表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

60/77

〜魔王軍、揃い踏み〜




―――帝都 「グランベル」近郊



("流石"と言うべきかな?) 



 魔王"エリア"は帝国騎士団の先頭に立つ人物を見つめながら心の中で呟いた。


 複数の王国を束ねる皇帝。その武力の象徴である帝国騎士団、団長『リリム・カーティス』。


 火、水、風、土の4大属性はもちろん、氷から聖魔法まで様々な魔法を操る姿は鬼気迫る物がある。


 リリムの事は話には聞いていたが、エリアが実際に対峙するのは初めての事だった。



ゴォオオオオ!!



 暗黒竜"ヂン"の『重力』に対し、リリムの豪華な魔法の連続は感嘆せざるを得ない。全魔導師はリリムに魔力を供給し続け、リリムはそれを秒単位で使い切る。


 一つの完成された形だと言う事は一目瞭然だ。



「エリア様……。私が出向き、仕留めて参りましょうか?」


 ルシフェルは黒羽剣コクウを片手に、リリムを見据えている。仕留めることの出来ないヂンに苛立ったのか……。この堕天使は傲慢で仕方ない。


「よい……。放っておけ」


 エリアは別に帝国を蹂躙しに来たわけではなく、たった1人の人物が目当てで訪れただけであり、


(『ギル』はどこにいるのよ! むぅ〜……帝都まで来たのに、それらしい"人間"なんていないじゃない!)


 心の内は、安定の乙女だった。


 一向に現れる気配のない"戦場"に、エリアはすぐ隣でリリムとヂンの戦闘を楽しそうに眺めている煉獄炎竜"ジャラ"をキッと睨んだ。







「エリア様がついに魔領から世界を取りに……!!」

「我らも続くぞ! エリア様の宿願を果たすのだ!」


「「「エリア様! エリア様!」」」



 勝手に棲みつき、勝手に王と崇められ、勝手に世界征服が目標に掲げられ、ついには、勝手に帝国までついて来た魔物達。


 煉獄炎竜"ジュラ"は大笑いし、ルシフェルは嬉々として頬を染めた。エリア本人は『運命の人』を探し歩いているだけで、"世界"なんて要らない。



(あ、あたし、関係ないからね!)



 勝手に沸き立ち、帝国へ侵攻をはじめた部下達に帝国騎士団が布陣をひくのは当たり前。随分と屠られた魔物の軍勢にルシフェルは激昂し、エリアは少し目を見開いた。


 噂の『リリム・カーティス』。


 幹部と呼ばれる八魔将を何人も屠る"人間"。いざ、目の当たりにして、その『力』が「人間」と呼ばれる脆弱な生物の範疇を軽く超えている事に気づいた。



※※※※※




ドゴォーンッ!!



「おいおい、ヂンのバカ。このままじゃ、やられちまうぜ! エリ! 俺、遊んで来ていいか!?」


「……こ、このクソトカゲ! "エリア様"だ! 貴様は引っ込んでいろ。私が"あの女"を屠ってくれる!!」


「毎度、毎度、うるせぇなぁ……。俺はエリと『契約』してるだけ。魔王軍だか、なんだか知らねえが、俺には関係ねぇんだよ!」


「ふっ、ではここで貴様を屠っても何の問題もないと言う事だな?」


「お前に俺がれんのかよ、乳だけ堕天使……」



 隣でバチバチと火花を散らす2人になど、見向きもせずにぼんやりとリリムを見つめるエリア。



「エリア様。『ギル』と言う者が、"あの女"と共闘……、いや、『邪魔』されながら"暴虐"を屠ったのは間違いありませんよ?」


 後ろから声をかけたのは、天竜"ガル"。


 ガルは竜種の『視覚共有』によってギルベルトの容姿を知っており、


「『ギル』とはどのような者だ?」


 エリアの今回の帝国侵攻の目的が暴虐竜を屠った『ギル』である事を知っている竜種だ。


 しかし、それは(ギルという男と戦ってみたいのだろう……)と言う物であり、本当の目的は知らない。白黒の髪に白黒の瞳。ルシフェルや、暗黒竜"ヂン"と同様、魔王軍四天王の1人であり、


「エリア様ぁ。ウチ、眠たくなっちゃったぁ〜。何かあれば、起こしてねぇ〜」


 ふわぁ〜っとあくびをしたのは最後の四天王の1人、吸血王"ミモザ"。「みんなが行くなら行くよぉ〜」っと特に何も考えずに同行していた怠惰な吸血鬼だ。



 堕天使「ルシフェル」。

 暗黒竜「ヂン」。

 天竜「ガル」。

 吸血王「ミモザ」。


 この四天王の他に魔王軍には属さない、

 エリアの右腕、煉獄炎竜「ジュラ」。


 そして、魔王「エリア」


 今回の帝国侵攻。


 エリアの意図とは別に『魔王軍』の最高戦力が揃い踏みしている事は、帝国側にとって『最悪』以外の何物でもなかった。



ブォオオオオオオオッ!!!!



 目の前の攻防はまさに地獄絵図。

 複数の属性魔法と完全に竜化した暗黒竜。


 絵本の1ページのような色とりどりの景色の中、


(本当に『ギル』はいないのかな……?)


 エリアは"お目当て"の存在を確認出来ず、誰にも見えないように口を尖らせた。




〜作者からの大切なお願い〜


 少しでも面白いと思って下さった優しい読者様。創作と更新の励みになりますので、【ブックマーク】をポチッと……。


 下の所にある、


 【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】


 にしてくれたら、最高です!!


 また、この作品を【ブックマーク】して頂いている方、わざわざ評価して頂いてた方、本当にありがとうございます! とっても励みになっておりますので、今後ともよろしくお願い致します!




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