レイナと神の一皿と神の裁定
「人間たちよ。その一皿。勝手に神への供物を偽物と断じること、許されることではありませんよ」
「「は、ははぁあ!」」
神の一言に、審査員一同がひれ伏す。
これならちゃんと判定が下りそうかな?
「わかればいいのです。では、わたくしも頂きますね」
「おぉ……神よ」
神シュレリアの降臨に、感嘆の声を漏らすローソンさん。
「これは、フレンチトーストですね」
「はっ! わたくしが調理させていただきました!!」
「頂きましょう」
神シュレリアは私たちの目の前まで降りてくると……ていうか今更だけど飛んでたね、流石神様?
とまあそれはさておき、降りてくると、まずは順番通り、ローソンさんの一皿から頂くようだ。
「柔らかいくちどけ、しっかりとしみている甘み、いいでしょう、100点中75点といったところでしょうか」
「は、ははぁ!」
「おぉ」
神様採点100点満点なんだ。
なんかバラエティー番組みたいになってきたね。
「さて、レイナ」
「はい」
名前を呼ばれて、ちょっと緊張気味に返事を返す私。
それを見て「ふふっ」とほほ笑むシュレリア様。
「そう緊張することはありません。さ、貴方の一皿を」
「はい」
言われて、シュレリア様にも私のビーフシチューを渡す。
「香りはいいですね、見た目も美しい」
「ありがとうございます」
見た目は茶色い何かだけどね……言わないけど。好きな神にはそう見えるってことかな。
「では早速」
「は、はい」
今更だけれど、これで神様が求めてた味じゃなくて酷評されたら、本格的にヤバいよね。
ちょっと今のうちに逃げる準備しとこうかな。
「レイナ」
「あ、はい」
逃げる準備、する暇なし。
速攻で名前を呼ばれました。一口しか食べてないじゃん!
「90点」
「え」
思いのほか高評価に、驚く私。
でも。
「レイナ」
「はい」
「この料理に足りないモノ、わかりますか?」
「え」
なんだろう、足りないモノ。
時間は早く作れたと思う。
満足感も、具沢山でいい感じだと思う。
味も……いいはず。
「……わかりません」
「ふふ、そうですか。まだまだ若いですね」
「まあ」
内部年齢的には若いはずだ。
ハイエルフ的には……神様になったハイエルフ的には、若く感じるのかな。
「足りないものは、愛です」
「若い発言きたー」
どっちが若いか。それは今の青いセリフを吐いた神様の方だと私は思う。
「この料理には、試合に必要な要素ばかりを求めて、食べる人の喜ぶ顔を想定した愛が不足しています」
「た、確かに」
まあ、愛情込めてはいない。試合に必要な要素を突き詰めてはいる。
「ですから、わたくしの知っているビーフシチューを120点として、90点です」
「おぉ」
流石に神の食事には劣るかぁ。でも足りないのが愛だけで30点も増えるのか。すごいな神の舌。
「とはいえ、これは間違いなくビーフシチューです」
「おお」
「ですから、わたくしからは90点を送りましょう」
「やった」
ってことは、後は審査員の点数次第だけど……。
「う、うまい!」
「これが、神の味」
「おぉ、神よ……」
「うんめなぁ」
なんか、審査員達も喜んでそうだし。
「さあ、採点は?!」
実況の人が採点を促す。
「おぉっと! オール満点!! と、言うことはー!!!!」
審査員の点数が同じとなると、あとは。必然的に。
「神シュレリア様から90点という高評価をもらった! 流星の魔女様の優勝だー!!」
「「おぉおおおおおおおお!!」」
会場が湧く。これで私の優勝かぁ。
「ちょっと待った!!」
「およ?」
そこでまさかの、待ったをかける人物が。
ローソンさんだ。
「納得いかん!」
「おぉ」
「神よ、私の料理は神の一皿ではないとはいえ、劣るものとも思っていません!」
「ふむ、では戦いなさい」
「はい!」
「え」
何今の流れ。どこが「はい」の流れなの。
「手加減しないぞ、流星の魔女殿」
「えぇ……」
こうして、私の料理大会は。
優勝を目前として、武術大会にへと、変わってしまったのだった。
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