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レイナと食と知識

 ローテとの仲直りから3ヵ月、私は月に一回はローテの所に顔を出すようにしていた。

 それ以外では休日はこの世界の情報、知識を集めている。

 で、今日も今日とて本を読み漁っていたんだけど……。


「絵本がナチュラルに怖い」


 なんとなく手に取った本が絵本だったので読んでみたのだが、内容は兎も角、絵がリアルタッチなので全然可愛くない。

 絵本ってもっとこう、可愛らしい子供向けの絵を描くものじゃないかな。


「まあ、別にこの世界の絵本が怖くても私には何の影響も無いんだけど」


 でもせっかくなら現代知識無双で可愛い絵柄の絵本とか描いてみてもいいかも知れない。

 なぜなら私は暇だから。


「休日ってどうやって過ごすものだっけ」


 私の元の体は肢体が不自由で毎日MOA三昧だった。そういう意味ではエブリデイ休日だったわけだけど。MOAのない世界、というか、MOAの世界で何すれば良いのかと言われると……。


「料理、冒険、釣りとか素材集め……レベル上げ?」


 そこまできて私は思った。

 私ってこの世界でどのくらい強いのだろうと。

 ゲームでは超越者だった私だが、実際この世界ではどうなのだろう。

 他にも超越した者が居たりするんだろうか。

 そう言う意味では勇者ってレベル何まで上がるんだろうね。

 それと、私自身も。この先強くなったり出来るんだろうか。

 うーん、色々知りたいことが出て気だけど、この王都の図書館でも答えは見つからないだろうね。


「そういえば神様が言ってたな、たまに夢に出るって」


 あれ以来一回も夢に出られてないけど、音沙汰無しって奴だね。


「今度会ったら聞きたいことが山積みだね」


 私の成長の可能性とこの世界の超越者について、そして勇者について。

 と、そこまで考えてまたふと思いいたる。


「勇者が居るなら魔王も居るのでは……」


 だとしたら大変、私の役目は今の所勇者を育てて送り出すことらしいけど、他にも何かやらなきゃいけないことが出て来るかも知れない。

 うーん、脳内だけは忙しいね。体は暇してるのに。


「そういえば」


 私はふと、また考えが浮かぶ。

 色々考えてはコロコロと思考の変わる頭だ。


「お肉について調べたいんだった」


 この世界のお肉、実は凄く怪しいのだ。

 だって私、牛肉を市場で買ったけど、この世界では畜産はメジャーではない様だった。

 じゃあそのお肉何処から出たの? って話になる訳で。

 とても怪しい。


「元はと言えばそれを調べに来たんだったね」


 つい絵本に気を取られて、そのままフラフラと思考が漂ってしまったけど。


「この本とかよさげだなあ」


 料理大全と書いてある。

 料理について色々書いてあるのだろう、多分。きっと。


「で、何々。うんうん、へー、アウトじゃん」


 この世界のお肉、アウトだった。


「オークの肉を豚肉って書いてある辺りがもう」


 もうね、内容が凄かったよ。他にもミノタウロスの肉が牛肉なんだって。

 後は牛でも豚でもない肉としてウルフ肉なんかはメジャーなお肉らしい。

 ゴブリンとかの肉は食べないようだったけど、いや、豚肉と牛肉はアウトでしょう。


「これはアレだね、食の革命が必要だね」


 まあぶっちゃけこの前のミノタウロス100%のハンバーグも美味しかったよ。美味しかったけど、こう見てしまうとね、やっぱりお肉は食用じゃないとなって思う。


「そんなわけで、レッツ畜産」


 私は思い立つと、図書館を出て牧場に転移した。


「おー、皆やってるなあ」


 牧場に着くとみんなが元気に牛や豚、鶏の世話をしていた。

 あ、ちなみにこの数ヵ月で新しい牛とか羊も入れたからみんな忙しそうにしているよ。

 でも私は手伝わないけどね! だって私は暇だから!!


「とまあ冗談はさておき、暇だから開拓に来たよー」

「レイナお姉ちゃん?」


 孤児院の子が1人気がつくと、他の子にも伝播してわらわらと寄って来る。

 子供に大人気ってこんな気持ちなんだね? マスコットも大変だ。


「皆真面目に仕事してたね」

「うん! レイナお姉ちゃんのおかげで毎日楽しいよ!」

「そか、それはよかった?」


 毎日仕事してて楽しいなんて将来有望な社畜だね。

 っと……日本人の悪い癖が……。


「今日も牛乳買いに来たの?」

「うん、それと卵も……っとその前に、ちょっと相談があってね、マーガレットさんいるかなあ」

「院長なら今は孤児院だよー」

「そっか、ありがとね」


 私は情報を貰うと早速孤児院に向かった。


「院長先生こんにちはー」

「あらレイナさん、いらっしゃい」


 私はマーガレットさんにご挨拶すると、とりあえず本題に入ることにした。

 何せ手が空いてそうだったからね、すぐ行動だよ。


「牛とか豚の件でお話しがあるんですけど」

「あの子達ですか?」

「う、うん、そう」


 あの子達って、なんか既に愛着沸いてる感じだね。


「子供を増やすのに何頭か残して、後は私が買い取ろうと思うんだけどいいですか?」

「レイナさんがですか? 一体何を……」

「ちょっと王都でも畜産しようと思ってそのために色々と準備を」

「はあ、そうですか……元々レイナさんの買ってきた牛ですので、お金を頂くのは余り気乗りがしませんが、あの子達が必要なのでしたらどうぞお連れになってください」

「あーうん、一応言っておくけど帰っては来ないよ?」

「わかりました、そのように子供達には言い聞かせておきます」

「あ、はい」


 うん、やっぱり子供たちがね……寂しがる子もいるよね……。

 自分で世話してたら愛着沸くよね……そうだよね……。

 でもこの世界で生きていくうえで大切な事だ、うん。


「それじゃ、お金は置いて行くんで、何頭か貰っていきますね」

「はい、わかりました」


 商談が成立したところで牛を買うのにお金を出す。

 一体、一匹いくらくらいが相場なのかは知らないけど、ま、多めに出しとこう。


「はいどうぞ」

「こ、これは白金貨?! こんなには頂けません!!」

「いやいや、後々考えたらこのくらいはするよ?」


 知らないけど。多分、高級品になると思うから、うん。

 ちなみに余談だけど、この世界では一定のリーネを一気に出すと勝手にこの世界の通貨に変換されて手元に出る。不思議だよね。神様補正かな。


「そ、そうですか……?」

「そうですよそうですよ」


 とりあえずここはゴリ押しておく。他に上手い手が思いつかない。


「で、では頂いておきます」

「はーい」


 よっし、これで牛と豚をゲットだね。


 後はこれを使って王都で大々的に畜産できれば……。


「ふふふ」


 私は今後の食生活を考えて、1人ほくそ笑むのであった。


ご読了ありがとうございます!


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次回更新は不定期ですが、書け次第更新とさせていただきます。

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