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冒険者ギルドへ ①



―――水の都『アクアード』  



 仮住まいとはいえ、かなり豪華な旅館で俺は優雅に『オンセン』に浸かっている。



チャプッ……



「はぁ〜……。最高だ!! これこそがユートピア!」


 

 深く息を吐きながら叫んだりしてみるが、俺の瞳からは涙が流れてしまっている。


(……ふざっけんな!! なんでなんだよ! 完璧だったはずだろ!!)


 仕方がない。

 俺が"俺"である限り、世界は俺に容赦がない。





 今日の昼に冒険者ギルドに向かった。


 豪遊三昧の結果、金がなくなったのが1番の理由だが、偽名の"身分証"を作る事で、ギルベト・カーティスとはさよならしようと考えたのが、もう一つの理由だ。


 顔が有名になりすぎている俺は、ユノによる『幻術』で容姿を変えて貰い、完璧な変装で冒険者ギルドの扉を開けた。


 一緒に来ていたのは専属メイドのセリアとユノ。ミーシャには悪いとは思ったが旅館で留守番をしてもらう事にした。


――まぁ、私は旦那様やセリア、ユノちゃんみたいに特別な力もないからね……。


 そんな事は一切ないが、少し口を尖らせるミーシャが可愛すぎて、1つキスをすると、嬉しそうに顔を真っ赤にする。


――安心してくれ。完璧な新婚生活を送るためだ。


 頭をポンッと撫で、旅館を出るまでは最高の滑り出しだったのだ。



 ギルドを訪れるその瞬間までは……。



 

「おう、おう!! いい女つれてるな! どこの誰だか知らねえが、お前にはもったいねぇ!!」



 ギルドに入った瞬間に、高圧的な大柄の男に絡まれた。威圧的な態度でニヤニヤ笑いながら、俺に覆い被さるように睨みつけてくるのだ。



「……」

(めんどくさいって! マジでッ!!)


 心の中で絶叫して苦笑すると、


「ご主人様、殺してしまうのは得策ではないかと……」


 セリアは後ろから言わなくていい事を言う。


「……」

(言われなくてもわかってる!! このポンコツメイド……。"このバカ"を煽ってんじゃねぇえ!!)


「ええっ! セリアちゃん! ギル様ならこんな『汚い人間』一瞬で殺しちゃうよ?」


「……」

(可愛いよ、ユノ。相変わらず、ギャップすごいね……。うん……。名前を叫ぶのやめてね?)



 メイドと幼女からの言葉に顔を引き攣らせながらも、《予知プレディクション》を発動させ、ピクピクと怒り心頭の大男を警戒する。


「どこの誰だ? メイドなんて連れやがって!! ここは貴族が遊びに来るようなとこじゃねぇんだぞ!!」


「……俺は冒険者になろうと思って。この女はメイドじゃなくて、この服が好きなだけな『剣士』なんだ」

(……コイツ、うるさいし、口が臭いッ!!)


「……? セリアはご主人様の専属メイド。『一生』を約束された事をお忘れですか……?」


 少し寂しそうな口調に、大男に背を向けてセリアの様子を伺うが、死ぬほど無表情のポンコツメイドは健在のようだった。


「……く、空気読めよ! 一生、専属メイドなら俺の考えている事を少しは察しろ!!」


 セリアは更にキョトンとすると、「承知致しました」と呟きながら俺の手をとり、自分の豊満な胸に押し当てた。


「どうぞ。お好きに使ってください、ご主人様」


「……」

(……それは今じゃなぁああい!! いや、今じゃなくてもダメだが!! 何考えてんだ、このポンコツメイドォオオオオ!!)


 心の中で絶叫しながらも、3揉みほどしてしまったが、『3揉みルール』なのでギリギリ大丈夫だ。


 あと少しで紳士としての尊厳を失う所だった。こんな面前で胸を触るなんて……、本当に危ないところだった。(※アウト!)



「ギル様! 僕はッ!? おっぱい育ててくれるって約束してくれました!」


 ユノもセリアの真似をして、俺の手をとり、ふっくら小さなお山に押し付ける。


「……」

(ユノちゃん。今、君はただの幼女なんだよ? 俺がかなりの変態に……)


 エルフがいるなんてわかればかなりの騒ぎになるので、外に出る時にはユノも『幻術』で姿を変えてある。


「ご主人様……」

「……ギル様ぁ」


「……か、か、帰ってから! ってダメだろ!! ユノはともかく、セリア! お前、ミーシャに怒られるぞ!!」


「ミーシャ様……、いえ、"奥様"には『これまで通り、ギルに尽くしてね?』と言って頂きました」


「……? いやいや! お前『あれから』エスカレートしてるぞ!?」


「いいえ。ご主人様がセリアのお胸を望まれているのが、ビビっと分かりましたので……」


「……」

(全然、わかってないじゃねぇか!!)


 視線を外すセリアに深くため息を吐きながら、胸から手を外す。「一生メイドでいろ」と伝えてから、たまに笑顔を見せるようになったセリア。


 相変わらずというか、日に日に誘惑はエスカレートしている。もちろん、俺はあるじとして接しているが、正直、グラッグラのブレッブレなのだ。




「俺を無視してんじゃねえええ!!!!」



 念のため、《予知プレディクション》を発動させていた俺には、襲いかかってくる大男は既に"見えている"。後はタイミングを合わせて、宝剣の鞘をクイッと上にあげるだけ……。



グニュ!!




「グギャアアア!!!!」



 股間にヒットした鞘に、大絶叫をしてドサッと倒れる大男。すると、周囲からポツリポツリと声が漏れた。



「……み、『未来』が見えるのか……?」

「『ギフト持ち』だ……!! ん? "ギル様"?」

「"ダンドリャ"は【剛腕】のギフト持ち……、Aランクだぞ……? こんな簡単に……あっ!!」


 嫌な予感に、俺は声を張り上げる。


「ど、どうしたんだ!? 急に!! とても怖かったけど、"勝手"にどうしたんだ? 大丈夫か!?」


 慌てた様子を装い、大男に駆け寄るが股間を押さえたままピクピクッとしているだけでなんの反応もない。



「「「「……」」」」



 すっかり静かになったギルド内に顔を引き攣らせながらも、全てを無視して受付に向かう。


「ぼ、冒険者登録したいんだけど……?」


「……」


「あの、受付嬢さん……?」


「あ、は、はい。こちらの用紙に記入と、そちらで魔力量の測定を行いますので……」


 なぜか頬を染めている受付嬢の言葉に、俺はピクピクと顔を引き攣らせながら、かなり嫌な予感がしていた。




カクヨムの方で、「2章希望」の声が多かったので、2章開幕です。ちょいちょい改稿しながら投稿します。


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 今日は連続投稿するのでよろしくお願い致します!





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[一言] 最早バレてーら(笑)
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