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レイナと航海と新スキル

「船旅って……暇だね」

「そうですね」


 船旅三日目。恐らくもうちょっとで帝国の港町には着くんだけど、それでも思う。

 暇だなぁって。


「どうせ海を行くなら海は海でもネットの海ってね」

「ねっと?」

「あー」


 横文字、たまに通じないんだよね。でも説明するのもめんどくさい……。


「ネットサーフィンしたいなぁ」

「さーふぃん」

「あぁー」


 これも通じないんだね。でも説明するの面以下ry。


「はぁ……異世界でネット使えたら超チートなんだけどなぁ」

「ちーと」

「はぁ」


 通じない。何もかも通じないよ。

 そんなことを思いながら、懐かしいワードをつい、呟く。


「おっけーくーくる」

「はい、なんでしょう」

「アイシェ、わからないなら返事しなくていいよ」

「いえ、私は何も」

「え?」


 でもいま、はいって。言ったよね?


「はいっていったよね?」

「言ってませんが」

「……?」


 えっと、つまり……?


「……おっけーくーくる」

「はい、なんでしょう」

「……うそん」


 私の100あるうちの一つ、キュアの強化に続いて、新しい能力の判明。

 それは……。くーくる。


「あの、クロム開けます?」

「はい」

「??」


 なんか私とくーくるさんのやり取りを変な奴を見る目で見つめるアイシェがいるけど、それよりも今、大事なことがあった。


「これ、私のPCの画面」


 なんでアンドロイドの機能でPCの画面が出てくるのかは謎過ぎるけど、便利な機能を見つけてしまったかもしれない。


「これは、革命だね」

「レイナさん、また物騒なこと考えてますか?」

「いやいやいや」


 確かに革命とは言ったけど、転生革命であって、別に何か事を起こそうというわけではない。


「ところでアイシェはこれ見えてる?」

「これって、その、謎の枠ですか?」

「お、見えるんだ」


 へぇ、便利なような、不便なような。


「それはなんですか?」

「うん? あーこれはね、インターネットっていう、とても便利な情報ツールだよ」

「いんたーねっと?」


 まあ横文字だし、現代用語だし、わからないよね。

 戸惑っているアイシェに、何かいいものは無いかと、例えを探す。


「うーん、古今東西、あらゆる情報をいつでも調べて閲覧できる、とてもペーパーレスな情報媒体?」

「は、はあ」


 どうもしっくり来てないね? まあ、私もしっくりこないけど。


「そうだね、何かアイシェは知りたいことある?」

「そうですね……レイナさんのレベルとか」

「……100だよ」

「……冗談ですよね?」

「あはははは」


 うん、超越者だしね、信じてもらえないよね。

 本来の限界値超えてるし。


「って、そうじゃなくて、こう、私でも知らないようなこととか」

「え? そうですね……レイナさん、知らないこといっぱいあるからなぁ……」

「むぅ」


 なんかちょっと傷ついた。失礼な、とは思わないけど、事実だし。でも傷ついた。


「でもそういう意味なら、あ、楽してお金持ちになる方法ないですか」

「アイシェってそんな俗なこと知りたがるんだね」


 いやまあ、いいけど。


「ちょっと待ってね。検索ワードは『MOA金策』っと」

「MOA?」


 あぁ、これも伝わらないよね。まさかこの世界がゲームの世界とか、言ってもわからないだろうし。


「この世界を私達はそう呼んでるだけだよ」

「私達って、ハイエルフですか?」

「……まあ、そんなとこ」


 本当は違うけど、まあ、いいだろう。

 今後ハイエルフにあったら誤解になりそうだけど。まあ、いいよね。


「で、今流行りの金策は……海の上ならシードラゴンの鱗剥ぎかぁ」

「え、こわい」


 この世界の人基準で考えたら怖いだろうなぁ……何せドラゴンってレベル70~が基本だし。シードラゴンは80レベルで海で戦うからその戦いにくさから90相当ともいわれるレイドボスだ。


「でもうん、私これくらいならできるよ」

「レイナさん、本当にレベル100なんですか?」

「うん」

「うわあ……」


 なんかアイシェがちょっと納得した感じだ。「通りで……」って顔してる。


「色々規格外だなと思ってましたけど、本当に規格外の存在だったんですね……」

「あはははは」


 なんだろ、褒められてない感じがしたのは私だけ?


「まあシードラゴンほどの大物の素材なら高く売れるとは思いますが……」

「そうだねえ」


 まあ、そりゃ売れるだろうねって話だよね、これじゃあ。


「あぁ、でも、あれって簡単に倒せる方法あるんじゃなかったっけ」

「へ?」


 なんかそんな話を、聞いたことがある気がする。


「えーっと、おっけーくーくる。シードラゴンの簡単なハメ技」

「こちらです」

「おぉ、出た出た」


 出てきたのは『誰でもできる! シードラハメ金策!!』なる動画。


「これを見たらアイシェもこのインターネットの凄さがわかるよ」

「は、はあ」


 というわけで、動画を視聴すること3分。


「あの、レイナさん」

「何?」

「まず、このどーがとかいうのが凄いのもそうなのですが」

「うん」

「人の到達点とされるレベル80でも及ばないシードラゴンを、こんなにあっさり倒せるなんて情報。古今東西どこにもないですよ?」

「……うん」


 まあ、うん、そっか!


「でも、はあ、わかりました。レイナさんの規格外の行動、発想はこういうところから来るんですね……」

「そういうわけでもないけど……」


 まあ、現代っ子なので、ネット情報でできてる偏った知識感がないとは言わないけどさ。


「この、特定の距離で特定行動を100%誘発できるから、そこに雷攻撃を入れるだけっていう……ハメ技? と言いましたか。なんでシードラゴンはこの行動から何も学ばないのでしょう。知能は低いんでしょうか?」

「う、うーん」


 なんでって言われても……仕様だからとしか言えない。


「というか本当にこんな風になるんですか?」

「あ、それ疑っちゃう?」

「普通疑いたくもなる光景かと」

「ふむふむ」


 ってことはあれだね、これは……。


「やってみようか?」

「嫌です!」


 全力で拒否られた。悲しい。


「実際はここまで上手くいかないかも知れないし、やってみないと!」

「い、いえ、上手くいったらいったで、何か知ってはいけない世界を知ってしまいそうなので……」

「そーお?」


 まあ。この世界がゲームに基づいた世界だなんて、思いたくないかもね。


「じゃあいっか」

「ほっ」


 こうして私は、暇に飽かして新しいスキルを発見した。

 このスキル、拡張性ありそうでいいなぁ、今後色々試してみよう。とかとか。

 そんなことを思いながら、アイシェと残り少ない船旅を、くーくると共に満喫するのであった。


ご読了ありがとうございます!


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次回更新は不定期ですが、書け次第更新とさせていただきます。

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