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ち、違う、違う!! 




 チアドは照れたように頬を染めながら、色っぽく視線を下に向けると、下の布に手をかけようとしている。


「……」

(や、やめろ! 違う! そうじゃない!! 『予言』について話したいだけなんだ! 俺にそんなつもりはないんだぞ!)


 俺は一切、声を出す事なく、心の中だけでチアドを静止する。声を上げたいのはやまやまだが、声の出し方を突発的に忘れてしまったのだから仕方がない。



 決して、ただただ視姦しているわけではない。



 チアドがゆっくりと下の布に細い指をかけ、恥ずかしそうに唇を噛み締めながら……。



ファサッ……。



 チアドの下の布が『大切な所』から消える瞬間に、俺はチアドに背を向けて顔を覆った。


(あ、危ない所だった! こんな風に見ていいはずがない! ダ、ダメに決まっている!!)


 俺は危うくもう紳士として生きていけなくなる所だった。超えてはならない一線を超えてしまう所だったのだ。


(……お、おっぱいだけで我慢出来てよかった!)※充分、アウト。


 何をどう勘違いされたのかはわからないが、この状況に流されるわけにはいかない。


 いくら『そんな事』をしたいからと言って、していいはずがないし、そもそも『初めて』は、なんか、もっと、こう……、とにかく! これじゃない気がする!


 俺はギュッと目を瞑り、顔を手で覆って必死にレム爺の顔を反芻して高ぶった物を鎮めようと努力する。



「……きゅ、救世主様?」


「チ、チアド様……。俺は『予言』について話しを聞こうと思っただけです」


「……ユ、ユノに聞いているのでは……?」


「ユノには『黒髪黒眼の大剣を携えた少年が、美しい従者と里を訪れ、邪竜を討ち果たし里を救う』と聞いておりますが……?」

(ま、ま、まだ裸なのか?!)


「……そ、それが全てですよ?」


「……へっ? 命と引き換えは……?」


「きゅ、救世主様? 何を言っているのです?」


「……」

(『何を言っているのです』!? お、俺の深読みだったのか!?)


「私は……、エルフの里を……、ユグドラシルを守護するためなら、身体を捧げる覚悟はとうに出来ております。満足して貰えるかわかりませぬが、精一杯、奉仕させて、」


「ち、違う! 違う!!」


 俺の叫びが部屋に響く。


 こんな「何かと引き換え」みたいな感じや、脅しめいた感じは絶対に嫌だ。まるで、ミーシャを泣かした大バカ殿下と同列に成り下がるような事はごめんだ。


 俺はスケベである前に紳士なのだ!


「チアド様。とりあえず、服を……。そ、『そんな事』をせずとも、もうすでにユノと約束しておりますので、心配せずとも大丈夫です!」


「……救世主様」


 チアドが小さく呟くと、部屋が静寂に包まれた。

 スルッと布が擦れる音が遠慮がちに聞こえるが、内心は穏やかではない。


(……これ、逆に紳士じゃなくないか? むしろ、これを受け取ってこその紳士なんじゃないのかッ!?)


 ブレブレの俺は激しい葛藤を抑えるように顔を覆う手に力を込めていると、チアドはその手を優しく包み、自分の胸に引き寄せた。


 美人エルフは顔を染めて穏やかに微笑んでいる。



「チ、チアド様……!?」

(な、何て弾力!! や、や、柔らかいッ!!)


「流石は救世主様です。欲望に忠実な『人間』とはまるで違う。救世主様、いや、ギル様が救世主様で本当に良かったと心から実感しています……」


「……」

(あっぶない! し、知らないうちに『人間』背負ってたのか! ギ、ギリッギリだったぞ! ってか、今もギリギリなんだがッ!)


 胸の谷間に引き寄せられた手を一切動かすことはできない。


 決して触っていたいからではなく、俺が下手に動いて『人間』のイメージを崩さないためだ。


「ユノがあんなに懐いているのも納得です。……ふふっ、たくさんのエルフの中から私を選んでくれたのかと少し嬉しくもあったのですよ?」


 チアドはそう言うと、とても綺麗に微笑み、少し口を尖らせた。


「……そ、それはどういう……?」



バタンッ!!



「チアド婆様! ん? ……ギ、ギル様?」


 扉が開いた瞬間にユノはピタリと固まってしまった。それもそうだろう。俺の手はチアドの胸に置かれているのだから……。




〜作者からの大切なお願い〜


「面白い!」

「次、どうなる?」

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