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レイナとパーティとウルフの群れ

「あ」

「ん?」


 ウルフの出る森に入ってしばらく歩くと、私の探知スキルにウルフの反応があった。

 数は20匹。だけど。


「うーん、どうしよう」

「何がだ?」


 ロイドさんが私の独り言に構ってくれる。

 相談しといた方が良いかな。


「ウルフって劣勢になったら逃げたりする?」

「突然なんだ……? いやまあ、ウルフにそこまでの知能は無いというか狂暴だからな、最後の一匹まで襲ってくると思うぞ?」

「そうなんだ」


 この世界がゲームの世界じゃないとして、現実なら劣勢になったら逃げられるかと思ったけどそうでもないようだ。

 なら安心かな。


「ウルフに囲まれてるよ」

「え?」


 私はロイドさん達に警告する。


「20匹の群れが5組で囲んでる。合計100匹くらい」

「なんだって?!」


 驚きながらも剣を抜き臨戦態勢に入るロイドさん。信じてくれてるのかな。嬉しいね。


「ところでロイドさん達は100匹の相手って行けるもの?」

「……無理だな。20匹の討伐も危険を減らす為にレイナを誘ったんだぞ」

「そうね、100匹なんて無理があるわ」

「そっかあ」


 それは困ったね。

 私としてはロイドさん達の援護にまわって実力を隠しつつ成果も上げるつもりだったんだけど、ことここに至ってはそうも言ってられない。

 4人の命が掛かっている。


「それじゃあロイドさん達は自衛に専念してくれる?」

「レイナはどうするんだ」

「私? 私はウルフを積極的に殲滅していくよ」


 本当はあんまり力を示すような行為はしたくないけど、仕方ないよね。


「それじゃあ、いくよ!」

「お、おいまて――」


 私はロイドさんの言葉を最後まで聞かず、ウルフに向かって走り出した。


「下手な魔法で倒すと後がグロイから……ウォーターボール!!」


 私は杖も持たず、手を向けてその先からウォーターボールをウルフに向かって射出した。


「やっば!」


 でも流石にレベル100……ゲーム内では超越者と言われていた者の魔法だ。

 素手でも強すぎた。

 結果。


「グロイ……」


 ウルフの頭が吹き飛んでしまった。後ついでに後ろにあった木も吹き飛ばした。

 最下級魔法なのにこれかあ……しかも杖無しなのに……。

 これ以上手加減って難しい気がするんだけど……。


「何とかしないと」


 私はとりあえず魔法を弱く出すイメージを固めて魔法を使ってみることにした。

 ラノベとかだと魔法はイメージの力が影響したりするものだ。

 ゲーム内ではステータスで計算されたダメージしか出なくても、現実なら違うかもしれない。


「ウォーター……ボール!」


 弱く、弱く。

 そうイメージして出した水球はウルフに当たり、ウルフを丁度良く仕留める程度の威力になっていた。


「成功? 私ってば天才じゃない?」


 一発(最初のグロいのは無かったことにして)で手加減が一気に上手く行ったことに歓喜する私。

 そして――。


「エアショット!」

「はあぁ!!」

「せりゃあ!」

「てやあ!」


 後ろで4人が自衛のために戦っている声が聞こえる。

 うん、まだ大丈夫そう。


「さて、サクサクいこっか。ウォーターボール!」


 そこから先、私は多重魔法等で一気にウォーターボールを発生、20匹の群れに一気に魔法を放ち殲滅する。


「1組終わり。はいもういっちょ!」


 その調子でサクサクと倒していくと80匹以上倒した辺りで気づく。もうウルフが居ない。


「やあやあお疲れー。20匹倒したんだねー」

「はあっ……はあっ……あ、ああ。まあ、な」

「レイナこそ、お疲れさま……80匹以上相手にしてよくそんなケロっとしてるわね」

「うーん、まあこのくらいなら」


 ホントはもっとヤバイのとかが100匹居ても問題にならないんだけど、それはあくまで自分一人の場合だ。集団戦で守るものがあると違ってくる。


「それにしてもレイナの魔法は強烈だな……最下級魔法でウルフを一撃で吹き飛ばした上に木まで穿つなんて」

「あー、まあ、ね」


 本当は杖とかプラスしてフル装備だと今の何倍も威力が出そうだけど……怖いから止めとこう。


「それにしてもウルフ20匹のハズが100匹だったなんてな……」

「最近魔物達の動きも活発になってるし、心配ね」

「私達もレイナが居なければ危なかった」

「そうだねー。レーナありがとー!」


 そう言ってプリコが抱き着いてくる。もふもふしてるなぁ。


「さて、帰ろっか」

「待て、ウルフの死体をそのままにするつもりか?」

「え?」


 そのままにって、どういう。

 あぁ、アイシェみたいに解体するのかな?


「この量だ、燃やすか解体しないと魔物が寄って来る」

「燃やすのは勿体ないなあ」


 せっかくの戦利品だし、貰っておきたいよね。


「アイテムボックスに入れていい?」

「アイテムボックス?」


 あぁ、この世界だとアイテムボックスって冒険者でも知らない感じの奴?


「えっと、こういうの何だけど」


 私は試しにアイテムボックスにウルフを収納してみる。


「なるほど……アイテムバックみたいなものか?」

「アイテムバック」


 そういうのがあるの? まあいいや、似たのがあるならそれっぽい事言っとこう。


「まあそんな感じかな。他のウルフも入れていい?」

「ああ、そうしてくれると助かる」

「はーい」


 そんなわけで私は一人、せっせとウルフをアイテムボックスに仕舞っていく。


「さて、これで全部かな」

「あぁ、ありがとう、レイナのおかげで助かったよ」

「いえいえ、こっちも楽しい狩りで満足だよ」


 まあウルフ100匹、肩慣らしにはちょうど良かったかな。


「それじゃあギルドに報告に行こうか」

「そうだな、今回の事で報告しなければいけないこともあるしな」


 まあ確かに、ウルフ100匹なんて聞いてなかったもんね。


「特にレイナの戦闘力について報告が必要だ」

「え」


 こうして、私はロイドさん達に付いて行き、ギルドに戻ることになった。

 メンドクサイことにならないといいなぁ……。


ご読了ありがとうございます。

不定期更新ですがよろしくお願いします!

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