レイナと家族と日常
「んん……はっ! 今日も元気だありがたい!」
今日も今日とて元気な私は、最近になってようやく見慣れた天井を目にして目覚めた。
「さてさて、今日はなにして遊ぼうかなぁ」
手早く身支度をしながら、独りごちる。
遊ぶ、というのも一人ではない。というのも。
「レイナさん、起きてますか?」
「はーい」
部屋の外から声がかかる、アイシェだ。
「おはようございます、レイナさん」
「おはよ、アイシェ」
私は今、アイシェとサロス、二人のお家でお世話になっている。
大老達の王族化計画も終わり、かなり早いが、アイシェ達の元で一緒に過ごすことになった。
いきなり5歳だから今日から師匠ってなるより、慣らしの期間があった方がいいよねっていう判断である。だからこその、何して遊ぼうかなぁ、である。
「レイナさん、今日なんですが」
「ん?」
「時間はありますか?」
「いつもあるけど」
「……そうですね」
「何、今の間」
なんだろうね、ちょっと失礼なこと考えてたんじゃないのかな?
「今日はお出かけしませんか?」
「お、デート?」
「レイナさん、やっぱりそっちなんですか」
「違うって、冗談、じょーだん」
「あ、そうでしたか、よかったです」
「そんな心底安心した顔しなくても……」
それはそれで傷つく。そっちじゃないとは言ったけど、実際可愛い女の子は好きだし……。
「で、お出かけって、何か用でも?」
「いえ、特には。ただ娘たちがお出かけしたいと言い出したので」
「娘に甘いなぁ」
「レイナさんがそれいいます?」
「む?」
私に娘はいないよ。まあ、可愛い妹分には甘かった自覚あるけどさ。
「それで、レイナさんもどうかな、と。あ、最近もう言わなくてもいいかなと、思うこともあるのですが、レイナさんも家族ですので」
「そっかぁ」
そういうことなら行かない選択肢はないね。
「にしても、言われ慣れたなぁ」
「ふふっ、そうですか?」
レイナさんも家族ね。ホント、いいこと言ってくれる妹分だよ。
ここに来た後さんざん言われたんだよねぇ……「レイナさんも家族ですから」って。何か遠慮しようとすると「家族に遠慮はいりませんよ」ってよく言われたものだ。
「それじゃあ、どこ行こうか」
「そうですね……どこかいい場所は……」
「キナティスモースとかは?」
「うーん、場所はいい場所なのですが、できればそれはあの子達が旅をできる年になってからにしたいので」
「そっかぁ」
アイシェ的には旅の中の喜びの一つにしたいようだ。じゃあ今じゃないね。
「うーん、あ、じゃあ私の家は?」
「レイナさんの? エルフの国ですか?」
「あ、いや」
まあ、うん、そうともいう……のかな?
「? 良くはわかりませんが行ってみたい気はします」
「アイシェが行きたいのはいいけど、娘ちゃん達は?」
「大丈夫ですよ、きっと楽しめます」
「そか」
じゃあまあ、いっか。
「じゃあ全員集まったら、転移しようね」
「はい、ですがその前に朝食を」
「お、アイシェの料理美味しいよねー」
そんなわけで、皆で私の家に行くことになった。
ちなみにアイシェには私が料理を教えた。色々あってね。
「レイナさんには負けますが」
「そんなことないよ」
可愛い妹分のご飯は美味しいよ。ホントにね。
「ちなみに今日のメニューは?」
「めにゅ?」
「うん……品目は?」
「あ、はい。ハンバーガーです」
「朝マ〇クかぁ」
モノによってはちょっと重いね。軽い系だといいなぁ。
そんなお喋りをしながら、下の階に降りる。
食卓に着くと、すでにサロスと娘ちゃん達がいた。
「朝早いねえ」
「おはようございます、師匠」
「ししょーおはようございます!」
「ん、おはよー」
サロスとレナが元気な挨拶をしてくれる。レイはお喋りは得意じゃないので、会釈? するだけだ。
「でもまだ師匠じゃないからね、5歳まで待ってね」
「うん、ししょー」
「うーん、わかってるのかなぁ」
わかってないよね、これ。まあいいけどさ、可愛いし。
「それで師匠。今日は出かけることになったのですが」
「うん、行くよ。行先は私の家」
「エルフの国ですか?」
「うーん」
やっぱりそこ、気になるんだね。
「まあ、そうとも言うかな」
「? よくわかりませんが、よろしくお願いします」
「うん」
みんな楽しんでくれるといいなぁ。
「さて、それじゃあ皆揃ったし。ご飯にしよう」
「ん、そだね」
「それでは、いただきます」
「「いただきます」」
みんなで一緒にご飯タイムだ。
ちなみに、バーガーは重い系だったよ……今度軽い朝食も教えないとね。
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