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〜ロリドの慢心〜 ①



―――魔王城




 新しいスキルを手にしたロリドは、早く使ってみたくて仕方がなかった。まるで初めてオモチャを与えられた子供のように胸を高鳴らせ、早く自分の力を誰かに認めさせたかった。



 自然と感じる気配は自分よりも"弱者ばかり"。



「……あの城をとりあえずの拠点にするか」



 魔王城を見上げたロリドは魔力を《具現化》させて漆黒の翼を作り魔王城の入り口に降り立った。



「貴様、何者だ?」

「所属はどこだ?!」



 魔王軍の下っ端のホブゴブリンに声をかけられたが、"獲物"を見つけたロリドは口を開く事もせず、1匹を【具現化】した《魔手マナ・ハンズ》で触れ、《分解》し、もう1人を《石化》して顔を殴り飛ばし粉々にした。



「ククッ……ククククッ」



 あまりにも凄まじい自分の"力"に笑みは止まらない。


(こんなザコのスキルなど要らん……)


 災厄級レベルの者にしか【強欲】を使わない事を勝手に決めながら、残りの3つのスキルで蹂躙しながら上を目指す。


(最ッ高だ!! これぞ、全てを奪い去る力……。この力さえ有れば、あの『下賤のクズ』を……!!)



 ロリドの銀色の瞳には、異変を察知して襲いかかってくる魔物達の顔がギルベルトやオラリアで自分を貶めた者達の顔に見えていた。



「死ねッ! 死ねッ! 死ねッ!! クハハハッ!」



グチャッ! グチャッ! グチャッ!!



 自分こそが、この世界の神になれる。

 自分こそが、この世界最強の存在。


 ロリドは殺戮を悦びながら、自分の力の使い方を理解し始めていた。命を奪ったのは241の魔物。下っ端とはいえ、その中にはAランクの魔物も含まれていた。




グザンッ!!!!



「んあっ?」


 一瞬の出来事に何が起きたかはわからなかった。


 気がついた時には自分の肘から下が無くなっており、血が鼓動に合わせて流れていた。



「……くっ!! グァアァアアア!!」


 

 一瞬で察知した気配は凄まじい気配を放っており、


(……こんな者いなかったはずだろうが!!)


 斬られた腕を抑えながら、外からは一切気づかなかった"その者"を視認する。



「"オイタ"が過ぎますよ? "坊ちゃん"」


 サラサラの黒髪に金色の瞳。

 背中に携えられているのは、12の黒羽。


 半裸の堕天使の手には黒い羽で作られた『黒羽剣コクウ』が握られている。

 

(……な、なんだこの女……)


 これまで蹂躙した"魔物"とは根本的に違う事はすぐにわかったが、ロリドはその美しさにゴクリッと息を飲んだ。



シュゥウ……



 自然と痛みが消えて、徐々に再生されていく腕などロリドの頭からは消えていた。



「……き、貴様は?」


「私はルシフェル。"エリア様"の側近にございます」


「……"エリア様"?」


「あなたの"お父上"です」


「……な、なんだと?」


「この世界を気ままに破壊する魔王様でございますよ?」



ドクンッ……



 ロリドの心臓は激しく脈打ち、大きく目を見開く。



「……」

("魔王"が私の『父』……?)


「しかし、弱肉強食の世界とはいえ、真なる強者は大虐殺などしない物です。坊ちゃんの行動は、とても褒められた物ではありませんね」


「……」


「……自らの品格を貶めるのはお辞めください。うっかり屠ってしまいそうになってしまいます」


 頭の中には前世の記憶がグルグルと回っている。


 筆頭執事"オーウェン"の姿とルシフェルの姿を重ね、魔王と呼ばれた"父"の存在に激しく殺意が湧き上がる。


 

「……わ、私に指図するな!!」



ギュンッ!!



 【具現化】した《魔手》をルシフェルの豊満な胸に伸ばし、触れた瞬間に《分解》しようとするロリド。



「……困った坊ちゃんです」



グザンッ、グザンッ!!


 ルシフェルは涼しい顔でロリドの魔力で作られた手、《魔手マナ・ハンズ》を斬り落とすと、バサッと羽を羽ばたかせ、ロリドの両足を切断する。



グザンッ!!


 堕天使とはいえ"元大天使"。

 そのスピードは容易に捉えられる物ではない。



「グァアアアア!!!!」


「……まるで子供です。魔力量はエリア様の魔素溜まりから生まれただけあり、なかなかですが、あまりに稚拙な戦闘に、間抜けな観察眼……。なぜ、あなたのような者が素晴らしいエリア様の……」


「殺してやる! 殺してやる! 絶対にッ!! 泣き叫ぶまで陵辱して、私を傷つけた事を後悔させてやる!」



 ロリドが《石化》を発動させようとした瞬間に、ルシフェルは"姿を消した"。



「……《闇牢ダーク・プリズン》」



 ルシフェルはロリドの背後に現れて小さく呟いた。


 真っ黒の球体の中に閉じ込められ、視界が無くなったロリドは、地下牢に入れられた時の事がフラッシュバックし、



「クソォオオオオッ!!」


 

 ただただ絶叫するしか出来なかった。



「……エリア様に指示を仰がなければいけません。それにしても……」



 ルシフェルは黒い球体を操りながら、ふぅ〜っと小さく息を吐く。


 ザコばかりとはいえ、自分と同じ"あるじに忠誠を誓った"者達の蹂躙に、今すぐにでもロリドを屠り去ってしまいたい衝動を堪えた。






〜作者からの大切なお願い〜


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 また、この作品を【ブックマーク】して頂いている方、わざわざ評価して頂いてた方、本当にありがとうございます! とっても励みになっておりますので、今後ともよろしくお願い致します!


 ロリド、救いようなくて…、あまりにバカで(笑)

 次、ロリドとエリアの邂逅です!

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