レイナと経路と旅路
「で、何で行くのかしら」
「ん?」
ガザンへの旅の初日。ハラルド神が変なことを聞いてくる。
「何で、とは?」
「私そんなに変なこと言った? 何でって言うのは、陸路なのか海路なのか。空路でもいいけれど、どういう経路で、何で行くのかってことを聞いているのよ」
「はあ」
なるほど? でもこの世界、空路なんてあったっけ。
「普通に旅がしたいので、陸路と海路で、徒歩とか馬車とか、船を使って行くつもりですが」
「マジ?」
私の答えに、ハラルド神が渋い顔をする。
「マジですが」
「正気なの? 本当に数年掛かる旅になるわよ?」
「はあ」
そりゃまあそうなんだろうけど、今更だ。
その覚悟でサロス達も家族会議兼、お別れ会をしている。
「あのね、レイナ。貴女は私の神域にイメージで来れたでしょう? ガザンにだってそれでいけるんじゃないかしら?」
「まあ、行けるでしょうけど」
それじゃあ旅じゃない気がする。
「せめて空路使わない? ドラゴンとか」
「シロちゃん? まあ、使ってもいいですけど、海路よりは空路の方が酔わないし」
「そういうことじゃなくて……」
どうやら神様は時短したいようだ。しないけど。
「この旅はレナとレイに外の世界を見せる意味もあるんで、短縮は最低限ですよ?」
「そ、そう……そうね、そっかぁ」
私の言葉に遠い目をするハラルド神。うん、どんまい。
「そろそろ行きませんか?」
「そ、そうね。行こうかしら」
そんな話をアイシェ家の客人用寝室で済ませ、私達は下の階に降りた。
「おはよ、皆」
「おはようございます、師匠」
皆に朝の挨拶。返ってくる挨拶。うん、いい朝だね。
「レナとレイは、準備できているかな?」
「うん!」
「はい」
「そかそか」
それなら、問題ないね。
「いこっか」
「いこー!」
「出陣」
出陣は何か違う気がするけど、まあ、いっか。
二人はやる気元気十分だった。
「レイナさんとハラルド神が一緒ですから、これ以上なく安全だとは思いますが……」
「うん、心配だよね。アイシェはお母さんだもん。心配で当然。でもね、アイシェのお母さんも、昔送り出してくれたんだよ」
「……そう、ですよね」
アイシェはやっぱり心配なようだ。娘ちゃんが大事だろうし、レナはちょっと危なっかしいしねぇ。
「レイナさん、ハラルド様。どうぞよろしくお願いします」
「ん、任せて」
「神の名に誓って、彼女たちの安全を保障するわ」
「ありがとうございます」
昨日お別れ会はしたけど、やっぱり別れはつらいよね。
でも、まあ。転移で帰っても来れるんだけど、旅の風情がなくなる気がするから、あんまり使う気もないのだけれど。
「さて、それじゃあ本当に出発だね」
「レナ、レイ、レイナと私の言うこと、ちゃんと聞くのよ」
「はい、神様」
「かにたま!」
「大丈夫かしらこの子」
「まあまあ」
レナをみて、ハラルド神が不安そうにする。可愛くていいと思うけどなぁ。
「はい、出発!」
「「出発!!」」
こうして、私達の旅は始まった。
さあ、行こうか!
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