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初恋と書いて……?




―――カーティス伯爵邸



「よく帰ったな、ギル」

「会いたかったぞ、ギル! ははっ、『王宮から直接、魔王討伐に向かった』と聞いた時は笑ってしまったぞ」


 父様は穏やかに微笑み、兄様は満面の笑顔で迎えてくれた。


 本当に2人には頭が上がらない。


 散々好き勝手している俺のせいで、何かと面倒事もあるだろうに、こうして笑顔で帰宅を喜んでくれる。


「「「「ギルベルト様ぁ!!!!」」」」


 屋敷の窓から身体を乗り出しているアイシャ達に手を上げて応えるが、(そんなにはしゃぐと危ないぞ?)などと久しぶりの獣人達のもふもふにキュンとしつつも……、




「お久しぶりです。アルマ様、イルベール君。……リリはいるのですか?」



 サッとあいさつをこなすディナ姉に顔を引き攣らせている。



「あぁ、"ディナ君"。ギルと行動を共にしているとは知らなかったな」


「覚えて下さっていて、ありがとう存じます。……アクアードにて魔王軍八魔将との戦闘時、ギル君に救われまして……」


「そうだったのだな。まあ、ゆっくりと休むといい。リリは帝都に戻っているし、あまり豪華なもてなしは出来ないが、ゆっくりと休んでいくといい」


 ディナ姉は父様の言葉に薄く微笑む。


「そうですか……。リリは不在なのですか……。そ、それは少し残念ですが、お言葉に甘えさせて頂きたく存じます」


 全然、残念そうに見えないのは俺だけだろうか?


 チラリとユノに視線を向けるが、ユノはアイシャ達に大きく手を振っていてはちゃめちゃに可愛いだけ。


 ミーシャは父様達に挨拶しようとしていたのにディナ姉に先を越されて、顔をピクピクと動かしていた。



 セリアは【閃光】の反動で寝転がっているが、"シアナ"と"リチャード"に、


「……な、何を寝ているのです? セリア!」

「旦那様やイルベール様……、お仕えするギルベルト様の前で何たる粗相を……!」


「も、申し訳ありません、お父様、お母様……」


 などとカーティス家、筆頭執事、セリアの父であるリチャードと、母親であるメイド長シアナにめちゃくちゃ詰められている。



(……【閃光】を秘匿させたのは俺か!! くっ……色々、重なりすぎだッ!)



 心の中で悪態を吐き、ゴクリと息を飲む。



「シアナ! リチャード! セリアは俺に尽くした結果だから、勘弁してくれ! 父様、兄様! 申し訳ありませんが、"ディナ様"と話しがありますので!!

(あぁ! もお!! 勘弁してくれぇええ!!)


 俺は、一息で言い切るとディナ姉の手をとり、そそくさと屋敷に入り、自室を目指した。


(と、とりあえず、ディナ姉だ!! 何でこうなったんだよ!? クソがッ!!)


 こんなはずではなかった。


 目ぼしい場所が思い浮かばなかったので、思わずカーティス家に帰還したが、問題が山積みすぎて、涙で視界は滲んで行くだけだった。




※※※※※※※



(ね、願ってもないわ!!)


 ディナはギルベルトに手を引かれながら、この状況に歓喜していた。


 少し乱暴に手を引かれながら、ディナはキュンキュンと豊満な胸と下腹部を刺激されていたのだ。


 ギルベルトの自室に入った瞬間に、ギルベルトの鋭い眼光がディナの真紅の瞳を射抜く。


「あ、あの、ギル君?」


「ディナ姉、どういうつもりですか?」


「え、いや……」

(きゃ、きゃぁーーー!! か、カッコいい!)


「なぜついて来たのですか!?」

(絶対に調査兵団に同行なんてしないからなッ!)


「……"勇者様"と意見交換しなければと思い、」

(『抱かれたい』だなんて言えないよね……)


「交換する意見などありませんよ?」

(魔王なんか討伐しないんだからな!)


「で、でも八魔将、最強の"ザク"を……」

(あ、あぁ!! こんなに邪険に扱われるなんて……! な、なんだろう?! なんだかすごくいいわ!!)


「……八魔将、"最強"……!?」

(あの魔人、そんなヤバいヤツだったのかよ!?)


