レイナと夢と邂逅
「はろーレイナ」
「は、はろー」
私、レイナは今、困ったことになっている。
というのも。
「で、悪いのだけれど、決勝戦にはぜひとも神の一皿を出して欲しいの」
「はあ」
という、無茶ぶりをされているからである。
神の一皿とは、一体?
「ところで、どちらさまでしたっけ?」
「あら、名乗ってなかったかしら」
私は目の前の、やけに造形の美しいエルフ系な方に声をかける。
するとエルフ系な方は「うっかりしてた」といった様子で、というか言った。
「うっかりしてたわね、わたくしはシュレリア。この世界の創造神兼、食の神です」
「謎の兼任幅」
創造神、わかる、きっとすごい神だ。
でも、食の神って……ごはんの神さまだよね……?
なんでそこを兼任?
「世界を作るのなんて創作料理作るようなものですよ」
「そうなんですか?」
とてもそんな、同レベルとは思えない。
「それで、なんでしたっけ、シュレリア様」
「あぁ、そうでした。次なる決勝戦では、神の一皿を出してほしいのです」
「はあ」
また出た、神の一皿。どんなだろう。
「お皿をよくして欲しいっていう要望ですか?」
「いいえ。神の料理を出してほしいということです」
「神の料理」
それはつまり、神々が食すようなものを出してほしいってこと?
「えっと、なんで??」
「わたしが食べるからです」
「……はい?」
なんとおっしゃいました、この神様。
「料理大会の決勝では、神であるわたくしが現界して、直々に判定を出すルールになっています」
「は、はあ」
初耳ですが。
「そこで出される料理は……いつも美味しいのですが、でも、違うのです」
「はあ」
何が違うんだろう。
「わたくしの好みが一グラムも反映されていないのです」
「あぁ」
つまりあれだ。食の神様はどうせ食べるなら好物とかを食べたいのだ。
「わかりました。一応神の一皿とやらのメニューを聞いてもいいですか?」
「えぇ。神の一皿とは『ビーフシチュー』のことです」
「ほほう」
ビーフシチューかぁ。
ワインとか使うよね、アレ。神様っぽいかも? ただのイメージだけど。
「できますか? レイナ」
「はい、任せてください」
でもこれ、いいのかな。
決勝の相手には悪いけど、神様の好みを知った上で戦うって、ずるくない?
「まいっか」
「?」
私の独り言に美しい笑顔のまま首を傾けるシュレリア様。
「それでは、頼みましたよ」
「はい、お任せを」
……とまあ。
こうして、私はいつの間にか現れたシュレリア様との邂逅を終え。
気づいたらベッドの上でした。
夢落ちかー……。
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