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レイナと救済と夢

間違えてエルフの暇の方に更新しちまいました……え、知らない?

ま、まあそうですよね、すみません。

 家の中に入ると、私達は少女に続いて歩き、母親が居るという寝室に向かう。


「ところでお母さんは何の病気なんだっけ」

「えっと……お医者様も分からないみたいで……流行り病なんですけど」

「おぉ?」


 お医者さんも分からない流行りの病。うわあ、嫌な予感しかしない。


「アイシェ、ここに居て」

「え、なんでですか?」

「嫌な予感しかしないからだよ」

「どういう意味ですか?」


 どうって聞かれてもなあ……いやな予感としか言いようがない。


「もしかしたら流行り病が移るかも知れないでしょ。だからだよ」

「移ったらレイナさんに治してもらえばいいのでは」

「移らないのが一番でしょ。ほら、良い子だからここで待ってて」


 私は部屋の前にアイシェを立たせると部屋に入るのは私と少女だけにした。

 少女に関してはもう感染している可能性があるから一緒に治療するつもりだ。


「で、部屋に入って……プロパティ」


 母親のステータスを確認。はい、危険度MAX確定。


「キュア」


 無詠唱で治療魔法を使うとあら不思議。一瞬で『ペスト』も消え去った。


「あっぶないなあ。なんてもの流行ってるのこの国。ヤバいでしょう」

「お姉ちゃん?」

「あぁ、ごめんね、貴女も確認させてね、プロパティ」


 状態を確認する。この子も感染しているかな。


「うん、一応キュアで」

「?」


 状態異常にペストの文字は無かったけど、一応この後発症する可能性もあるから治療しておく。

 でもって流石にこの一瞬で私までもってことは無いだろうけど……。


「キュアっと。後は合う人に辻キュアするかな……」


 私は辻キュアか。なんか某魔法少女っぽくていい響きだね。


「アイシェ、終わったよ。キュア」

「あ、終わったんですね。で、なんで魔法を?」

「うん、感染力の高い病気だからね、一応だよ」

「お医者様も知らないような病気を知ってたんですか?」

「ま、まあハイエルフだからね? 経験値が違うから」

「なるほど、そういうものですか」


 アイシェは騙せた。うん、素直ないい子だね。心が痛い気がするけど気にしないでおこう。


「後は……そうだ、ヒール。これで体力もバッチリだから、ご飯とかちゃんと食べて安静にしていれば大丈夫だよ」

「確かにお母さんの表情が良くなってる……ありがとうお姉ちゃん!」

「いえいえ、どういたしまして」


 にしてもマジでヤバイのはここからだ。

 この世界、魔王とか以前にペストはマズいでしょ。


「この病ってこのあたりだけで流行ってるの?」

「そうですね……お医者様がこの病気は人に移りやすいからこの街から出ちゃいけないって言ってるのを聞いたことがあるくらいで……他の街がどうかまでは……」

「そっか……」


 まあ一国民でしかない少女がそこまで知っている訳も無いか。

 さて、どうしようかな……。私一人じゃ手の届く範囲しか守れない。

 薬の知識なんてないので、本当に私の助けられる範囲は限られてくる。


「とりあえずお医者さんに会いに行ってくるね」

「レイナさん、お医者様の居場所、わかるんですか?」

「……わかんない」

「な、なら私が案内します!」

「いいの?」

「お母さんを助けてくれたし、そのお礼です」

「そっか、じゃあ、お願いしようかな」

「はい!」


 こうして私は少女と共にお医者さんの居る診療所を訪れることになった。


「ここです」

「ここかあ」


 結構大きな建物だ。外観は街並みに合わされた普通の外観だけど、大きさはかなりの物だ。

 普通の街にあるにしては大きな方だと思う。


「さてそれより、たのもー」

「たのもー?」

「レイナさんってたまに変な言葉使いますよね」


 え、この世界ってこの言葉使わないの? 横文字ですらないのに?


「誰だ? またあの病気の患者か?」

「患者というより魔法使いかな」

「魔法使い……?」


 診療所に入ると私達を迎えたのはそれなりに年のいったおじちゃんだった。


「この街で流行っている病について情報を持ってきたよ」

「何? エルフか……? エルフの知識か?」

「まあそんなとこ。それで、この病気、ペストって言うんだけど……感染力が強いのはもう知ってるよね?」

「あぁ……だからこの街には出入りを禁止するよう明日にも話が付く予定だ」

「あー、そうなんだ」


 そりゃあまたいいタイミングというか悪いタイミングというか。私達が来たのが今日でよかったね。


「流行り始めたのは最近?」

「あぁ、つい最近の出来事だ。たったの一週間でこの診療所が逼迫する程の感染力だ」

「そっか……ならまだ間に合うよ。今から患者さん全員治すから。でも、感染している疑いがある人達は悪いけど軟禁してしばらく様子を見てね」

「あ、あぁ。だがどうやって治す? 治療薬があるのか?」

「魔法だよ」

「魔法?」


 この世界の魔法は本当に廃れてるんだね……こんなに便利なのに。


「そうだ、お医者さん、お名前は?」

「アレイスターだ」

「そう。私はレイナ。よろしく、アレイスターさん」


 そんなわけで、自己紹介も済んだしさっさと皆治しちゃおう。


「オールキュア」


 範囲化した治療魔法で状態異常を治療する。

 片っ端からプロパティして治すより全員一斉に治しちゃった方が早い。


「後はオールヒール」


 これで体力もいくらか回復しただろう。後はゆっくり自然回復を待つだけだ。


「こ、これが魔法の力なのか」

「便利でしょう。昔は皆使ってたんだけどね」

「そ、そうなのか……」


 そう言う意味では医者いらずな世界だったかもね?


「それじゃあ私達は宿に行こうか、アイシェ」

「え、もう終わったんですか? 本当に?」

「大丈夫、まだ発症する人が居るかも知れないから、暫くはこの街に居る気だよ」

「そ、そうですか」


 ペストはそもそも感染源が何処かにあるはずなのだ。

 それを潰さない限りまた感染拡大しかねない。

 原因を探る為にもこの街には居るべきだろう。


「さ、一旦宿にゴー」

「ごー?」

「また変な言葉使ってる……」


 私達は少女を家に送り届けると宿屋に向かった。


「さて、今日はもう夜も遅いからさっさと寝よう!」

「そうですね……ちょっと疲れる一日でした」

「だねえ」


 私達は宿を取ると、そのまま部屋に行き、直ぐにベッドに潜る。


「おやすみアイシェ」

「おやすみなさいレイナさん」


 その一言だけを交わすと、私は直ぐに眠りに落ち……そして。


「なんでマイハウス?」

「やっほう。久しぶりね」

「神様……?」


 私は久しぶりに、神様に遭遇した。


ご読了ありがとうございます!


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次回更新は不定期ですが、書け次第更新とさせていただきます。

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