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レイナと風と新魔法

「風、電力、磁力……?」


 エウロスに戦闘の操作を任せ、深く魔法について考える私。

 そもそも魔法はイメージで発現する。ではそれを起こす魔力はどうだろう。

 魔力は自身の魔力を使うこともあれば、大気中の魔力を使うこともある。最強の魔王と言われていた魔王は他者の魔力すら操ることができた。

 であればこれもイメージであり、どこの魔力を使うか、どう変化させるか、どう効果を及ぼすか。ざっくりこの三つがイメージできれば、魔法は成る。

 とはいえもっと細かいイメージを要することもある。それは魔法の発現に慣れていない時だろう。より精密で明確なイメージが必要になる、それは慣れていないとイメージしないと、考えないとできないからだ。

 どんなことだって始めは不慣れだったりする。それで考えて、イメージして、繰り返して上達する。その過程で考えたこと、イメージしたことは知識と経験になり、蓄積していつの日か考えなくても、イメージしなくてもできるようになる。魔法もそう。

 で、ここからが重要。本来的に魔法も魔力も使う際に必要なのはイメージだが、それはあくまでも慣れるまで。慣れたらいらない。

 では、慣れたらいらないイメージに必要な明確さ。言い換えて、言葉の意味も変わるが、正確さは、いらないのか。

 慣れればそれが正しくなくてもいいのか。ということ。

 そしてそれはおそらくだけれど、魔法に関していえば是だと思う。

 つまり魔法とは、イメージであり空想であり、空論だ。

 想像し、空想し、空論を正論に変える法則や概念を無視した超常的なモノ。

 さて、ここまでこんなことを考えたのには理由がある。

 それは、先日の神様の使った『神の槍』だ。

 確かに原型たる神の杖は想像もつかない高威力の兵器だ。とはいえそれを、魔法で再現したからと言って、いや『再現したのに』あの威力になるだろうか。

 もちろん強化はしている。だから高威力、それもそうなんだろうけど。それだけではない気がするのだ。

 イメージしたから高威力、こっちが正解な気がする。

 つまり、魔法とはイメージである。

 リソースも、過程も、効果も何もかも。イメージして、イメージできれいれば、超越する。それが魔法。


「だったら……」


 私は呟くと、魔法を構築した。

 もちろん、慣れてない私がやるのは、効率的ではない。何しろイメージが必要だから。でも。


「ファントム改」


 私は強化ファントムを出した。これの強化した部分は『イメージ』とか『想像力』だ。

 もっともっと言えば『神の槍』を再現できる、私だ。


「お願いね」

「おっけー」


 私の分身が気楽に答える。これで後は……時間を稼ぐだけだね。


「オート戦闘解除。エウロスはソードビットの操作に移行して」


 私はキリのいいタイミングでオート戦闘を解除して、自分で戦うことにした。

 目的はファントムを守るためだ。オート戦闘でもできるかも知れないけど、自分でやる方が安心だった。


「さ、やろ」

「キサマ、ハ、ハイジョスル」

「はいはい」


 とりあえず戦闘を再開。そして、うん、びっくり、ものの数分でファントムが魔法を完成させていた。


「それ、撃たないでね」

「巻き込むからしないよー」


 ファントムが答える。よかった。分身に殺されるとか、笑えない。


「ファントム」


 さらに戦闘中に分身を出す。目的は交代だ。


「アレ使うから、敵を引き付けて」

「はーい」


 ファントムと交代して、私は後退した。交代して後退……違うよ?


「で、使うとどうなるのかな」

「環境に配慮して、定点で効果を発揮するように調整したよー」

「ふむふむ」

「ミスリルは無いから、神様製造のソードビットを弾にしてみたよ」

「うんうん」

「で、これを風を使って生成したプラズマを利用して飛ばすよ」

「ほうほう」


 うん、意味わからない。多分イメージで大部分を補っているんだろうなぁ。


「で、撃つと、どうなるのかな」

「ファントムくらいは巻き込むけど、この街とか世界が滅ぶとかは、ないよ」

「じゃあ使おう」


 こうして完成した『神の槍』改め『神の剣』を使うことにした。


「うっかり横に飛ばして変なの巻き込むのも嫌だから、下から上で」

「はーい」


 私の指示で、ファントムが魔法を使う。


「ソードビットもオート戦闘解除。さ、いっくよー!」


 こうしてソードビットを弾にする準備もした。

 そして。


「いっけぇ! 『神の剣』!」


 ソードビットが撃ち出される。空間が歪み先にあるものが歪んだ空間に固定される。


「ッ! ウゴッ!」


 動けない。そして。投射されたソードビットが対象を貫く。


「質量がない分の威力はどうやって補正してるの?」

「魔法はイメージ、魔力もイメージ、なら魔力を伴うと攻撃力が上がるソードビットは、イメージされた魔力の依存先によって攻撃力が変わる。世界と宇宙の魔力に依存させたから、その威力は想像できない程だよね。まあ私は、勝手に想像しちゃうんだけど」


 ファントムはそう答えた。

 つまり……あれって威力、とんでもない?


「あ……」


 ソードビットが向かった先の夜空の星々が消えていく。多分粉砕したんだろうなぁ。


「宙の果てまで威力が届くんだね」

「まあその宙の力を使ってるからね」


 うん、ヤバい魔法を作ったな、私。

 こうして魔神の本体は空間ごと消し飛んだんだけど……あれ、分身消えてないな。

 どうやらまだ、魔神の残りを倒す戦いが、続きそうだね?


ご読了ありがとうございました!

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次回更新は次回日曜日の21:00までを予定しております。

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