11話「手作りのクッキーは美味しい」
結婚式を挙げ正式に夫婦となった私たちは共に暮らし始めた。
家は、ウェボンの実家にかなり近いところの新しい一軒家になった。
色々話し合った結果そこが選ばれたのだ。
とはいえウェボンの両親と一緒に住んでいるに近いくらいの距離である。
相手の両親が嫌な人だったなら、きっと不快だっただろう。
でも幸い私は彼の両親とも仲良くやれている。
だからそれによって困ることはなかったし嫌な思いをすることもなかった。
今もお互い行き来して仲良くできている。
そして今日も。
「ベルリーズさん! クッキーを焼いたの! 持ってきちゃったわ」
「お義母さん」
ウェボンの母親が突然訪問してきた。
「見てこれ! 今回、なかなか上手くできたのよ?」
「うわっ……凄いです、とても可愛いキャラクターですね!」
「褒められて嬉しいわぁ~」
けれど、彼女は嫌な人ではないから、嫌みを発してはこない。
純粋に会いに来てくれているのだ。
「よければ食べていってください、お茶を淹れますから一緒に食べません?」
「申し訳ないわ、そんなの」
「いいんです! それに、お義母さんの手作りクッキーですから、お義母さんと一緒に食べたいなって」
「あら! 嬉しい! じゃあぜひっ」
こうしてウェボンの母親と二人でお茶をすることになったのだが、そこで、私は驚きの話を聞くこととなる。
「そういえばね、前に仰ってた人、モルティンさんっていらしたでしょ? あの人について情報が入ったのよ~」
「そうなんですか?」
「皆が自分を悪者にしているという妄想に憑りつかれていたみたいでね」
「ええ……」
彼もまた心を病んでしまったのか。
やはり彼も幸せにはなれなかったか。
……でも可哀想とは思わない。
彼はかつて私を傷つけた。
多分一生許さない。
あの頃の嫌な記憶を段々忘れてゆくとしても、それでも、水に流しはしない。
もっとも、何かやってやる、とかは思っていないけれど。
「それで暴れて何人かを怪我させたらしくって、それで警備隊に捕まったみたいよ~」
「そんなことが!? 衝撃です……」
「恐らく、処刑になるでしょうね~」
「そ、そうなんですか……!?」
「ええ。罪なき人を傷つけた罪人への罰は結構重いのよこの国」
私の復讐、それは、私自身が誰よりも幸せになること。
「確かにそんなことは聞いたことはありますが……でもまさかあの人が処刑になるなんて、思わなくて……もしそうなったら驚きます」
「ふふ、そうよねぇ。知人が処刑されるなんてあまりないものね」
モルティンも、ミレナも、私を馬鹿にしたような行いをした人間だ。
だから生涯許しはしない。
けれどももう滅んだ彼らに復讐することはできないしその関係者に復讐しようなんて思わない。
だからこそ幸せになる。
誰もが羨むほど。
あなたたちは死後の世界で見ていればいい……私が幸せになり日々を楽しく生きてゆく姿を!!




