レイナと炎とカルボナーラ
「エアウォーク」
私とアイシェは森に着くと、早速森を炎で焼くことにした。
まずは空から範囲を確認する為にエアウォークだ。
「で、このくらいの広さなら……広範囲化したファイアーウォールで森の淵を燃やして後は勝手に森の中心まで炎が広がるのを待てばいいかな」
わざわざ森全体を一度の炎で燃やさなくても、一部を燃やせば後は勝手に燃え広がるだろうという考えだ。
まあ駄目だったら後で全体的に焼き払えばいい。
「さてと、広範囲化=ファイアーウォール」
魔法を発動して一気に森の外周に火を点ける。
これで後は勝手に燃えるだろう。待つだけである。
「終わったよー」
「早いですね」
「まあ、まだ燃え尽きるまで待つ必要はあるんだけどね」
「そうですか、待機時間が出来てしまいましたね」
確かに、これから待ってる間どうしようかなあ。
「料理でもする?」
「お昼ご飯ですか」
どうせ暇だしたまには料理も悪くない。
「今回は何を作るんですか?」
「うーん、カルボナーラの気分」
「かるぼなーら?」
あちゃあ、これもご存じないのかあ。
この世界のパスタは基本的に塩ゆでしたものを主食におかずを食べるという謎スタイルだ。
いや、この世界では一般的なんだけど、私の感覚だとソースとか無いの? って話になるわけで。
「食べてみればわかるよ。おいしいよ」
「レイナさんの料理は絶品なので期待しています」
「おおぅ」
そう来られるとこちらも困るという物。
ハードルが高いと困るよね?
「じゃあ、料理でもしますかあ」
「はい」
病気で犯された森の前で料理って言うのもかなり絵面がおかしいけど、まあそこは気にしない方向性で。
「とりあえず家を出してっと」
アイテムボックスから家を取り出すと燃えない様離れた位置に置く。
一応私のスキルで作った家なので普通の火程度では燃えないが、あの火は私が放ったものだ。火力的に燃えてしまう。
なので離れた位置に置いた。
「さ、入って料理料理」
「はい、レイナさん」
そんなわけで家に入り、厨房に入る。
「さて、まずはソース作り」
「ソースですか?」
「そう」
私は牛乳を取り出す。後。この世界に来てからの数年間で独自に開発したチーズも。
「これを混ぜて、あ、卵も入れて……コショウに、塩っと」
うん、これだけでももう十分美味しい気がする。
「でもって、これを……置いといて、パスタを茹でます」
「置いておくんですね」
「まあ後で加熱するけど、いまやっちゃうとパスタ茹でてる間に冷めちゃうからね」
そんなわけで先にパスタを塩ゆでする。
「でもって、茹ったらお湯を切って、さっきのソースを加熱して、とろみが付いたらパスタに掛けて出来上がりっと」
はい、簡単なカルボナーラの完成です。
本当はもっと本格的なのがレシピにあったんだけど、今は簡単に出来るモノにした。
理由はそう、お腹空いてるから、早く美味しく食べたかったのだ。
でもまあ、例えばそう、ベーコンを入れるとかするともっと良かったんだけどね?
そこは気にせずサクッと食べられるモノにしたわけだ。
「じゃあ食べようか」
「こんなに早く出来るモノなんですね……頂きます」
「はい、頂きます」
さて、そんなわけで早速お食事タイムだ。
私はパスタをフォークでくるっとまとめて一口食べる。
うん、美味しくできてる。
後はアイシェがどう思うかだね。
「どう、アイシェ?」
「美味しいです! 流石レイナさん、本当に何でもできるんですね!」
「いやいや、何でもは出来ないから」
そう実際、森を焼く以外で病気を無くすこともできなかった…………あれ?
「キュア……かあ」
「? レイナさん?」
そう言えば病気自体はキュアで消せてた。だったら森全体にキュアを掛けてみるというのも手だったかも知れない。
あー、やらかしたね。完全に。知ーらないっと。
「何でもないよ、食べよ食べよ」
「は、はい」
私は現実から目を背けるとパスタを食べることに集中した。
あー、ホント、何でもは出来ないものだね?
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