レイナと冷戦と熱風
「レイナ、第一関門よ」
「はい?」
とある町の宿屋でのこと。急にハラルド神が第一関門とか言い出した。
「この度には何回か、大きな壁があるわ。そのうちの一つよ」
「はあ」
「というわけで、お告げのようなものよ。聞いとく?」
「聞きます」
私はこの世界に関してあまりにも疎い。アイシェがいればなんとかなるけど、この旅には居ない。
なのでハラルド神を頼ることにした。
「この先には火山群を挟んで東西に小国があるんだけど、今その二つの小国はいわゆる冷戦状態なのよ、だから――」
「シロちゃんに乗せてもらって飛び越えましょう」
「――だから、問題を解決してあげなさい」
「えぇー」
国同士の問題に首を突っ込むなんてめんど……ナンセンスだ。
私はそもそもエルフの王族だし、首を突っ込めば国同士の諍いに他国まで突っ込んでくる形である。
「えぇー、じゃないでしょ、お告げよ? ちゃんと聞いて、実行して」
「でも、私ハイエルフですよ? 他国の問題に首突っ込んでいいんでしょうか」
「そうねぇ、まあ、なんとかしなさい」
「えぇ……そこにお告げが欲しい」
ヒント無しかぁ、きついなぁ。
「かに……アシエさん! ご飯来たよ!」
「ん? そうみたいね?」
「アシエさん、どうぞ」
「レイ、ありがと」
ハラルド神からのお告げが終わると、ちょうどいいタイミングで宿の食堂で頼んだ食事が運ばれてきた。
ちなみに、アシエって呼んでいるのは、神の名前を一個人に向けて呼ぶのが不遜だから、だそうだ。そこで前に使っていた名前、アシエと呼ぶことにしたのだ。
「それで、これから行くのって方角的に西の小国からですよね?」
「そうね」
「どんなところなんです?」
「ん-、暑いわ」
「……他には」
「凄く息苦しいわね」
「はあ」
「あとちょっと灰かぶってるわ」
「えぇ……」
それって火山群が近くにあるから……かなぁ。
灰かぶりの国……かぁ。
「そんなことより、ご飯食べないとよ?」
「あ、冷める前に食べたい」
せっかくのご飯が冷めたら勿体ない。
私は早速意識を切り替えて、ご飯に集中。
「これは、この鍋料理はなんでしたっけ」
すごく煮立ってて、辛そうな香りと、赤い見た目、なんだろうね……。
「このあたりの郷土料理ね。店のつけた商品名は確か……『激辛・熱風火山群鍋』ね」
「凄い名前のセンス」
全部漢字。すごい。
「辛くて温まる料理だから、冷めないうちにね」
「はい」
「いただきますっ」
「いただきます」
皆でいただきますして、ご飯を食べ始める。
まずスープ。うん、かなり辛いね、美味しいけど、辛い。これはレナ達には早いかな?
「おいひい!」
「ん、美味」
「いけるんだ」
レナとレイ、辛い物が好きみたい。以外かも。
「レイナ、ちゃんと作戦も考えなさいね」
「そうですね、でも、まずはご飯、それから就寝、件の国に着いたら考えますね」
「めっちゃ先延ばしね」
「だって何を考えればいいかすら、情報が無さ過ぎて」
私が言いながらも鍋をつつくと、ハラルド神があきれた様子を……見せるかと思いきや。
「あ、それ私の肉」
「え、そういうのに気にするんです?」
「するわよ?」
「えー」
「えー、じゃないわよ。いいからほかのにしなさい」
「はーい」
まあ私は拘りないし、どれでもいい。
「素直に聞いてくれた褒美に、後で一回だけヒントをもらう権利をあげましょう」
「アシエさんって優しいですよね」
「まあね、役職柄ね」
ここで神だからとは言えないわけだけど。ホントに面倒見のいいひとだ。
「小国の諍い……か」
食事をしながら独り言。あんまりそういうの得意じゃないんだけどなぁ。
そんなことを思いながらも鍋のお食事は進む。うまい。うまいよ。
この鍋のように、一纏まりに仲良くできたら、いいんだけど。
ふぅ、明日も頑張らないとね……!
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