レイナと探索と大麻王
「中は明るいんだね」
「そうですね。明かりがあって明らかに人の出入りがある感じです」
アイシェが文字通り切り開いた地下に進むと、中は一本道になっており、通路の左右には等間隔で松明の明かりがセットされていた。
「この先に大麻王……じゃなかった、マリファナがいるのかなあ」
「行ってみましょう」
私とアイシェは気を付けながら通路を進んだ。
暫くすると扉に辿り着いた。
「せっかく冒険みたいだなと思ったのに、探検する場所殆ど無いね」
「そうですね」
とりあえず目の前の扉を開けてみよう。
私は扉に手を掛けるとそのまま押したり引いたりしてみた。
「……開かない」
「斬りましょう」
「おおぅ」
二度目の力業だね。
私はアイシェが斬りやすいように場所を空ける。
「斬れました」
「うん、切り開いたね」
アイシェが扉を切ると扉が崩れて、部屋に入れるようになった。
「入ろっか」
「はい」
私とアイシェは早速中に入ると、そこで凄いものを目にした。
「なんでしょう、植物ですか」
「あー、うん、大麻だね」
私もちょっろっとしか知らないけど、この葉っぱは多分大麻だよね。
「後で全部処分しないとだなあ」
「後で、ですか?」
「うん」
そう、だって今、マップに私達以外の反応が一つあるから。
「そこに居るんでしょう、マリファナ」
「え?!」
アイシェは素早く剣を構えると周りを警戒する。
私はと言えばのんきな構えである。
「貴様らは一体何者だ、人様の家に土足で入る不届き者よ」
「私達は冒険者だよ」
「冒険者だと?」
「そう」
私はマリファナの問いに素直に答えた。答える意味は無いんだけどね。
「その冒険者が何の用だ。人様の家の扉まで壊して押し入ったからには、覚悟は出来ているのだろうな」
「すごんでくるなあ」
でもいいのかな、こんな偉そうで。
「覚悟せよ、ここより先は死地だ!」
「えぇ……」
言ってる事大袈裟だけど……うーん。
「えい」
「ぐはあ?!」
はい、討伐完了。
「レベル1なのになんでそんな強そうなオーラだしてるのさ」
「き、貴様、それほどまでの強さどうやって手に入れた……」
「いや、私が強いっていうか貴方が弱いだけだよ」
そう、プロパティで見たけど、大麻王ことマリファナ兼『住吉』はレベル1だった。
「というか住吉って」
「何、なぜ私の真名を?!」
「まなて」
本名っていいなさいよ。メンドクサイ。
「貴方日本人でしょう」
「ぐっ、貴様、まさか!」
「そ、私もだよ」
神様の話だとこの時代に私以外の日本人は居ないって話だった気がしたけど、これは確実に日本人だよね。
「大麻なんてばら撒いて何したいの」
「金儲けだ」
「わあお、単純」
ものすごく単純な動機だった。
というか。
「貴方魔王なの?」
「魔王だと?」
「あら」
逆に聞き返されちゃったよ。
「ってことは魔王とは無関係」
「いや、私は魔王様に呼び出された忠実なる者だ」
「えーっとつまり?」
「魔王軍の幹部である」
「めっちゃボロボロ情報だすね」
まあこっちとしてはありがたいんだけど。
「魔王軍の資金調達の5割を私のマリファナが占めているのだ」
「へえ」
「だから見逃せ」
「うん?!」
いや、それはおかしいでしょう。
「見逃す理由あった?」
「貴様も魔王軍幹部として迎えてやるぞ。冒険者なんかよりずっと好待遇だ」
「ははあ」
なるほど、それで、見逃せと。
「えい」
「ぐはあ!!」
私は再度マリファナ兼住吉を小突くと、吹っ飛んだ住吉に話しかける。
「とりあえず詰め所まで行こうか?」
「くそっ……何故こんなことに」
「悪いことはできないものだってことだよ」
そんなわけで、私は住吉を連行することにした。
「アイシェ、警戒ありがとうね」
「あ、いえ、その、はい」
この間も他に敵が居ないか警戒していたアイシェにお礼を言う。
「さて、帰ってこってり搾り上げてもらうからね」
「くそ……なぜ……なぜなんだ……」
こうして、一旦は住吉を連れて街に戻ることにした私達。
街の異変との因果関係はまだわからないけど、きっと住吉から情報がボロボロ出て来るだろうと期待して、帰路についたのであった。
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