レイナと航海と海戦
「うーみーはひろいーなー大きいーなー」
「ご機嫌ですね、レイナさん」
「まあねー」
前の体では海なんて小さい頃にしか行ったことがなかったし、船なんて初めて乗った。
なので……。
「うっ……」
「レイナさん?」
なので……ナニコレ。
「きもちわるい」
「あぁ、船酔いですか」
なるほど……これが船酔いって奴なんだね。
「回復魔法を……」
「効くといいですね、魔法」
「そだね……」
効かなかったら困っちゃうね。
「キュア……」
「どうですか?」
魔法を使った瞬間、すぐに私の調子を確認してくれるアイシェ。優しいなあ。
「うん……まあ、良くはなったよ」
「それはよかったです」
「でも、また酔いそう……」
「あぁ……」
流石にそこまで便利ではなかったね……。まあ、また酔ったら使おう。
そう思いながら、遠くにある水平線を眺める。
「これ、あとどのくらい船が続くんだっけ」
「数日ほどだったはずですが」
「うわぁ……」
あと数日、このコンデションとお付き合いしないといけないんだね。
「はぁ……しんどい」
「本当に辛そうですね……」
「まあね」
いやあ、これはキツイね。下手したら魔王よりキツイね。
「水とか飲みますか?」
「うーん、遠慮しとく」
今のコンディションで飲んだら飲んだ分だけ出そうだ……何がとは言わないけど。
「さて……やることないねえ」
「何かする体力あるんですか?」
「無いね?」
とはいえこのコンディションのまま何もしないというのも苦痛だ。
何か紛らわせる方法とかないかなあ。
そんなことを考えていると、船長さんから声がかかった。
「魔物が出たぞ!!」
「えぇ」
「嫌なタイミングですね」
本当に嫌なタイミングだ。こちらはまだ本調子じゃないというのに。
「メテオフォールでも使おうかな……」
「こんなことで星を落とさないでください!」
でもねえ、面倒だし、つらいし、落としたくもなるじゃない?
「じゃあアイシェ、お願いしていい?」
「何をでしょう」
「魔物」
「あぁ……本当に辛いんですね」
そういって労わるような眼を向けるアイシェ。優しい子だねえ。
「そういうわけで、お願いします」
「はい、わかりました」
というわけで、私は船の中に引きこもり、割り振られた自室で安静にすることにする。
どんな魔物が出たのかも知らないけど……まあアイシェなら大丈夫だよね?
そう思いながら、私はそそくさと部屋に引きこもるのであった。
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