レイナと報酬とAランク
街に帰る際、私は徒歩で歩き切る自信が無かったのでユニコーンのユニちゃんを呼んだ。
ユニコーンはゲーム内だと空を二段ジャンプで移動できる上に虹の軌跡まで付いてくる中々に面白い騎乗ユニットだった。
「ユニちゃん、アルケの街までって言って分かるかな?」
「ぶるるんっ」
ユニちゃんは特にシロちゃんみたいに話したりはせず、ただ震えいななくと背に乗った私をアルケの街まで送ってくれた。
「おー! 速い速い!」
私はユニちゃんに必死に掴まる。
騎乗用ユニットなので振り落とされるようなことはないと思いたいが、なんか危ない気もするのでちゃんと掴まる。
「お、街が見えて来たね。もういいよ、ありがとー」
「ヒヒーン」
流石に街の中にまでユニちゃんに乗って行ったら騒ぎになりそうなので止めて置く。
ここからは歩きだ。
私は門でステータスカードを見せると中に入り、人ごみの中をサクサクと歩いてギルドに向かった。
「ヘレナさーんただいまー」
「え、レイナさん?」
私の帰還に驚くヘレナさん。
まさか死んだな……とか思われてたり?
「何か忘れ物とかですか?」
「え? いや、倒したから帰って来ただけだよ?」
「ロッキー山脈まで結構掛かるはずなのですが?」
「あー」
そうか、普通徒歩か、馬で行ってもそれなりの時間が掛るのか。
私はシロちゃんに乗ったりユニちゃんに乗って来たからそんなに時間掛からなかったけど。
「まあちょっと、召喚獣に乗ってバビューンと」
「召喚獣でバビューン……ですか?」
私の言ってる意味が理解できていないようで、首を傾げるヘレナさん。
まあこの説明、説明になってないからね、仕方ないよね。
「まあいいです。倒した証拠などはありますか?」
「はい、氷漬けの死体ならアイテムボックスに入れてきましたよ」
「ではそうですね……また倉庫まで運んでいただいてもいいでしょうか?」
「はーい」
私は言われた通りヘレナさんと一緒に倉庫へ行き、そこで氷漬けにしたオーガ達を出す。
「これはスゴイですね……報告には無かったジェネラルとオーガの群れもそうですが、このオーガキングは武器持ちだったようですね」
「武器持ち?」
何を言っているんだろう、武器くらい普通持ってるものだ。
「レイナさんはご存じないのですね。強力な魔物の中には己の魔力を武器にして戦う特別強い個体がいるのです」
「へえー」
そうだったんだ。そうと知っていれば武器をへし折らずに持って帰って来たのになあ。
貴重品収集がしたくなるのはゲーマーの性だね。
「とにかく、Aランク任務達成おめでとうございます、レイナさん」
「どうもどうも」
これでAランク依頼達成だね。いっそこのままAランクにして貰えたりしないだろうか。
「さて、これもギルマスに報告しますね」
「え?」
今なんて? なんでギルマスに?
「レイナさんが異常な事をしたら、報告するようになっていますので」
「異常って……」
それだと私が、ちょっとした問題児みたいだ。
変な事なんてしてないのに……。
「レイナさんも行きますか?」
「えーと、じゃあ、はい」
せっかくなので私も付いて行くことにした。
もしかしたらその場でAランク貰えるかもしれないし。なんてね。
「失礼します、ギルマス、レイナさんをお連れしました」
「おう、入れ」
ギルマスの部屋に通されると、ギルマスは高々と詰まれた書類と格闘中だった。
「ギルマス、例の依頼ですが、レイナさんが今朝受けて、只今討伐報告を受けました」
「何。例のってーと、オーガキングのか?」
「はい。それと未確認のジェネラルとオーガの群れ、キングは武器持ちでした」
「そうか……それで、それを今朝行ってもう終わらせてきたと」
「はい」
「まだ昼飯前だぞ?」
「はい」
「……そうか」
ヘレナさんの報告にギルマスは深く考え込む。
うーん、報告はもっと後にした方が無難だったのかな……。
「よし、レイナ、お前今日からAランク冒険者になれ」
「ギルマス、いいのですか?」
「単騎で早期討伐、しかも相手は複数、武器持ちと来た。実力を認めるには十分過ぎる」
「じゃあ私、今度からSランク受けてもいいの?」
「まあ、そうなるな。といっても……」
「Sランクの依頼なんてそうそうないですけどね」
「そうなんだ」
なんだ、それは残念。
まあ難しい依頼がポンポン上がって来る程世の中物騒ってことだし、平和なのが一番なのも考えて、うん、Sランク依頼なんて無い方がいいね?
「それじゃあ私、報酬貰ったら帰ります」
「そうか。また難しい案件があったら頼むぞ」
「はーい」
私はギルマスの頼みを快く引き受けると、ヘレナさんと一緒にカウンターに行き、報酬を貰ってから宿に向かった。
「ただいまー」
「おかえりレイナ」
もうすっかり自分の家のような感覚の宿に戻って来るとオリヴィエさんが迎えてくれる。
「オリヴィエさん、お昼ってありますか?」
「今仕込みをしているところさ、ちょっと待ってな」
「はーい」
私はオリヴィエさんの言う通り、待つことにしたが、さて、食堂で待つか、部屋で待つか。
「部屋でゴロゴロして待とうっと」
そんなわけで部屋に戻る私。
そして部屋の中の姿見に目が行く。
「前にも思ったけど、やっぱりハイエルフだよねえ」
木の葉のような耳に若草色で肩ほどまで伸びた髪、空色の瞳、うん、私の作ったアバターそのものだ。
「そういえば奴隷商とかに狙われるって話もあったけど、私は狙われないなあ」
なんでだろうね、やっぱり冒険者やってるからかなあ、それとも治安が思ったよりいいのかな。
「さて、お昼に呼ばれるまでゴロゴロしてよっと」
そうして私はベッドに横たわり、お昼の呼び出しがかかるまで部屋でゴロゴロするのであった。
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次回更新も未定です。
書け次第随時更新予定ではありますので時間が許せば更新をどんどんしていきたいと思っております。




