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vs.氷剣の鬼人"ザク"



―――アクアード vs八魔将 氷剣の鬼人"ザク"




キィイイイイイイイイ!!!!



 腕を斬り落とした瞬間に転がった首が奇声を発する。



ギュルルルルル……


 

 首と身体から赤黒い糸が伸びたと思ったら、一瞬にして身体と首を繋げ、失った腕を押さえて呻いている。



「……なぜ、なぜ……《超速再生》しない……!?」


 苦悶の表情を浮かべる氷鬼人だが、


(き、気持ち悪ッ!!!!)


 俺は首と身体が繋がる光景のグロさにドン引きしていた。


「……化け物め。くっ……"再生持ち"か……」


 ディナ姉は大きく目を見開き一瞬で距離を取ると、キョロキョロと上下左右を見渡している。


 モブに紛れている俺は、一直線に剣を伸ばす事が出来ず、真上から放物線を描き氷鬼人の腕を斬ったので、おそらく、俺を探しているのだろう。



「"ミラ"! 《感知》しろ! 命を救われた!!」


「はい。団ちょ! 《魔力感知》……」



ボワァ……!!


 

 ディナ姉に声をかけられた少女はバッと俺を見つけると、ガクガクと震え始める。


(み、見るな……!! いやだ、いやだ!! ディナ姉が油断しなきゃ勝てるって! あんなキモいヤツと戦いたくないって!!)



「団ちょ……」



ジョボォ……



 少女は俺を見つめたまま失禁したのが"見えた"。


(クソがッ! 何もしてないだろ!?)


 俺は《身体強化》を展開し、一瞬でその少女の元に向かうと、少女は尻もちを付き失禁した。俺はその少女の姿を誰にも見えないように着ていた上着を少女の腰の辺りに投げる。



「て、敵じゃないよ? 怖くないよ?」


 

 なぜ失禁したのかなんて知らない。だが、これだけの面前の前で「失禁する」なんてトラウマは、秘匿してあげないといけない。


 俺は紳士だ。


 "涙目の少女なら"喜んで助けてやる。

 人の顔を見つめて、いきなり失禁するような無礼な少女も例外ではない。



「あ、ありがとう、ござ、いま、す……」


 真っ赤になった少女と、目を見開くディナ姉。


「ミ、ミラに何をした!? な、何者……なのですか? "あなた様"は……」


 微かに剣を持つ手が震えているディナ姉。


(……そっか、今は顔が違うんだ!!)


 理解しながらも、ディナ姉の胸から目が離せない俺。


 

――ギ、ギル君が触りたいなら少しだけいいよ?



 12歳の俺は一心不乱にこの胸を揉んだ。


 後で姉様にバレて、ディナ姉は2度と屋敷に来る事はなかったし、


――おっぱいが好きなら姉さんのでいいでしょ?


 半ば強制的に姉様の胸を揉まされた。

 強烈なトラウマであり、姉様を怒らせるのだけはやめようと心に誓ったあの日を思い出す。


 そして、柔らかな感触だけを残して消え去った、遠い昔のおっぱいが目の前にある。


 俺の甘酸っぱい初恋のディナおっぱい


 顔なんて見れるはずもないのだ。


「あ、あの……け、"剣士様"……。先程もあなたが救って下さったのですね……?」


「……」


「……あの……あなた様は一体……」


「……」

(……ハッ!! 意識飛んでた!! 何だって?!)

 

 ディナ姉のおっぱい、もとい、初恋の相手との再会に歓喜していたが、どうやら、ゆっくり会話をする時間は無さそうだ。



「貴様ぁああああ!!!!」



ピキピキピキピキッビキ!!!



 自分の右手を氷で代用した氷鬼人が襲い掛かってくるのが"見えた"。

 


ズズズッ……



 一気に目に魔力を集中させる。



(《天眼予知》……!!)



 『身体強化』はそのままに、宝剣の柄をグッと握りしめ、冷静に"観察"する。スローの世界で、攻撃を躱しながら、肌を刺す冷気に小さく息を吐く。



 白い息が口から出て、少し手がかじかむ。



 驚愕の表情を浮かべるディナ姉やスキンヘッドの男。ポカンと口を開けている黒ローブの調査兵団と冒険者達。



(……顔変えてなかったら大変なことになってたな)



 心の中でユノに感謝しながらも、



「《ひょう》……」



 スローモーションの時の流れの中、氷の球を無数に創造した氷鬼人が"見える"と同時に、宝剣にグッと魔力を込める。



グザンッ!!!!



 青い角を叩き斬ると同時に、形状を変化させ、"魔力剣"で氷鬼人と氷の球を一緒に閉じ込め、球体の剣を作る。



ガンガンガンガンッ!!!!



 おそらく剣の腹に氷が反射しているだろう。


(ちょっと目が疲れたな……)


 剣で出来た球体はそのままに、目に集めていた魔力を宝剣に注いで一息つく。3時間、読書をした時くらいの眼精疲労に目を押さえると、信じられない言葉が鼓膜を揺らした。



「……ギ、"ギル君"なの……?」


「……はっ?」


 ディナ姉の言葉に驚愕して顔を向けると、



「「「「「うぉおおおおお!!」」」」」


「勇者様だ!! ギルベルト・カーティス様!!」

「まさか、"八魔将"を討つためにアクアードに?!」

「これでアクアードは救われた!!」

「勇者様がアクアードを訪れた噂は本当だった!」

「やはり、先日のギルドに訪れたのは……!!」


「「「「勇者様! 勇者様! 勇者様!!」」」



「……」

(……な、なんで"こう"なった!?)


 ディナ姉の顔にグッと顔を寄せ、綺麗な真紅の瞳を覗き込む……、


「えっ、あっ、ギル君……?」


 真っ赤に染まったディナ姉には構ってられない。


 瞳に映っているのは……、


 間違いなくギルベルト・カーティス。



ドクンッ!!


 心臓が跳ね上がり、冷や汗がこめかみを伝う。



(……ユノ?!)


 俺は咄嗟にアクアードの街に視線を向ける。

 

 【幻術】が解けている……。

 ……なんで? ユノ? ミーシャ……? セリア!?


 ……何かあったのか?


 

 周囲の歓声など、一切耳に入ってこない。なんとも言えない焦燥感に、ギリッと歯軋りをしながら頭を回転させた。





〜作者からの大切なお願い〜


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