レイナと大老と訓練
「今日も一日頑張るぞー!」
大老達の王族化計画開始から一年。訓練は順調に進んでいる。
途中、何人か脱走兵が出そうになったけど……でも順調だよ。
そんなわけで、私は今、大老達を前に、今日の意気込みを言葉にしていたんだけど。
「イチジョー陛下。お話があります」
「師匠と呼んで欲しいな。で、何?」
「はい、実は先日、私達のレベルが99になりました」
「おぉ!」
それはいい知らせだよ。100になったらハイエルフに成れるかもしれない。
「ですがあと一歩、何かが足りていない感覚がするのです」
「ふむ」
それは、どうなのかな。本当に何か足りてないから経験値が入らないのか。はたまた経験値は入っているけど、足りてないだけなのか。
っていうか、英雄教練って限界の80レベル超えられるんだね。アイシェ達も実は80レベル超えてたりしたのかな。
「じゃあ私本人とやってみる?」
「訓練を、ですか?」
「うん」
「いえ、それは……」
大老の代表が口ごもる、どうしたのかな。
「どしたの?」
「その、王族であらせられる師匠様に直接刃を向けるのは……」
「ふむ」
気持ちの問題かなぁ。ファントムには一太刀も入れたことないし、それを考えたら私にケガをさせるのを本当に恐れてるとかではなく、単純に刃を向けるのを無礼とか、色々考えているのだろう。
「じゃあ……あ」
いいこと思いついたよ、私。
「皆。一旦待機で。ちょっと出てくるね」
「はい。どちらへ?」
「弟子のところ」
それだけ言い残して私はアイシェの家の前に転移した。
「たのもー」
アイシェ達の家のドアをノックしてみる。
すると中から足音が聞こえてきた。
「はい、レイナさん、お久しぶりです」
「そ、そんなに久しぶりじゃないよ」
「はい、一年ぶりですもんね」
「うっ……」
実は私、あの後訓練に夢中でアイシェに会いに来てないです。ごめんなさい。
「そ、それで、その」
「ふふっ、冗談ですよ、レイナさん。入ってください」
「あ、うん」
怒ってはないみたい。よかった。
「それで、今日はどうして?」
「うん、話が早くて助かるよ。実は私の新しい計画の最終段階の為に、アイシェの力を借りたくて」
「計画……私の力、ですか?」
ここで私は、これまでの経緯をアイシェに説明した。
私がアイシェ達の子供の師匠になるために、王族の育成を始めたという話を、だ。
「そこまでしてくれているんですね」
「いやあ、約束したからね」
「まあ、約束しても一年に一回でしたけどね」
「ぐはっ」
やっぱりちょっと怒ってる?
「冗談です。で、私の力を貸せばいいんですね?」
「う、うん。アイシェと訓練したら、いい経験値になると思うんだよね」
「なるほど。そこまで長く不在にはできませんが、今日一日くらいなら」
「本当。ありがとう!」
これで計画が進むはずだよ。よかったよかった。
「じゃあ早速来てもらえる?」
「はい、ですが少しだけ準備しても?」
「うん、剣とか持ってきてね」
「はい」
こうして私はアイシェの協力を取り付けることになった。
さて、後は大老達がアイシェの強さにどこまで食らいつけるかだね?
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