レイナと神とお土産
「きちゃった!」
「飯はよ」
シュレリア神の元に転移した後、即座にご飯を要求された。
「飯、ですか」
「前に言ったわよね? 祈りをささげてから来なさいと」
「あー……言いましたね」
そういえばそんなこと言われた気がする。でもなんでご飯?
「アポが無いならせめて、お土産くらい、ありますわよね?」
「う……」
用意してないね? どうしようかなぁ。
「無いようですわね」
「は、はい」
「帰れ」
「いやいやいや」
いくら何でもこれで帰る私ではない。とはいえどうしよう。
「今から作るとか、無しですか」
「ありですわよ」
「おぉ」
そこは寛大なんだ。よかった。
「作ったら、話を聞いてもらえたりしますか?」
「えぇ、ハイエルフへの転生でしょう?」
「なんで知ってるんですか……?」
「暇だから貴女の事、わりと見てますわ」
「プライバシー!!」
私にプライバシーは無いようだ。なんてことだろう。
「気持ちはわかるけれど、暇だから仕方なくないかしら」
「そんな雑な理由で侵害していいものではないかと」
暇だったらなんでもするんだなぁ、この神様。
「で、飯は?」
「ご飯ですね、作りますね」
そういえばそんな話してたよね。脱線しちゃったよ。
で、何造ろうかなぁ。
「何か食べたいものは……」
「ビーフシチュー」
「大好きですねぇ」
前もビーフシチューで大喜びしてた。偏食かな?
「じゃあ、サクッと作りますね」
私はそういいつつも、ここに調理道具とかあるのかな、と思う。
「あの、マイハウス行ってきていいですか?」
「いってら」
「雑」
神様とは思えないレベルでフレンドリーかつ雑な対応である。
「では、転移――からの、調理場貸してください!」
そういいつつ、私は調理場に駆け込む。
「戻ったと思ったら、いきなり料理……どうせアイツにご飯でも要求されたんでしょ?」
「そうなんですよねぇ」
ハラルド神はシュレリア神のこと、よくわかっているようだ。もしかしたら本当は仲良しだったりして。
っと、そんなことより、料理料理。
「ファントム――からの、スキル・再演」
「あら」
私はスキルで料理を作る際の手順を分身で再演した。
こっちの方がちゃきちゃき作れる。
「料理スキルで作れば一瞬なのに」
「シュレリア神にはちゃんと作ったご飯の方がいいかと」
「あー。そうね。アイツはそうかも」
ハラルド神もそう思うのなら、そうだよね。
さて、話している間にも分身はサクサクと料理を進めている。
「調理時間短縮のため、圧力鍋を使います」
「急に近代化したわね」
この世界にはないもんね、圧力鍋。便利なんだけどなぁ。
「さてさて、それではそれでは……クロックアップ」
魔法を発動。時間を加速させる魔法だ。
これを鍋に掛ける。最大速だ。
「ハイ完成!」
「よかったわね、ものの数分で出来て」
「はい。待たせると怒りそうなので」
「そうでもないわよ。ご飯の為なら何時間でも待つわ。アイツなら」
「そうなんだ……」
本当に食の神様なんだなぁ。
「っと、冷めないうちに行ってきます!」
「行ってらっしゃい」
こうして私は料理を終え、シュレリア神の元に転移した。
さて、後はお話聞いてもらうだけだね?
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