レイナと薬物と街
「大麻王……大麻ねえ」
「レイナさん?」
「あぁ、ごめんごめん、今後どうするかだったね」
やっつけた山賊達を馬車の荷台に詰め込んだんだけど、荷台がいっぱいになってしまったので私とアイシェは呼び出したユニちゃんに乗って移動している。
で、その道すがら今後どうするかの話をするってことだったんだけど。
「とりあえず次の街で憲兵さんとかに山賊を渡して、その後街で情報収集かな」
「なるほど……大麻王と戦う準備ですね」
「いやいや、戦うとは決まってないよ」
「そうなんですか?」
「そうなんですよ」
いくらなんでも魔王と戦ってばかりいたら旅が進まない。
とはいえ放置するのも……はあ、面倒だね?
「とりあえず情報が足りないからそこからだよ」
「わかりました」
そんなこんなで街へ向かう事数時間、夕暮れ時に漸く街に着いた。
「さて、憲兵とか衛兵さんに山賊を引き渡そうか」
「そうですね。彼らから情報を得られる可能性もあります」
「そだね」
まあ口を割るかは……よくわからないけどね。
私なら魔法で強引に聞き出すけど。
「ってことで早速門番をしている方に……ってあら?」
普通の街だと、門番というか、うん、衛兵さんとか居るんだけど、この街は居なかった。
「アイシェ、こういう街もあるの?」
「聞いたことは無いですね。不自然だと感じます」
「そっか」
なるほど……これはもしかしたらこの街はもう魔王の手に落ちているパターンかな?
などと思って、仕方ないので御者さんには他の街に彼らを連行してもらう事にした。
そして私達は予定していた通り、街中で情報収集を開始する。ただ、危険な街かもしれないので、単独での行動は避けて一緒に行動することにした。
「ほとんど人が居ない……というか居ないね」
「皆さん家に籠っているのでしょうか」
街中には活気が無く、人の姿をまったくと言っていいほどに見ない。
これは異常事態としか思えない。
「うーん、情報収集も難しいと来たかあ」
「どうしましょうか?」
「うーん」
情報収集が難しいとなると……あ。
「よし、寝よう」
「え?」
私はピンと来たよ。神様に訊こう!
「神様からお告げがあるかも知れないからね」
「なるほど、急に眠くなったのかと思いました」
「あはははは」
まあ確かに、急に寝るとか言い出したらそうなるかも。
「ってわけで、宿屋さがそ」
「そうですね……お店などはやっているのでしょうか」
「あー、酒場とかあれば情報収集にいいんだけどね」
でも酒場で情報収集が定番になったのっていつからなんだろうね。ドラ〇エ?
「さて、宿屋に到着っと」
「締まってますね」
「おぉう」
マジですか。この街本当にどうなっちゃってるの。
「仕方ない。街外れに家を出してそこで寝よう」
「そうですね……もう今日は日が落ちますし、明日また考えましょう」
「そだね」
私達はそうと決めると街を出て、街道から外れた場所に家を出した。
「それじゃ、まずは夕飯だね、作り置きのハンバーグでいいかな」
「はい、ご馳走になります」
アイシェから了承も得たので今日の夕飯はアイテムボックスさん保存のハンバーグだ。
出来立て状態で出て来るなんて本当に不思議だね。
「それじゃあ、頂きます」
「頂きます」
私達はその後、今後の方針などを話しながら、食事を楽しんだ。
「さて、それじゃあそろそろ寝ようか」
「はい、神託、期待しています」
「うん、そうだね」
神様頼りって言うのもどうかとは思うけど、うん、良いよね。
「それじゃあ、おやすみ」
「おやすみなさい」
私とアイシェはそれぞれの部屋に行くと、ベッドに潜る。
さて、神様とは会えるかな。
会えなかったらどうしたらいいんだろうね?
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