レイナと転生と執務
「ん……旨いですわ」
「よかったぁ」
シュレリア神に先ほど作ったビーフシチューを差し入れたわけだけど、味の方は満足頂けたようだ。
「もぐ……それで? 転生だったかしら?」
「はい。お願いできますか?」
事情は知っているよね。流石に私のことをよく見ている神様だ。
「もぐもぐ……じゃあ……えい」
「ん?」
何か、今、えいって。何したんだろ。
「転生終わりましたわよ」
「え」
そんな、え、いいのかな? 今みたいなすごく雑な対応で。
「えっと、ハラルド神は質疑応答とかしてましたけど」
「今食事中だから、遠慮しますわ」
「じゃあ食事終わってからでも……」
「食後は食休みするからダメ」
「えぇ……」
なんていう神様だろう。やる気がなさすぎる。
「んぐ……さて、用が済んだなら、帰ってもらってよいかしら?」
「うーん……まあ、そうですね、用は済んだので帰ります」
まあ、当初の目的の転生は済んだしいいのかな?
「それじゃ、次来るときもビーフシチューで」
「あ、はい」
どれだけビーフシチュー好きなの、この神様。
そんなことを思いつつ、転移でエルフの国、神殿に戻る。
「ただいま」
「し、師匠!! 彼が突然光りだして!!!!」
「あぁ……うん」
そっか、こっちだと全然時間経ってないから、転生させたって話と同時に帰ってきたくらいの感じなのかな?
「転生だから、大丈夫」
「そ、そうなのですか?」
不安そうにする元大老をよそに、光が徐々に小さくなり、その姿を現す。
「な……私も転生……したのか?」
「シュレリア神にはちゃんとお願いしといたから」
「なんと!! そうだったのですか」
たった今、元大老になった彼が驚く。まあ神様にお願いして、通ったら驚きだよね。
「神に直談判できるとは……流石師匠です」
「そっち?」
驚かれた理由、違ったみたい。
「ま、まあいいや。さて、それではこれからは皆さんは王族です。なので仕事をしましょう!」
「はい!!」
うん、いい返事だね。ちょっと心配になるくらい前向きだ。
「ってことで、お城に行こうか」
私は元大老達をぞろぞろ引き連れて城に向かう。
すると。
「イチジョー陛下。あの、その子たちは?」
「門番さんお疲れ様。彼らは元大老です。先ほど王族であるハイエルフに転生しました」
「なんと!!!!」
門番さんが驚く。まあ、無理ないか。転生なんてそうそうないよね。
「では新しい王族の誕生ですね! これは祝祭をしなければ!!」
「えぇ?」
祝祭? そんなことするほどかなあ?
「宰相殿に伝えてきます!!」
「う、うん」
それだけ言い残して、走り去っていく門番さん。
あの、門番の仕事は?
「……ま、いっか。さ、入ろうか」
「はい」
まあ、とりあえず宴になったら、それはそれだ。別に悪いことじゃない。
そんなことを考えながらも、執務室に向かい、到着。
「さ、今日からここが仕事場です」
「はい!」
「私はこれから別件があるので、ここで宰相と一緒に仕事してください」
「はい!!」
「……うーん大丈夫かな」
返事がよすぎて心配だ。
でもま、何とかなるかな。ってことで。
「じゃ、転移」
私は彼らをおいて、アイシェの元に向かった。
可愛い弟子に、新しい弟子を取れるって、報告できるね?
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次回更新は次回日曜日の21:00までを予定しております。




