レイナと夢と新事実
「レイナ、久しぶりね」
「確かに久しぶりな気はします」
結構短いスパンに会っていた神様との再遭遇は、ゴーストタウンの一件を片付けたその日の夜に訪れた。
「いやあ、大変そうだったわねえ」
「そう思うのなら夢に出てきていただいてもよかったんですよ」
「何よ何よ、やたら丁寧に話すじゃない、怒ってる?」
「別に怒ってはないですよ」
別に怒ってはいない。ただ役に立たない、もとい便利じゃない神様だなあと思っただけだ。
「それで、何の御用で?」
「あぁ、それね。レイナに伝え忘れたことがあって」
「伝え忘れ?」
便利じゃないうえに忘れ物。役に立たない神様なのかな??
「この世界には魔王に召喚された異世界人がいるみたいなのよ」
「あぁ、住吉みたいな」
「すみ……? よくわからないけれど、そうね。それで、そいつらなんだけど」
「はい」
「レベル一につき、チートスキルが1個あるみたい」
「……は?」
いまなんと? レベル1につき……はい?
「だからレイナにも新しい力が必要だと思ったのだけれど」
「はあ」
まあ、住吉はレベル1だったからいいけど、これでレベル100なんてこられた日には100個のチートスキル持ちが出てきてしまうわけで。
「思ったんだけれど、気づいちゃったの、私」
「何にですか」
「レイナ、貴方今回キュアが今まで直せなかったプラス効果扱いのステータスを除去できることに気づいたでしょう」
「あぁ、はい」
「あれね、貴方の1つ目のチートスキルだから」
「……はい?」
それって、どういう?
「どうやらこの展開は日本の神様も予想していたみたいでね。レイナにもレベル分のチート能力ブーストがあるみたい」
「はい??」
え、何、私、え。
「私チート装備ありますよ?」
「それは装備でしょう。貴女に他にあるのは能力ブースト」
「能力ブースト」
なんだろう、チートスキルと何が違うんだろう。
「元々あるレイナのスキル、魔法にチートな能力加算、付いてるから」
「それってチートスキルと何が違うんですか」
「うん? そうね、例えばキュアがチートスキル……正確には魔法だけど、だとするでしょう?」
「はい」
「で、これはでも、スキルだからスキル無効とか、魔法無効にされると使えないわけ」
「はい」
「でも、能力ブーストはレイナ自身の固有の特技みたいなものだから、スキルや魔法の禁止、あるいは無効に左右されないわ」
「え、ずっる」
そんなのあり?
「あと、例えば触媒を介した魔法とか、そうね例えばヒールワンドやレイナの持っている降隕の杖ね、そういった装備固有の魔法。これにも反映されるわ」
「えぇ……」
そんな能力のブーストが100もあるの……?
「で、具体的にどんな能力があるんでしょう」
「さあ?」
「さあ?!」
さあ、って、知らないってこと?
「日本の神が何したかなんて知らないわよ。自分で探してね」
「えぇ……」
妙なところで便利じゃない。もとい使えない神様である。
「まあ、いいや、そのうちわかりますよね、きっと」
「そうね」
「はあ」
なんだかまた問題が増えた気がするなあ……。
「それで、他にお話は?」
「無いわね。もうぐっすり寝ちゃっていいわよ」
「はーい」
こうして久々の神様との対面は終わり。
私は謎のチートブースト100個を探すことになったのであった。
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