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レイナと魔人と数字の世界

「うわっとっと」


 魔人として起き上がったアイシェが虚ろな目を向けたのは私だった。

 でもって、同時に敵と認識したのだろう、襲い掛かってきたわけで。


「ったく、いきなり、攻撃するなんて、魔人って好戦的だね」


 攻撃をよけながら、感想を述べる。

 ちなみに攻撃、めっちゃ速い。依り代がアイシェだったせいかな、私より速いね。

 でもまあ、避けられなくはない。というか。


「今更だけど、なんかこう、え、なにこれ」


 私がアイシェ達がやられたことに怒ってからなんだけど、ずっと目の前がブレて、というか『増えて』見える。

 そして面白いことに、相手はその増えた動きの通りに動く。これは、もしや?


「遂に未来視まで手に入れちゃった?」


 どっかのアニメで、未来視のある能力者が複数の未来を同時に見た時の描写に似ている。

 なんていうか、その、覚醒するタイミングといい……。


「いらない能力だなぁ」


 激しい攻撃をよけながら、シンプルな感想を述べる。

 もっとこう、未来視なら何年も先の未来とかが見えると、使えるんだけど、この未来視、今のところ5秒先しか見せてくれてない。こっちで調節とかできるのかなぁ。


「でもって、剣がふららラッハなあたり、完全に殺しに来ているわけだけど」


 いつものエストックならサクッと粉々に……いやお父様の形見だからそれはだめか、でも無力化しやすい気がするんだけど。

 手に持たれているのはふららラッハで。当たれば私でもダメージは避けられないだろう。

 まあ、当たれば、だけど。

 そんなことを考えていると。


「師匠、加勢を!!」

「いーらない」


 サロスや、他の剣聖達が加勢しようと剣を構えている様子が窺えた。

 危ないってわからないのかなぁ。


「レイナ! 核は見つかったか!」

「あ、そうだった」


 未来視にばかり気を取られていて、核探ししてなかったね?


「うーん」


 私は苛烈さを増す攻撃を避け、いなしながら、核を探す。


「うーん、服の下とかだったらどうしよう」

「魔力の波長は読めないか?! そこから全身に魔人の力が流れてい居るはずだ!」

「魔力の波長とな」


 そんなものが読めたら……読め……ん?


「あ、なんか変なのある」


 私は戦闘中、変な『数字』の動きが見えた。

 これ多分、供給率だね。剣を振るときは腕に、足でかく乱するときは足に、数字が動いてる。


「さてさて、それで? 核は表面にあるのかしら」


 丁度、数字の動きの中心にあるのが胸のあたりだ。

 心臓とかと融合してたらどうしてくれよう。


「んー、あ、そうだ」


 私は攻撃を避けつつ、木刀を取り出す。

 そして。


「んっと。魔人核だけを斬る……それ以外は透過っと」


 木刀に都合のいいルーンを刻み、対魔人用木刀の完成だ。


「てい!」


 私は激しく動く数字と、無駄な未来視の中、魔人の核を攻撃してみた。


「うん、やったねこれは」

「なぜフラグを立てる!」

「いやいや、視えてるし」


 激しく動く数字が安定し、未来視もアイシェが元に戻るところまで見えている。


「すごい……あれほど強い魔人を……ああもあっさり」

「っく……流星の魔女、噂の流星がなくとも、尋常ならざるバケモノか」

「褒め言葉ってことにしといてあげるね」


 美魔女王にバケモノ扱いされたけど、まいいや。


「さ、アイシェ、かえろ」

「ん……ん?」


 魔人核が破壊され、意識が戻ったアイシェに声をかける。

 もう終わった。さっさと帰ってだらだらしたい。


「レイナ……さん。ごめんなさい」

「お?」


 なぜ謝る?


「私、意識はなかったけど、記憶はあって。レイナさんに、剣を向けて……」

「あぁ、そういう。気にしないの。悪いのは全部魔神と美魔女王だから」


 私の弟子、気にし過ぎだね? 自分の意思じゃないんだから、悪いことないのに。


「ありがとう……ございます、レイナさん」

「ん、それは受け取っとくね」


 なんでも否定する気はない。心からの感謝なら、受け取っておくのがいい。


「あ、美魔女王どうしよう。斬っとく?」

「あのなあ、思い出したかのように首飛ばす奴があるか」


 私の提案に、バイソンが首をふる。

 そっかぁ。ダメかぁ。


「私としては、アイシェにしたこと許してないからね」

「構わぬ」

「後、腕は誰かに魔法で治してもらってね」

「そんなことができる魔法使い、おらんよ」

「そういうもん?」


 私はバイソンに聞いてみるが、首を縦に振る。そういうものらしい。


「ふーん……」


 そうかぁ、私なら治せるけど、でもなぁ。


「まいっか。ヒール」

「な」


 私が美魔女王の腕を治すと、美魔女王が声を上げる。


「なぜ、治した」

「また悪さしたら首の代わりに斬り落とそうと思って」

「…………」


 私の言った言葉に、全員が押し黙る。

 ……今の、冗談だよ?


「まいいや、さ、かえろ」

「あ、はい」

「お供します」


 微妙な返事のアイシェと、お供するサロスを連れて。

 私達は帰路についたのであった。


ご読了ありがとうございました!

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次回更新は次回日曜日の21:00までを予定しております。

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