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レイナと国王とご馳走

評価、ブックマーク等ありがとうございます!

これからも皆様に少しでも楽しんでいただける作品を、書かせていただければと思います。

「というわけで、ガゼフさん、一緒に食の革命を起こしましょう!」

「どういうわけですか、レイナ様」


 私は王都に戻り、肉の下ごしらえをした後、早速食の探求、主に肉の生産をするべく、仲間を求めた。

 で、その手始めがこの国の料理長、ガゼフさんだ。


「この国には食用の肉が無い!!」

「え、肉料理は出しておりますが……お口に合いませんでしたか?」

「そうじゃないのガゼフさん、料理はある、でも肉が無いの!」

「ですが牛肉や豚肉が……」

「それって魔物のことでしょう?」

「そうですが」

「そうじゃなくて、普通の牛とか豚の肉を使うの」

「牛や豚の?」


 そう言ってガゼフさんは目を白黒させて驚く。

 そんなになる程かな、魔物肉よりは普通じゃない?


「そうです、食用に育てた食用の肉を私は欲しているのです」

「それはエルフ特有の文化でしょうか……?」

「違うよ」

「ではレイナ様のお考えでしょうか」

「私のって訳でもないけど……まあそれでいいよ」

「??」


 ガゼフさんにはなんて説明していいか分からない。まさか地球の常識とは言えない。


「とにかく、食用に、美味しく食べる様に育てたお肉が欲しいの」

「なるほど……確かに、そのようなものがあれば料理の味が何ランクもアップしますな」

「そう思うでしょ?」


 実際その通りだと思う。何せ魔物の肉はね……硬いし臭みがある。

 ハンバーグにしたらそこまで気にならないけど、ステーキとかだと多分段違いだ。


「ってわけで、食用の牛と豚を用意してあります」

「そうなのですか?」

「そうなのです。そしてそれを使ってこれからご馳走を作ります」

「はて、それは何故でしょう」


 ガゼフさんが首を傾げる。お答えしましょうとも。


「国王や貴族に食べてもらいます」

「それは、何故です?」

「理由は簡単で、この国で大々的に畜産……食用の肉とかを育てたいから、権力者に協力して欲しいの。で、そのためにはまず、食用の肉を使った料理の美味しさを知って欲しいわけ」

