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【SS】 念願のオンセンとか初めてとか……



―――水の都『アクアード』 逃亡2日目



 念願の観光地に到着し、「オンセン」に疲労の全てが流れ去っていくのを感じながら、


(今日はこの後……)


 などとゴクリと息を飲み、入念に『大事な所』を洗った。






 王宮からの《閃光》。


 「どこでもいい」とは言ったものの、相変わらずの俺は、面倒事に引き寄せられた。降り立った先に待っていたのは、



ウオォオオオオッ!!!!



 めちゃくちゃでかい大剣を持っているキングオーガが住まう孤島『鬼ヶ島』だった。



「セリア! 何して……。いや、もういい!! ユノ! 『幻術』で隠れててくれ! セリアはいざって時のためにミーシャを守っておけ!」


「はい、ご主人様」

「僕に任せて下さい! ギル様!」

「気をつけてね? 旦那様!!」


「……」

(メイドと幼女とお嫁さんからの信頼がツラい!!)


 一切、心配していないような3人からの視線に涙目になりながらも、ゴブリンキング同様、災厄級の魔物のキングオーガに集中する。


 一度足を踏み入れたら、誰も出る事は出来ないと言われる絶海の孤島。資源は乏しく、人では生活出来ないと言われており、それは魔物も例外ではない。


 キングオーガの出現は『海賊』の出現を意味する。


 行商船を襲っては、食糧や人間を食い散らかし、世界の物流が止まってしまうのだ。



『何者だ? 我らオーガが海の覇権を握るのだ!!』


「……『シーサーペント』の方が海じゃ強いんじゃないのか?」

(すぐに出ていくから、許してくれ!!)



 普通に喋るキングオーガに顔を引き攣らせながら、心と言葉が逆になってしまった事に、「ふっ……」と悟り顔の俺だ。



『あの海蛇などワシの敵ではないッ!!』



ザパァーーンッ!!



 キングオーガの叫びと共に現れたのは『シーサーペント』。


『私が海の覇者だ! 大きいだけの大鬼がッ!!』


 災厄級の魔物の同時出現に、たらりと鼻水が出る。



(なんでいつも『こう』なる!!)



 慌てて3人の様子を伺うと、王宮で貰っていた『収納袋』から立派なテーブルを広げていた。


 セリアが紅茶を淹れていて、ミーシャとユノは仲良くテーブルに着いて茶会を開いている。




「緊張感ッ!!!!」



 3人にとってはヤバい奴らが2匹になった事など、取るに足らない小事のようだ。信頼の度合いがエゲツなくて吐きそうだ。



「旦那様ったら、自分からキスしてくれないの! いつも私からばかりで……!」


「僕もギル様とチューしたいのに! ミーシャちゃん、わがままだよ!」


「ユノちゃんなら、少しお願いすればすぐにしてくれると思うわよ? ねぇ、セリア」


「はい、ミーシャ様。ご主人様はユノさんにメロメロなので、容易に叶うことでしょう」


「……ふふっ! じゃあ、お願いしてみる!!」


「ユノちゃん? でも、それ以上はまだ待ってね?! 『初めて』だけは譲れないから!!」


「う、うん……。わかったよ……?」


「ダ、ダメだよ? こっち見て! ユノちゃん!! セリアも何か言って!!」


「ふふっ、間をとってセリアが『初めて』を頂くのはいかがでしょう?」


「ダ、ダメェエエエ!! 『初めて』は私の!!」



 ミーシャ、ユノ、セリアは俺の『初めて』について、仲良く茶会をしている。



「……」

(バッカじゃねぇええええのオオオオオ!!!!)




シュロロロロ………。

ウォオオオオンッ!!!!



 2匹の災厄級とオーガの軍勢にビビり倒しながらも、《天眼予知》を発動させ、宝剣を振るおうとするが、腰にあるはずの宝剣は、収納袋の中だ……。



(ひょえええええええ!!!!)



 取りに行くことは出来ない!

 この魔物達を3人の所に連れていくわけにはいかない。ユノの『幻術』で魔物達は気づいていないし……。



「クソったれぇええええ!!!!」


 俺は腰に忍ばせていた護身用ナイフを取り出した。



グチャッ! グザンッ! グザンッ! グシャッ!!




 出来上がったのは魔物の死骸の山と、血に塗れた悍ましい鬼ヶ島。


(……眠たい……)


 少し目の疲労を感じながら、『ギリギリ』の戦闘だったと泣きたくなった。



トコトコトコッ……



 3人はポーっと頬を染めて俺を見つめる。



「セリア……、『閃光』。オンセンに入りたい!!」


「……はい、ご主人様……」


「ギル……、あっ、だ、旦那様! かっこよすぎだよぉ……」


「ギル様!! 僕にチューしてくれますか?」


「ユノ……。今は返り血塗れだから、また今度……。セリア! 早くしてくれッ!!」


「承知致しました。《閃光フラッシュ》……」





 そして初日は初めてのオンセンにとろけ、美酒と3人の美女との宴会で最高の幸せに包まれたまま、酔い潰れてしまったのだ。


 そして、『これから』……。



「……だ、旦那様……。当たり前だけど、私も『初めて』だから……、その……、優しくしてね?」


「ミーシャ……。悪い。た、多分……、無理だ……」


 俺は、ベッドのシーツで裸体を隠しているミーシャに強引にキスをして、ベッドのシーツを剥ぎ取った。



「ん……、あっ……! はぁ、はぁ……あぁ。」



 そして……、



 俺は尋常ではないほどのスピードで果てた……。



(死にたい……)



 思い描いた『初めて』からはかけ離れていた……。

 それくらい早すぎた……。



 でも、


「嬉しい……。大好きだよ……」


 ミーシャは泣きながら喜んでくれた。


(ミーシャが初めての相手で本当によかった)


 俺がポロポロと涙を流すミーシャをとても愛おしく思っていると、



「……ぼ、ぼ、僕も! ギル様ぁあ!!」



 服を脱ぎ捨てながら飛び込んで来たユノにビクッと体を震わせ、薄く微笑みながら全裸で入って来たセリアにピシッと固まった。



「まだ、ダメェエエェエエ!! こ、これから、朝までするんだからッ!!」



 ミーシャの叫びに俺は心の中で絶叫した。


(なんだよ、この『理想郷ユートピア』!! 最高かよッ!!!!)


 

 そして長い夜が明け、朝日を受けながら恐怖した。



(……俺、今日死ぬのかな?)






 【SS】第一弾でした!


「面白かった!」

「もっと続けてくれ!」

「悪くなかったぞ?」


 少しでもそう思ってくれた読者の皆様。

 広告下の評価ポイントを、


【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】


 にして頂ければ最高にテンション上がります!


 今回のように、スローライフの様子を『SS』形式でたまに更新しようと思うので、【ブックマーク】して頂けると嬉しいです。


 「お気に入りユーザー」のボタンを押してくれたら泣いて喜びますので、ぜひ、よろしくお願い致します!


 では、また!

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― 新着の感想 ―
[一言] 3人相手し続けるのは、若い内は良いけど辛くなりそうだな…w
[良い点] 古き良き(?)2000年代前半のラノベの感じがしました [一言] お疲れさまでした
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