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〜ロリド・ジャン・オラリア〜 ⑥




「『反逆者』を捕らえよ……」


 団長であるティグウェルの言葉により、なだれ込んでくる王国騎士団にロリドは母親を見つめたまま、一切抵抗する事なく捕らえられた。


 広間の床に押さえつけられながら、ジッと母を見つめ、『なぜ自分に兄弟がいないのか』を理解した。



 『呪われた王族』



 王の子をみごもった側室達は、みな不慮の事故で亡くなっていくうちに、そう呼ばれるようになった王家。


 ロリドはそれを自分が神になる証拠のように、口角を吊り上げていたが、それらが、自分の母親の仕業であると直感的に悟ったのだ。



 血筋を重んじるオラリア王国。


 最大の後ろ盾は、跡形もなく崩れ去った。



「……我が妻の悪事は、すでに皆の耳にも届いている事であろう。王妃の処刑、その息子ロリドの幽閉に異論のある者はいるか?」



 国王の言葉に異論を唱える者など1人としていなかった。




 ストロフ公爵家、当主ロミオは、泣き叫び許しを懇願する王妃と、絶句したまま絶望に顔を歪ませるロリドを見つめ、(自業自得だ……)などと考えながら、ここ数日の出来事を思い返していた。


 


※※※※※「4日前」



 ストロフ家には独自の情報網が存在する。


 ミーシャとレムの単独行動を終わらせようと、ロミオは本腰を入れてギルベルト捜索に乗り出した。



――ギルなら放っておいても何も心配はいらないけど、ミーシャは確かに心配だな。……ウチのリリがすまん。



 ギルベルトの父にしてロミオの親友であるアルマの謝罪に、「どうせミーシャがわがままを言ったのだろう」と受け入れながらも、ミーシャが心配で仕方のないロミオは、人脈をフル稼働させたのだ。


 

 ミーシャ達の動向と安否はすぐにわかったが、肝心のギルベルトの捜索はゴブリンキング討伐後、一切掴む事は出来なかった。



 その代わりにおかしな情報が飛び込んで来たのだ。



―――暗殺ギルド『カゲロウ』の目撃情報が入りました。王宮に不穏な動きがあるようですよ、ロミオの旦那。



 闇ギルドの情報屋から届いたのは、捕らえようにもすぐに姿を眩まし、お金さえ支払えばどんな依頼も引き受ける、悪虐非道で名高い犯罪ギルドの名前だった。



 すぐに王宮を訪れると、待っていたのは顔面蒼白の『マーク・ヴェドリア』という新米執事と、王家の執事長であるオーウェンの緊張した面持ちであった。



「私はどうなっても構いません! 母と妹の保護をお願い致します!! 本当に申し訳ありませんでした……」



 涙ながらに全てを告白したマークに、ロミオはニヤリと口角を吊り上げた。


 何度も何度も空振りに終わった『カゲロウ殲滅作戦』。『裏側』を国王から任されているストロフ公爵家の威信にかけて果たさなければならない宿願を果たすべき時が来たように感じたのだ。



「『カゲロウ』を殲滅する。協力してくれるか?」



 マークは『カゲロウ』についての知識は全くなかったが、「私に出来る事があるなら!」と囮役を引き受けた。



 準備期間がなかったことと、ギルベルトに心酔しきっている騎士団長ティグウェルの帰還は功を奏した。



 『息子』となるギルベルトの類稀たぐいまれなる『天賦の才』にロミオは心の底から感嘆し、世界から寵愛を受け続けるギルベルトに、自分の愛娘を託す事に一切の不安が消えた瞬間であったのだ。



 作戦の成功はさまざまな悪事を暴いた。


 これまでの依頼の数々が明るみになったのだ。

 その中でも王妃の悪事は人の道を外れていた。



 他国からの呪術魔法ではないか?と恐れていた国王は、その事実に激怒し、その悪女から産まれたロリドに対する『違和感』に対する調査に取り掛かったのだ。



(これも全て私の息子の手柄だッ!!)



 ロミオは心からギルベルトに感謝した。


 ギルベルトの捜索に踏み込まなければ『カゲロウ』の殲滅はなかった。


 ギルベルトのゴブリンキング討伐がなければ、ティグウェルが崇拝することも、ギルベルト暗殺に激怒し、鬼のように暴れる事もなかった。


 そもそも、ギルベルトがロリドを殴り、逃亡しなければ、ロリドが王になっていた事を考えればロミオは肝を冷やしたのだった。



(早く帰ってこい。息子よ……!!)



 ロミオは連行されていく王妃とロリドを冷めた視線で見つめながら、心の中で『英雄』の帰還を待ち侘びた。






 臭く、汚く、暗い、地下牢の中でロリドは鎖に繋がれていた。


 どこに触れる事も出来ないように手枷をはめられ、牢の中だと言うのに、ろくに動く事すらできなかった。




(クソッ、クソッ、クソッ……!!)



 湧き上がってくるのはギルベルトに対する憎悪ばかり。日付の感覚すらないが、先日、母が処刑された事を聞かされた。


 

 何も出来ない。

 いくら殺したくても、もう何も出来ない。


 


 募り募っていく憎悪と憤怒。一切の自由のない地下牢で、ロリドの精神は崩壊し一つの結論に至った。




「《分解》……」



(……やっと自由になれた)


 ロリドは鎖に繋がれたままの状態で、唯一『分解』できるものを『分解』した。


 

 


 ロリド、お疲れ様!

 次話で最終話になりますので、よろしくお願い致します!


〜作者からの大切なお願い〜


「面白い!」

「次、どうなる?」

「更新頑張れ!」


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― 新着の感想 ―
[一言] ロリドを転生魔王にして 潰す話も面白そうですね !
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