップのおかげだ。なにせドラゴンの反応はこの先だからね。


「居た」

「グルルルルルルル」

「怒ってますね」

「まあ自分の家に勝手に入られたら怒るよねえ」


 見るからに怒ってますという感じで威嚇してくるドラゴンに、私達二人は全くひるまない。


「何の用でここに来た、人間とエルフよ」

「喋れるんだ?」


 これはビックリ、まさか話しかけてくるとは思わなかったね。


「我を魔王四天王、最強のフレイムドラゴン。フローガと知ってのことか」

「最強なんだ……余計倒していいのかわからなくなってきたなあ」

「何言ってるんですかレイナさん、倒していいに決まってます!」


 でもこういう壁を乗り越えた先にある力を手に入れてこそ、勇者は魔王に勝てるんじゃないかと思う私である。


「いや待て、なるほど、それほどまでの魔力、一体どうやって手に入れた」

「え?」


 ドラゴン……フローガは私を見るとそう聞いて来た。

 まさか私の魔力値がわかるの?


「それほどまでの強者ならなるほど、我の相手として十分、不足無し!!」

「ちょ」


 フローがは叫ぶと共に空に飛びあがりブレスを吐いてくる。


「プロエレスフィ・ヒオノシエラ!!」


 私はとっさに氷の最強系範囲魔法を発動した。

 プロエレスフィ系の魔法は複数あるが、通常使えるのはハイエルフのみだ。

 とっさの事だったのでいきなり全力の魔法をかましてしまったが、大丈夫だろうか。

 よく見てみるとブレスは掻き消え、フローガに魔法が直撃している。

 魔法が直撃したフローガは体の半分が凍りながら空から降って来た。


「アイシェ、大丈夫?」

「レイナさん! そんな大魔法を使うなら最初に言ってください!!」

「えぇ……」


 なんか理不尽に怒られた気がするよ。

 戦いの中でのことは仕方なくない?


「ぐ、ぐう……流石、恐るべき魔力を持つ魔女だ……これほどまでの、魔法を扱える、とは」

「ど、どうも」


 そして敵からは賞賛の言葉を頂いた。何この空間。

 っていうかサラッと生きてるって凄いね。私の最強系魔法を喰らって生きてるんだから流石は四天王最強と言ったところだ。


「ところで、もう町を襲わないし人も殺さないならここまでにしようと思うんだけど、どうかな?」

「何言ってるんですかレイナさん!」

「いやあ、だって喋れる相手だよ? 殺し難くない?」

「そんなこと言ってたら魔王だって倒せませんよ?!」

「いやだから、私は魔王を倒す気ないんだって」


 何度でも言うがそれは勇者の役目で私の役目ではない。

 今回はたまたま受けた依頼が四天王討伐になっていただけだ。


「我は魔王に仕える者だ、それはできん」

「そっか……」


 どうやら分かり合う事は難しい事だったようだ。


「私が止めを刺しましょうか?」

「いや、私が最後まで相手するよ」


 それがせめてもの情け……なのかな。


「プロエレスフィ・ヒオノシエラ」


 私は再度最強の氷魔法を使うと、今度こそフローガは全身氷漬けとなった。


「このままにして置いたら溶けたら復活しませんか?」

「うん、だから……」


 せめて最後は楽にと思って凍らせてから、殺す。


「プロエレスフィ・ケラヴノス!!」


 私は最強の雷魔法で氷を砕いた。

 これで溶けようが、生きていることはないだろう。


「さて、帰ろうかアイシェ」

「はい、レイナさ……ん?」


 アイシェは返事をしながら出口の方を見ると疑問形で何かを見ている。


「どしたのアイシェ」

「いえ、アレが先行したパーティかと思いまして」

「ん?」


 よく見ると出口の方に一人、偵察でもしているような人がいる。


「もうドラゴンなら倒しましたよー」

「?!」


 偵察しているらしき人? は何故かビックリすると逃げて行った。


「何だろアレ」

「さあ?」


まあ何はともあれ先行したパーティは無事かもね。ってことで。

さてさて、後は帰るだけ、かな?


ご読了ありがとうございました!

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次回更新は次回日曜日の21:00までを予定しております。

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[一言] 連れ去られた町の人はどうなってるんだろう
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