「なるほど……そういうことですか」


 ガゼフさんは私の説明に理解を示してくれた。よかった、理解して貰えて。


「ですがレイナ様、国王陛下は分かりますが……他に貴族様のあてはあるのですか?」

「え、無いよ?」

「ではどうするのですか……」

「そこはほら、ガゼフさんに良さそうな貴族でも紹介して貰おうかなって」

「貴族様を紹介できるほどの地位に私はありませんよ……」

「そう? そっかあ。じゃあ国王に食べてもらった後にしよっか、広めるのは」


 そんなわけで私はサクッと料理を作り始める、話しながらでも出来る料理……ステーキなんか肉の味がよくわかっていいだろう。


「レイナ様は面白いことをお考えになりますな」

「そうですか?」

「えぇ、食用の肉というのもそうですが、その知識を個人の武器にするのではなく皆に広めようという試みも大変面白いものかと」

「そうかなあ」


 現代日本なんかじゃゲームでも何でもだけど、情報が大事な割にその大事な情報をネットでシェアするのもまた一般的だ。

 大々的に皆で共有するのが当たり前の世界から来ているからこの世界での情報の価値に疎いのかもしれない。これって危ないかなあ。


「まいっか。それより料理っと」

「今回はハンバーグではないのですね」

「お肉の良さを知って欲しいからね、ステーキで勝負するんだよ」


 ハンバーグが悪いとかではないんだけど、その方が素材の味が最大限生きるよね、多分。


「私にお手伝いできることはありますか?」

「うんと、じゃあ豚の肉でステーキ作ってもらおっかな」


 そう言って私は食肉に加工済みの豚肉を何切れか渡した。


「これが食用の肉ですか……脂がのっていて美味しそうですな」

「でっしょう」


 うんうん、だよねだよね。


「てわけで、手分けして料理作っていきましょう」

「はい、国王陛下により一層美味しい料理を召し上がっていただくためにも!」

「おー!」


 まあ私はそこらへんには興味ないんだけどね。自分が美味しいお肉が欲しいってだけで。

 そんなこんなで料理すること一時間程、ご馳走の準備が整ってしまった。

 早い、これで美味かったら早い美味い安い(今回はタダ)を体現してしまうね。


「さ、国王に持っていこう」

「はい、レイナ様」


 そんなわけで私とガゼフさんは国王の元にできたてのご馳走、ステーキを持っていく。

 ソースから手作りのこだわりの1品だ。美味しくないわけがない。


「レイナ様……それにガゼフ殿も、何様でしょうか?」

「ちょっと国王に差し入れを持って来たんだー」

「国王陛下にですか?」

「そ、美味しいよー。絶対また食べたくなるくらいにはね」

「そうですか、少々お待ちください――国王陛下、レイナ様とガゼフ殿がお見えです」

「入れ」


 私とガゼフさんは入室の許可を貰うと執務室に入っていく。


「それで、何様かな」

「国王に美味しい美味しいステーキをご馳走しようと思いまして」

「ほう、貴女は料理も出来たのか」

「まあね」


 えっへんと胸を張ってやりたい気持ちを堪えつつ、いや、私よくやってると思う!

 この世界に初めて食用の肉を生み出したのだから。


「って訳で、よければどーぞ」

「ガゼフも一緒だが、これはガゼフも作ったのか?」

「はい、国王陛下。私もお手伝いさせていただきました」

「ふむ、ならば美味いのだろうな」

「えー、そりゃないよー」


 それじゃあ私の腕が信用されてないみたいだ。

 まったくもう。


「それでは、まだ夕食には早いが……まあよい、頂くとしようか」

「やった」


 こうなれば後はこっちのものである、食べればわかる、わかる人にはわかっちゃう肉の違いがね!


「では…………うむ? これは、何と美味い! 口の中でとろけるようではないか!」

「よっし」


 とりあえずこれでお肉の良さは分って貰えたかな?


「これはどう調理しているのだ?」

「普通に焼いただけだよ、ホントはもっと手間を掛ければ色々工夫はできるけどね」

「普通に焼いただけでこうはならないだろう、それではもっと硬くて食べにくいはずだ」

「実はそれ、私の元で育てた食用の牛肉を使ってるんです」

「食用の牛肉だと?」


 私はそこから孤児院の件と絡めて、畜産を行っていることを話した。


「なるほど……それでこの味か……それで、何が望みだ?」

「お、話が早い」

「貴女が意味も無く私に料理を作ってくれるとは思っていない」

「言い方よ」


 それじゃあ私が計算高い打算塗れの女みたいだ。


「それで?」

「あーはいはい。えっとね、畜産をこの国主導でやって欲しいの」

「畜産をか?」

「そ、で。できれば庶民でも食べられるレベルで大々的にやって行って欲しいなって」

「それは何故だ」

「そうじゃないと牛とか豚が貴重ってなると盗もうとしたりする人が出て来るかもでしょう? そうなったら孤児院の子達が困るから、商品価値は下げたいの」

「なるほど……よく考えるモノだな。流石はエルフの王族といったところか」

「いえいえ、それほどでもないよ」


 ホントにね。エルフの王族とか設定だし。


「わかった、この件は私が責任をもって話を進めよう」

「よかったー。助かります」


 よしよし。

 これで何とか食用のお肉を安定供給できそうだね。

 私は自分のナイスな行動に内心胸を張って喜ぶのであった。


ご読了ありがとうございます!


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次回更新は不定期ですが、書け次第更新とさせていただきます。

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