(1/9)朝から激しい妻の好意
「是也さん大好きいいいいいい!!!」
今日もタカハシ家に響き渡る若い女の声。
21歳の豊満なプルンプルンおっぱいに抱きつかれて高橋是也は困惑するのであった。
「あ……ありがとね……朝から元気だね。紫陽」
そう。抱きついてくるのは彼の妻。高橋紫陽21歳である。17歳も年下のモッチモチがパジャマごと抱きついてくる。
「よ……よしよし……よしよし……」と頭を撫でる。
「んふぅ〜♡」と大きなお尻をブンブン振る。セントバーナードっぽい。
お湯が沸騰したので慌てて火を細くし、キノコがすでに入った鍋に油揚げと味噌を投入した。
「今朝は和食ですかぁ!」
「……シャケを焼くよ。好き?」
「大好きですぅぅぅぅ。あと是也さんが好きですぅぅぅぅ」
朝から高カロリーな好意に当てられて目をシバシバしてしまった。
キューっと目をつぶって口とんがらかしてくるぞ。
キスのおねだりですね。
わかりました。
是也が紫陽の唇に『ちゅっ』とやると、そのままボイーン! ボイーン! と縦に体を揺らしながら洗面所へ駆けて行った。
『元気の固まりみたいな子だな』タカハシはオタマを手にそっとため息をつく。
◇
「お父さあん! このシャケ脂メッチャのってる!!!」
口いっぱいに米を詰め込んだ妻が言った。
「『お父さん』ではなく『旦那さん』です」
「お父さん! ノリをプラスすると無敵!!」
…………話聞いてないね。まあ元からだけど。
タカハシは黙って味噌汁を飲んだ。
妻、髙橋紫陽21歳。
有頂天の日々である。
4年もの片想いを実らせ嬉しさMAXで甘えてくる。
周りからは『若くて綺麗でスタイルのいいお嫁さん』と羨ましがられるが、当のタカハシは戸惑うばかりだった。
結婚したら落ち着くかと思った妻の好意が日に日に激しくなってくる。
紫陽……ちょっと落ち着いて……よく見て。
お前が抱きついてるその男、ただのオッサンだから……。
❇︎読みやすさのため、引用文の表記を現代に合わせている箇所があります。あらかじめご了承ください。
例)
ゐ→い