アイシェと稽古と母への手紙
アイシェ視点です。
短い幕間みたいなものですが、ちゃんと本編は今日中に上げます。
「ふうっ……今日も疲れたー」
私は自身に割り振られた個室に入ると、ふうっと溜息を吐いた。
今日の稽古もかなり疲れた。サロス君と交代でやっているから休憩が無いわけ時じゃない。だけどそれでも大変だ。
何せ相手はあのレイナお姉ちゃんだ。
盗賊相手に素手で勝ったり(しかも手加減していた)オークを瞬殺したりするほどの人だ。
他にも色々やっていて、レイナお姉ちゃんは冒険者ランクAなのだそうだ。
短期間でAランクなんて聞いたことが無いし、そもそもAランクの冒険者自体が珍しい。
「恵まれてるな、私」
そんな人に命を救ってもらい、母も救ってもらい、旅に同行して稽古まで付けて貰える。
こんなに恵まれているのだ、疲れたとかばかり言っていられない。
「そうだ、手紙書かなきゃ」
私はここ最近母に毎日のように手紙を出している。
正直毎日だと書くことも少ないけど、元気にやっていることを母には知っていて欲しいから毎日書いている。
「今日は、稽古の事を書いて、後は――」
そう言えば今日の晩御飯はレイナお姉ちゃんが作った「ハンバーグ」というものだった。
お城で出る料理にも最初はビックリして、本当に美味しくて感動したけど、レイナお姉ちゃんの作るハンバーグには敵わなかった。
「あんなに料理出来るのになんで今まで自分でしなかったんだろう」
とても不思議だ。アレだけの腕があるのに今まで買い溜めした肉串とかばっかり食べていたのだ。
レイナお姉ちゃんは食事にあまり頓着がないのかなあ。
「あんな美味しい料理なら毎日食べたいな……」
でも流石にそれは言えない。
レイナお姉ちゃんのことだから私が言ったら叶えてくれそうだけど、レイナお姉ちゃんはただでさえ私達の稽古で忙しいのだ、余計な手間を増やすものではない。
「さて、これでいっかな」
今日は稽古の事、そしてレイナお姉ちゃんのハンバーグについて書いた。
私はそれをメイドさんにお願いして出してもらうと、ベッドに転がった。
「今日もいい一日だったな、明日もいい一日でありますように」
そう思いながらも、疲れ果てていた私は直ぐに眠りについた。
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次話更新は今日中を予定しております。




