アイシェとサロスと闘い
「サロス。決闘しましょう」
「「どうしてそうなる?」」
アイシェにデートについて色々教えた翌日。食卓を囲み、朝食を取っていた時のことだった。
アイシェからサロスへデートのお誘いがあるかと思いきや、今の発言である。
そりゃもう、私もサロスも立場は違えど同時に疑問符だ。
「どうして、ですか。そうですね、まず、レイナさんの疑問についてですが」
「うん」
まずはなんでデートじゃないか、教えてくれるようだ。
「よく考えたらサロスとは長いこと一緒にいて、冒険もお出かけもしました。なんだかまどろっこしいというか、面倒になりました」
「おおぅ」
面倒になっちゃったかぁ。流石我が弟子、多分私もデートなんて面倒なこと、しない。
「サロスの疑問についてですが」
「あ、ああ」
今度はサロスに関してだ。サロスに至ってはデートについて知らないし。告ったはずが、これである。そりゃもう内心計り知れない程驚いただろう。
「私は、強い人とお付き合いしたいです」
「そ、そうか」
「私の父は母を残して死んでしまいましたし、サロスも勇者として今後も戦いに身を投じるなら、いつ死ぬかわかりません。そんな不安とか、悲しみを繰り返すくらいなら、私は一人でいいです」
「おぉー」
なるほどね、つまり、簡単には死なない旦那が欲しいんだね。
「なので、私を残して戦死するような人とはお付き合いできないので、少なくとも私より強いと証明してください」
「それで、決闘か」
「そうです」
なるほどねえ、でも、これ、サロスに勝ち目ある?
「とはいえ、レイナさんに教わった期間の長い私とサロスで、差が開いているのも知っています。なので、私は一部のスキルを封印して戦います」
「それは、どんなスキルだ?」
「イデア・オーバーロードというスキルで、一部の超越した強さの方を超える力を手にするスキルです」
「超越した強さ……師匠とかか?」
「そうです」
なるほどなるほど、そういうスキルがあったんだね。通りで魔王倒した後のアイシェが私よりステータス高かったわけだよ。
多分イデア・オーバーロードは超越者を超えるスキルなんだろうね。
そんなの使われたらサロスでは勝ち目無いかなぁ。
「いいのか? 強さを証明する為に戦うのに、手加減なんて」
「そう思うなら、私がスキルを使わざるをえない力を見せてください」
「む、そうか……」
アイシェ手厳しいなぁ。サロスはアイシェの気持ちに応えられるのだろうか。
「なら、やるしかないな」
「そうこなくては」
「おおぅ」
サロス、相変わらず勇者だなぁ。
とはいえ、勇気は認めるけど、行き過ぎれば蛮勇だ。
勝算はあるのかな?
「サロスー」
「なんです、師匠」
「勝ち目あるの?」
「直球ですね……正直に言えば厳しいですが、やれるだけのことを、やって見せようかと」
「おぉ」
そうだね、アイシェも自分より強いと証明しろとは言ったけど、僅差までもってければ案外気が変わるかもしれない……変わるかな?
「それでは、レイナさん。どこか広い場所へ転移してもらえませんか?」
「ん、いいよ?」
早速バトルするつもりみたいだね。広い場所なら、前にも使った草原でいいかな。
「じゃ、いっくよー」
「「はい」」
私は転移魔法で草原へ三人で飛んだ。
で、これで決闘の準備はいいのかな?
「レイナさんは見届け人になってくださいね」
「それって必要?」
「誰かに見ててほしいだけですけど、まあ、必要です」
「そかあ」
じゃあまあ、いいね。
「いいよ。ただし、見届けるけど、やりすぎだと思ったら、決闘止めるからね」
「あははは、大丈夫ですよ。だからこそイデア・オーバーロードを使わないんですから」
うーん、本当に大丈夫かなぁ……。
疑問は残る。だって手に持ってる剣、ふららだし。
「まあ、ほどほどにね?」
「はい。では、行きますよ、サロス」
「ああ」
こうしてアイシェとサロスの交際を掛けた決闘が始まってしまったのだった。
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