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レイナと異世界と神との邂逅

「ここはMOAのマイルーム?」


 私は見覚えのある、とある場所。私自身の家にいた。


「なんで今更……?」


 そう思ってとりあえず部屋を見渡していると、居た。

 知らない、赤髪の耳の尖った女性が。


「案外早かったわね、こうして会う事になるの」

「貴女は? ここはどういう場所ですか?」

「あら、質問はその二つだけ? まあいいけど」


 私の急な問いに、女性はまあその程度は想定内だったと言わんばかりに構えている。


「まず私はハラルドよ。戦の神なんて言われてるけど専門は錬金術よ」

「は、はあ」


 戦の神と錬金術じゃ大分違う気がするんだけど。


「人間って勝手よねえ、昔ちょっと戦争で暴れたら戦の神ですって? そういうのは他に適任がいるでしょうに」

「は、はあ」


 なんか神様の愚痴が始まっちゃったんだけど、どうしようこれ。


「っとまあ、そんなことは良いわよね? 後は? この場所か。この場所は貴女のMOA時代のマイルームを模した仮想神域よ」

「仮想神域」


 なんか凄い名称だね。神域ってことは神様の居場所かな。


「貴女をここに招くにあたって、少しでも見慣れた場所がいいかなあ、とか色々考えてあげた結果こうなったわ」

「それはどうも」


 神様なりに気を使ってくれているらしいのでお礼は言っておく。

 久しぶりの我が家に動揺もしたけど、ちょっと安心できるのも事実だ。


「それで、他に聞きたい事とか無いわけ?」

「そ、そうですねえ」


 そう改めて聞かれると聞きたいことはいっぱいあるような、無いような。


「私が転生したのは……何故ですか?」

「貴女が現実よりこっちがいいって言うから、丁度良かったのよ」

「何に丁度良かったのでしょう」

「世界を救うのによ」

「はあ」


 私の転生の意味は世界を救うことらしい。

 なるほど? でも、それでなんで私?


「MOAは元々この世界を元にして造ったゲームで、いつかこの世界に訪れる絶望を回避する為に必要な英雄の素質を持った人間を探す為の物だったのよ」

「はあ」

「そこで、高い戦闘能力と、不老不死の体を持ったハイエルフに成れた貴女が適任だと判断したわけ」

「なるほど?」


 それでかあ……うーん。


「他にはプレイヤーは居ないんですか?」

「居たわよ。貴女とは違う時代にだけどね」

「そう、ですか」


 つまり今には居ないという事だろう。残念だ。


「さて、他に質問は?」

「えーっと」


 さっきから逆質問攻めを喰らって困っている。

 そんなに質問したいことがポンポンとは浮かばない。


「無いのかしら。無いのならここからは神託タイムね」

「神託ですか」


 神託、一体何を言われるんだろう。世界を救えはさっき言われたしね……。


「まず、貴女は今のまま勇者を育てなさい、そして来る日に勇者を送り出すのです」

「勇者を送り出す?」

「えぇ、一緒に行っては駄目よ、彼の成長に必要なことなの」

「はい、わかりました」

「それと、これからたまーに貴女の夢に出て神託をしてあげるから、有効活用なさい」

「は、はい」

「それじゃ、今日はお開きね」


 そう言うと神様は腰掛けていた椅子から立ち手を振る。


「また会いましょうレイナ。貴女がこの世界にとって救済にならんことを願って」


 神様がそういうと、そこで意識は神殿に戻った。


「レイナ様、レイナ様?!」

「は、はい!」


 どうやら私は意識を失っていたらしい。周りの人にかなり心配された。


「一体何が起こったというのでしょう……」

「あー、一応神様から神託を授かりました」

「なんと! 戦の神ハラルド様から?!」


 とは言え神託の内容は明かさない方が良いだろう、多分だけど、そんな気がする。


「やはりレイナ様は神の使徒であらせられた」

「おぉ……」

「えぇ」


 ジェムさんの言葉に周りが「おぉ」と唸る中、私は別に使徒では無いよなあと思う。

 まあ神様のおかげでこの二度目の人生があるのは間違いないんだけどさ。


「皆の者、よく聞きなさい。ここに居る流星の魔女様は神の使徒であらせられる! 半年前の一件はその使徒であられるレイナ様の神の怒りを代行したものである!!」

「おぉ!!」

「いやいやいや」


 そんな大層な物じゃない。ただ神様から貰った武器を使っただけだ。

 あれ、でもそれなら神の代行? うーん?


「これにて彼女が人類の味方だと改めて証明されたものとする!」

「おぉーーー!!」


 大きな歓声の中、拍手が響き渡る……。

 こうして私こと一條嶺菜は神の使徒兼、流星の魔女になったのだった。


ご読了ありがとうございます!


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次回更新は不定期ですが、書け次第更新とさせていただきます。

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