レイナとクークルとネタバレ
「さて、ついに決心がついたよ」
「なんのですか?」
「クークルを使う決心」
料理大会優勝から数日、私はずっと宿屋でクークルを使うべきか悩んでいた。
「決心、ですか。そんなに大げさなものなんですか?」
「だってねえ……」
調べたらきっと何でも出てくる。それって便利だけど、便利なんだけど。
「下手にネタバレ食らうと面白さがね」
「ネタバレ?」
まあアイシェに言ってもわかんないよね……。
「まあいいや、それじゃ、おっけークークル」
『はい、なんでしょう』
「エルフの国の場所、教えて」
「あ、なるほど」
私がやろうとしたことに気づいたアイシェが反応する。
『こちらをご参照ください』
「はーい」
そして調べると、出るね、エルフの国の位置。しかもこれ、クークルマップだ。
どういうわけか、元世界の情報と、この世界の情報がごちゃ混ぜになりつつも、私に便利なようにできているクークル先生なようだ。
「リアルな攻略情報しか出ないものだと思ってたけど、便利だねえ」
「りある?」
「あー、こっちの話」
さて、それでエルフの国の位置はっと。
「うげ、元居た大陸の北じゃん」
「戻る形ですね……」
でもまあ、ここからさらに帝国の地を移動する前に知れてよかったとも言えるのかな?
まあ、私にはあんまり関係ないんだけど。
「ま、位置が知れてよかったよ」
「そうですね、すごく便利なスキルです」
さて、それじゃ。
「ネタバレもしたところで、なんだっけ、魔導都市」
「レイナールですか?」
「うん、いこっか」
「今更何しに行くんですか……」
「冒険と観光?」
「レイナさんらしい発想だった……」
あれ、若干呆れられてる?
「さあさ、楽しい楽しい冒険の始まりだよ!」
「まあ、そうですね、確かに楽しいです」
そう、ここまでの冒険だって楽しかった。ここからもきっと、楽しめる。
「それでレイナさん」
「ん?」
「都市の位置は調べたりしないんですか?」
「しないよ?」
「なんでですか?」
「アイシェが知ってるでしょ?」
「まあ、ある程度は知ってますが……」
「ならそれを頼りにゆるりといこー」
「……そうですね、楽しく冒険しましょう」
うんうん、アイシェも私をわかって来たみたいだね!
「さー、明日からはレイナールを目指すよ!」
「はい」
と、いうわけで。
私はエルフの国の位置を知ったので満足し。
引き続き旅を楽しむことにしたのだった。
明日はどんな冒険が待っているのかな?
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