「え、えぇ……」

(あぁ!! ギル君! もう"溢れて"仕方ないわ!)



 ディナは黒ローブをハラリと脱ぐと、「す、少し暑いわね……」などと呟き、鎧にも手をかけるが、こんな経験は全くもって初めて。


 尋常ではない顔の熱にクラクラし、本当に身体が熱くなる。現れたのは肌にピッタリと張り付く肌着。



 ギルベルトはこの段階で思考がぶっ飛んでしまう。



「え、あ、いや、ま、ま、窓を開けますね」

(おぱっ!! おっ○い!! お、俺の初恋!! くっ……!! ミーシャ、ミーシャ、ミーシャ、ミーシャ、セリア、セリア、セリア、ユノ、ユノ、ユノ!!)



 思考を取り戻すために、理想のスローライフを反芻するギルベルトだが、ディナはその様子に(チャンス!!)と肉食獣の瞳に変化する。



「はぁ〜……。汗で張り付いてて……、ごめんなさい。このような真剣な話し合いの場所で……」

(か、可愛いぃいいいい!! どうしよう! キュンキュンしすぎて心臓痛いよぉ〜!!)


「え? あぁ。別にそれはいいんだけど……」

(乳! 乳! 俺の乳!)※ギルベルトの乳ではない。


「と、と、とりあえず、お風呂を貸してくれるかしら? ふふっ……、む、む、む、昔みたいに一緒入る?」

(いいのよ! 来て! 早く来て!! ギル君だけなの! "こんな"になるのはッ! お願い!!)


「え、いや、あ、ハハッ……、お、俺ももう大人ですので……」

(マ、マジかよ! もう12歳じゃないんだぞ?!)


「ハハッ……、こんな"おばさん"と、どうこうなるなんてギル君も嫌でしょう?」

(いいのよ、無茶苦茶にして! いえ! 無茶苦茶にして下さい! "ギルベルト・カーティス様"!!)


「い、いや、ディナ姉は25でしょう? 昔と変わらず綺麗ですよ……」

(な、な、何言ってんだ、俺!! なんでこうなったぁあああ!!??)


「ふふっ、嘘でも嬉しいわ」

(行ける! コレは、いける!! 一度でいいの! 私を『女』にさせて!)


「……ハ、ハハッ」

(乳! 乳! 俺の甘酸っぱい初恋おっぱい!!)



 ギルベルトの頭には昔の記憶がよぎり、手にはディナの胸の感触……、もとい、初めてのおっぱいの感触だけが頭を占領していた。


 ディナの頭には、ギルベルトに肌着を引き裂かれ本能のままに求められている妄想が広がり、否応なしに"潤い"、ムズムズと内腿を擦り合わせる。


 初恋おっぱいを前に手を伸ばしそうなギルベルト。微かに胸を張りながら自身の赤い髪や瞳よりも顔を真っ赤にさせるディナ。




コンコンッ……



「ご主人様、先程はありがとうございました。お父様とお母様に殺されてしまう所でしたが……、」


 セリアの登場に我に帰ったギルベルトとグッと唇を噛み締めたディナ。


 セリアの後ろには首を傾げるユノと、大きく目を見開くアイシャ……。


「お、俺達はとりあえずは屋敷で疲れを取るから……」

(あ、あぶっねぇえ! 了承も得ずに女性の胸を揉みしだく所だった!! ディナ姉と2人になるのは色んな意味で危険……珍しくナイスだ、セリア!!)


 

 紳士としての尊厳と魔領への同行。

 2つの意味でディナを警戒する事を決意したギルベルトに反し、



「……そ、そうですね、"勇者様"。またお時間を頂ければ……」

(チャンスはまだあるはずだわ! そ、それにしても……し、心臓壊れちゃうよぉ……)


 今まで男性に対して一切、"こんな感情"を抱いた事のないディナは尋常ではない顔の熱と心拍数に息苦しさを感じていた。




 一方……、


「へぇ〜、お父様が……ふふっ」

(旦那様ぁあ!! "その人"はダメだよぉ!)


「ああ、そうだ。ロミオにも連絡しておくよ。ミーシャを心配してたからな」


 アルマと他愛もない会話を切り上げる事が出来ず、気が気じゃないミーシャだった。




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