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妹の裏切りによって婚約破棄されてしまいました。が、その後、私は良縁を得られたのです。けれど妹は幸せにはなれず……。  作者: 四季


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5話「再び会ってみることに」

 後日ウェボンと再び会うことに。


 今日は二人で喫茶店でお茶を飲む予定。


「こんにちは! ベルリーズさん」

「またお会いできてうれしいです」


 待ち合わせ場所で出会えたら、顔を見られたら嬉しくて。

 なぜだか自然と心が弾む。

 嬉しいことが待っている場所へ進んでゆくかのような感覚がある。


「無理言ってしまってないですか? 大丈夫でした?」

「はい、大丈夫ですよ」

「なら良かったですー」


 会えるだけで嬉しい、なんて、少し変ね。

 そんなことを思いながらも。

 湧き上がる感情は書き換えることなどできない。


「でも、ウェボンさんが喫茶店に行かれるなんて意外でした」

「えっ……そう?」

「はい。もっと高級なところが好きなのかなと思っていたので」

「そういうこと! いやいやそんなことないですよ。僕、べつに、高級志向でもないですし」

「親しみやすいです」

「ありがとう。じゃ、行きましょうか」

「行きましょー!」


 その日も彼と色々話せた。


 でも、その途中で、まさかの顔を見ることとなってしまう――そう、喫茶店にミレナとモルティンが入ってきたのだ。


「お姉さま……?」

「ミレナ……」


 思わず見てしまって、そのせいで目が合ってしまう。


「もう次の男に手を出しているなんて、お姉さま、随分男好きですわね。節操のないこと! ……呆れますわ」

「放っておいて」

「モルティン様に選ばれなかったくせに」


 ミレナは絡んでくる、嫌みを吐いてくる。


 まさかこんなところで会うなんて……気分は最悪。


「選ばれなかった腹いせに親を味方につけて、ほーんと小賢しい女ですわね。そんなだから捨てられるんですのよ、小さいか――」

「ちょっと、何なんですかそれ」


 言いかけて、ミレナは言葉を止めた。

 なぜならウェボンに遮られたからだ。


「男好きとか、小賢しいとか、なぜそんなに侮辱するのですか」

「っ……」

「貴女が何者かなんて知りませんが、ベルリーズさんに失礼なことを言わないでください」


 ウェボンは刃のような視線をミレナに向けている。


「これ以上、彼女を傷つけるようなことを言わないでください」

「……っ、ふん! べつに! そんな女どうでもいいですわっ」


 気まずくなったからかミレナはくるりと身体の向きを反転させた。

 そして歩き出す。

 離れてゆく、私たちの前から。


「すみません、ウェボンさん」

「いえ」


 ウェボンはいつの間にか優しげな顔に戻っていた。


「助かりました」

「大丈夫ですか? 何です、あの人」

「……妹だった人です」

「だった?」

「はい、今はもう縁を切っているのです」


 それから私はミレナについて簡単に説明した。


「そういうことでしたか」

「はい」

「それは……災難でしたね、色々」

「すみません、暗い話で」

「いえ! ベルリーズさんのことは何でも気になりますよ」


 店内、空間には、コーヒーの匂いが漂っている。


 コクのある香り。

 ほかほかしたような空気。


 吸っているだけでも心地よい。


 この雰囲気は好きだ。


「先ほどは素早いサポートありがとうございました、ウェボンさん」

「ああ、いえ、あれは言いたくて言っただけです」

「そうですか」

「はい、そうなんです」

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