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レイナと夢と答え

「いやー、それにしてもよく倒したわね」

「まあ、レベルも差がありましたから」


 私は今、夢の中、マイハウスで神様と会話している。


「それでも魔王を倒すってなかなかよ? 凄いことだわ」

「はあ、ありがとうごさいます?」


 なんか褒められた? ので一応お礼を言っておく。


「さてそれじゃあ、早速だけど報酬の時間ね」

「あ、はい」


 そう言えば魔王を倒したら私の質問に答えてもらえる約束だった。

 さて、何を訊こう。


「じゃあまずは……勇者の代わりに魔王を倒しちゃってよかったんですか?」

「うーん、そうねえ。本当は勇者のレベルアップの為にも本人に任せるべきなんだけど、ほら、今回の魔王は放置してたら勇者まで死にかねないでしょう。だからいいのよ」

「そういうものですか」

「そういうものと思って貰っていいわ」


 まあ確かに、サロス達に病気対策が出来たとは中々に考え難い。

 そう言う意味では適材適所だったのかもしれない。


「後は、サロス達のレベルは魔王に通用するレベルと思えないんですけど、大丈夫なんでしょうか?」

「うーん、それもまた微妙な質問ね。今はまだ、と言ったところかしら。今後勇者達は魔王配下の四天王とかと戦うから、それでより強くなるでしょう」

「なるほど、そうなんですね」


 じゃあちょっと安心だ。今のまま魔王と戦って死なれてしまうと教育した立場として申し訳ない気持ちと悲しみで一杯である。


「そういう意味では、そうね、貴女の勇者育成度合いはかなり良かった方よ? 四天王くらいなら倒せるだろうから」

「そうですか。それはよかったです」


 それにしても、四天王かあ。魔王がいっぱい居るのに四天王なんていうのまで居るんじゃ大変だね。


「それと、私の事なんですけど」

「うん? 何かしら」

「私って今より強くなれますか?」

「また難しい事言うわねぇ」


 そう言うと神様はうーんと唸り、ひとしきり唸った後、口を開いた。


「まあ強くはなれるわよ。でもレベル上げっていう意味では簡単では無いわね」

「それはどうしてですか?」

「周りのレベルが低すぎて貴女の経験値になりえる存在が少ないからよ」

「なるほど……」


 確かにゲームでもレベル差が一定以上の敵からの経験値には下方修正が掛かっていた。

 力量差がありすぎると経験値にならないのだ。


「それではどうやって強くなるんですか?」

「そうねえ、もし今後、やむを得ず魔王を倒さなければならない時が来たら、その時は報酬として新しい力を授けましょう」

「なるほど」


 神様からチート装備、あるいは魔法や何かを貰って強くなれるってことかあ。


「ありがとうございます」

「まあ今回の魔王は報酬は質問に答えるだから、上げないんだけどね」

「うわあ、セコイなあ」

「失礼ね、質問タイムやめちゃうわよ」

「すみませんでした」


 神様相手にセコイは禁句だったようだ。


「それで、他に質問は?」

「はい、私の肉体年齢って何歳の設定ですか?」

「あー、それねえ。一応三万は超えているってことで覚えておいて」

「詳細な年齢は?」

「ちょっと計算が難しいから、答えられないわねえ」

「そうですか……じゃあ年齢聞かれたら三万は超えてるって言えばいいんでしょうか」

「その認識でいいわよ。まあ三万って言ったらこの世界の創成期からいることになるけど」

「うげ……」


 私はこの世界の始りから居たことになるらしい。

 まあゲームの方でもこの世界の始まりから遊んでいたし、うん、まあ……いいか。


「質問は今の所このくらいです」

「そう? なら今回はここまでね」

「あ、でも」

「ん?」


 私は2つ、重要な事を思い出した。


「私、この世界で色々新しいことをやってみたりしてるんですけど、大丈夫ですか?」

「あー。畜産とか料理とか? いいわよ、この世界をより豊かにする分に問題は無いわ」

「そうでしたか、ありがとうございます」

「これで本当にもうないわね?」

「すみません、あともう一個だけ」

「結構あるわねえ」


 神様もそろそろ疲れて来たのかもしれない。この質問で終わりにしよう。


「なんでこの世界では魔法やスキルは衰退してしまったんですか?」

「あー……それは、答えられないわ」

「え」


 神様でも答えられないことってあるのか。

 というか、それほど重要な秘密なの?


「別に秘密ってわけではないのよ? でもね、そう、話が長くなるのよ」

「はあ」

「だからね、こう、尺が足りなくなるのよ!」

「尺」


 尺が足りないというと、時間が足りないということだろうか。


「まあ仕方ないから、簡潔に説明してもいいけど」

「お願いします」

「元々貴方達プレイヤーが特別な力を持っていただけで、この世界ではそもそも魔法やスキルはそこまで重要視されてないのよ。発展途上といってもいいわ。だからね、衰退したんじゃなくて、もとからこうなの」

「はあ」


 なんとなくわかったような、わからないような。

 私達プレイヤーが特別なだけ……なのか。

 ゲームでは敵でも魔法を使って来る相手が居ただけに微妙に答えとして受け入れがたい。


「まあとりあえず、そんな感じだと思っておいていいわ」

「はあ」


 まあ、神様がそういうならそう思っておこう。


「それじゃ、今日はここまでね」

「はい、ありがとうございました」


 私は神様にお礼を告げる。

 すると、マイハウスの形が徐々に無くなっていく。


「あ、最後に、貴女の人生、貴女が楽しく生きていいからね」

「あ、はい」


 最後に神様にそう告げられると、私はそのまま目が覚めた。

 宿の天井が目に入る。うん、今日も元気だ。


「さて、また旅の始まりだね」


ご読了ありがとうございます!


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次回更新は不定期ですが、書け次第更新とさせていただきます。

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