レイナと冒険者とテンプレ
翌朝。
「よっし、今日も元気だありがたい!」
私はベッドから跳ね上がると準備体操をする。
今日は冒険者ギルドに登録して早速軽い冒険をしてみようと思ってるからね。柔軟も欠かさないよ。
「さて、行きますか!」
私は元気よく扉を開けようとして、そこでふと止まった。
「あ、朝ごはんまだ頂いてないや」
私はそう思って下の階に降り、オリヴィエさんのところに顔を出す。
「あのう、朝ごはんって」
「ん? あぁ、嬢ちゃんかい。出来てるよ、おあがり」
「はーい」
朝起きたら食事が用意されてるなんてありがたいね。一生怠けたくなる。
「頂きます」
朝食は軽食のようでパン二つとスープの組み合わせだ。
「ご馳走様」
私は朝ごはんをサクッと食べ終えると、オリヴィエさんに冒険者ギルドの場所を訊いて冒険者ギルドに向かった。
「ここかあ」
冒険者ギルドに着くと厳つい人達が出入りしているのが目につく。
中には女性もいるけれど全体で見れば厳つさが勝つ。
そしてエルフが珍しいのかチラチラとみられる。微妙に恥ずかしい。
「さて。それじゃあさっそく入りますか」
私は恥ずかしいのは忘れて中に入る。中はより厳つい人達がごった返していた。
さて、受付は……お、きっとあそこだね。
カウンターらしきところに女性たちがいる。
「あのーここで――」
「おい待ちな嬢ちゃん」
「――冒険者登録できますか?」
「待てって言ってんだろうが!」
なんかテンプレみたいなのに絡まれそうだから無視したかったんだけど、余計に面倒な事になりそうだ。
ヤダね……こんな美少女捕まえてなにをしようっていうのかな。
「お前みたいな華奢なのが冒険者になろうってのかあ?」
「そうだけど、何か問題でもあるの?」
「大有りだね! お前みたいなのが冒険者の質を落とすんだよ!!」
「はー、マジでテンプレじゃないですかやだー」
これはもう、一戦交えるしかないね?
「えいっ」
「ちぇぶらしかっ?!」
もうメンドクサイので彼の……名前も知らない腹筋を叩くと、なんだか可愛らしい鳴き声を上げてギルドの外まで吹っ飛んで行った。
「て、てめぇ何しやがった!!」
「え、見えなかったの?」
どうやらさっきの名も無き腹筋の彼の取り巻きらしい男が声を荒げる。
「調子に乗って!!」
「えいっ」
「はんにばるっ?!」
なんだか今度はトマス・ハ〇ス原作の小説みたいな鳴き声で吹っ飛んで行った取り巻き一号。
「で、貴方もやる?」
「うっ、お、覚えてやがれ!!」
「忘れるまで忘れないよー」
私が適当にそう言うと、取り巻き二号は一号と名も無き腹筋を連れてどこかに消えて行った。
はあ、めっちゃ注目されてるよ。
でもとりあえずはもう突っかかって来る人も居ないみたいだし、うん、登録しよっか。
「あの、ここで冒険者登録できます?」
「…………」
受付のお姉さんは今見た光景が信じられないようで、目を丸くして口をパクパクするばかりだ。
「あの、お姉さん?」
「あ、はい! できます! 冒険者登録ですね?!」
「あ、はい」
今度は前のめりになって話してくるお姉さん、うん、ちょっと落ち着こうか。
「とりあえず落ち着いて。冒険者登録の手続きとかは?」
「あ、そうですよね。すみません……あのパーティ、実力は確かなんですが新人に対しての素行が悪くて……当ギルドも手を焼いていたんです」
「そうなんですか」
へえ、あれでも実力はある方なんだ。大丈夫かな冒険者。それこそ質が気になってしまう。
「それでは手続きの説明と冒険者についてご説明させてください」
「はい、お願いします」
そこからの説明は何となく要約するとこうだ。
まず冒険者証は身分証にもなる、これはステータスカードと同じかそれ以上を求められた場合に有用なのだそうだ。
あと、冒険者のランクは全部で8ランクあり、G~A、そしてSランクがあるのだそうだ。
ちなみにさっきの冒険者たちはなんとBランクだそうな。
「その強さですと、本来ならAランクの実力はあると思うのですが、残念ながらギルドでは最初はGランクからと決まっていまして……」
「はい、大丈夫です」
「ありがとうございます。それでは、今後の活躍を楽しみにしておりますね」
というわけで、私は冒険者になった。
さて、これからどうしようかな?
ご読了ありがとうございます!
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今日中にまた更新できそうならします。
よろしくお願いいたします。