レイナと優勝と神域
「およ」
優勝が決まった直後。私は見知らぬ真っ白な空間にいた。
「ここは……どこ?」
「ここは神域ですよ」
私が一人、謎の空間に飛ばされたのかと思っていたが、そうではなかったらしい。
神域、というからには神様の領域なんだろうから。ここはシュレリア様に連れてこられたところってことかな。
「あなたに優勝賞品をお渡しするために呼びました」
「なるほど」
早速優勝賞品が頂けるんだね。それじゃあ。
「エルフの国がどこにあるか、教えて欲しいです」
「あら、そんなことでいいのですか?」
「というと」
そんなことで、というのは、どういうことだろうか。
まさか。
「クークルで調べればよいのではないですか?」
「あ、やっぱり?」
いや、正直、基本的に調べものや知りたいことはクークルに聞いたらいいんじゃないかという気はしていた。
でも、流石になんでもクークルに頼るとつまらないかなとか思ってたんだけど、まさか神様から言われるとは、というか。
「シュレリア様は私のことどのくらいご存じなんですか?」
「そうですね、前世のことから、今回の転生の件、数多のチートスキルのことも知っています」
「え」
まあ、正直、かなり情報通なんだろうなとは、思ってた。神様だし。
でもまさか前世、所謂この世界でない世界のことまで把握してるとは、思わなかったし、後何より。
「チートスキルが何か、わかるんですか?」
「えぇ、まあ」
「教えていただくことって」
「できませんね」
「なぜ」
「つまらないからです」
「……おぉ」
まさかこんなすごく下らない理由で断固拒否ってオーラ出されるとは思わなかった。
まあ、私も同じような理由でクークル使ってないんだけどさ。
「それで、優勝賞品はどうしますか?」
「あ、話逸れてましたね」
そうかあ、優勝賞品かぁ。
「エルフの国はクークルでいいもんね……どうしよっかな」
「ゆっくり考えていいですよ」
私は女神さまの言葉に甘えて、しばらく考える、そして。
「例えばですけど、壊れない剣とか、壊れない杖って作れますか?」
「できますよ?」
「おぉ」
それならルーン武器用にもらっとこうかなぁ。
「ルーンの武器を作るのですか?」
「おぉ、話が早い」
「まあ、神ですから」
さて、後は剣か杖かだけど……。
「おススメは杖ですね」
「お」
神様がおススメしてきた。
「なぜですか?」
「貴女に贈呈されている転生特典でも、ソードビットだけは不壊属性ですから」
「つまり壊れない剣はもう既に持っていると」
「その通りです」
そうだったんだ。じゃあ迷うことないね。
「杖でお願いします」
「えぇ、わかりました」
そういって神様は手元を光らせる、わぁ、綺麗だけど、光りすぎー。
「はい、できましたよ」
「これが壊れない杖」
「えぇ。材質は億年を生きた世界樹の枝を使っています。名を『エルダースタッフ』としました」
「エルダー……年長者かあ」
まあ、年長さんではあるよね、億年生きているし。
でも、名前は自分でつけたいから、あとで勝手に付け直そう。
「ありがとうございました」
「えぇ、名前、素敵なのをつけてあげてくださいね」
「心読まれてるー」
こうして、私は優勝賞品として壊れない杖をもらった。
いやあ、ルーン刻むのが楽しみだなぁ。
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