レイナと住吉とゴーストタウン
「で、住吉。ゴーストタウンの住人達は?」
「ゴーストタウン?」
「あれ?」
これじゃ伝わらない? のかな?
「この砦跡の近くにある町なんだけど」
「あぁ、あそこの住人か、それなら――」
どうやら今度は伝わったようで、住吉は話し始める。
「あの町の住人はすべてこの工場で眠らせている」
「なんでここで?」
「労働力だ」
「労働力??」
どういう意味だろう。寝てるのに、働く?
「俺のこのスキルは、相手に夢を見せて、そのうえで自由に相手をコントロールできる」
「へぇ」
「スキル? それであの町の人たちを労働力に?」
私が一人納得していると、アイシェが質問する。
「そうだ……だがもう、それも終わりだ……」
「そしたらその人たちを解放してくれる?」
「あぁ……」
これでゴーストタウンの一件は解決かな?
「ところでレイナさん、これは今どういう状況だったのでしょうか」
「あ、そっか」
アイシェはスキルで寝てたことすら知らないんだよね。
どう説明しようかな。
「この住吉は特別な力を……持っていて。それで私とアイシェは寝かされてたみたい」
「レイナさんもですか?」
「うん、装備の効果は貫通されたし……レベル差のレジストも発動しなかったみたい」
つまりとても運悪く(住吉的には運よく)レジストできずにスキルに掛かってしまったわけだ。
「そうなんですね……なかなか厄介な相手みたいですね」
「そだねえ」
まあでも、もう次は無いし。うん。
「それで、住吉。町の住人は今どこ?」
「こっちだ」
そういうと住吉は私たちを先導するように歩き出す。
そして大麻畑の中を歩くこと数分、大きな扉の前についた。
「この中だ」
「おじゃましまーす」
私は住吉に連れられた部屋に入る。
すると。
「うわあ、これはすごい」
そこには多くの人々が雑魚寝させられていた。
「体痛くなりそう」
「気にするところそこですか?」
「えぇ? でも痛そうだよ?」
「まあ、そうですけど……」
さて、それで、彼ら彼女らをどうしようかな?
「ここで起こしてもなあ……説明が面倒……」
「そうですね、私は平気でしたが、パニックになるかと」
「だよねぇ」
うーん。
「住吉さ、この人たちに自宅に戻るように命令してくれない?」
「かまわないが……どうする気だ」
「自宅のベッドで起きてもらって、全部夢だったと思ってもらうしかないかなと」
「レイナさん……流石にそれは……」
「無理があるかな?」
「多分ですが」
「うーん」
ダメかなあ? いけそうな気もするけど。
「まあ何とかなるって!」
「レイナさん本当に前向きというか、ポジティブですよね」
そうかな? でもなんだろう、今の褒められてない感じがする。
「ってわけで住吉、この人たちを自宅のベッド上に移動させて」
「わかった、お前たち、各々の家に戻ってベッドで寝ろ」
「よしよし」
これで多分みんな家に帰るよね。
「あとは町全体にキュア掛けるのと……あとは」
「まだ何かあるんですか?」
「そりゃね」
主に大麻を焼くという仕事が残っている。
「大麻を全部焼くよ」
「俺の、俺の夢の国が……」
こうして、多分今回の一連の事件は幕を閉じた。
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